世界基督教統一神霊協会

朝鮮半島の平安北道に生まれた文鮮明(本名:文龍明、1920〜)が1954年に創始した韓国のキリスト教系新宗教。通称統一協会、統一教会ともいう。

 文鮮明は16歳の時、イエスが眼前に現れて人類救済の使命を告げられるなどの神秘体験を経て、朝鮮の伝統諸宗教の影響の下で自らの教義を体系づけたといわれる。彼はいくつかの神秘主義的色彩の濃いキリスト教団に関与し、1946年から平壌で布教活動を開始した。48年には、社会秩序紊乱(びんらん)嫌疑により逮捕、刑務所に収監されたが、50年朝鮮戦争の国連軍北進により刑務所を出所し、今度は釜山で布教を開始した。この地で協力者を得た文鮮明は『原理原本』という彼の教義の骨子を記した書の執筆を開始、54年ソウルに上京し、世界基督教統一心霊協会を設立した。教勢は急激に伸長したが、信者監禁や洗脳の噂が高まり、文ら幹部は検挙される。彼は初期より海外宣教の必要性を強調しており、58年に日本、59年には米国布教を開始している。63年には韓国で社会団体として登録され、ついで財団法人として認可を受けた。ちなみに日本では64年に久保木修己(立正佼成会出身)を会長として東京都から宗教法人認証を受けている。

 その教えは弟子がまとめた『原理講論』に体系化されている。他のキリスト教派との教義上の大きな違いを指摘するなら、「ヨハネの黙示録」の第7章2節を根拠に「イエスが将来韓国に再臨する」とすることや、エバに知恵の実を食べるようにそそのかした蛇はサタンの化身で、このときエバとサタンが不倫な交わりをしたために、人間にサタンの血が入り、それが原罪なのである、とする教義であろう。教義の骨子を要約すれば、サタンのために堕落したこの世は、創世当初の本来の善なる世界に復帰せねばならない。終末とはこの世の終わりなのではなく、サタンの支配する罪と悪に満ちたこの世が「再臨のメシア=文鮮明」により神を中心にした一つの家族的世界に転換することなのである。また、教祖夫妻は「真の家庭」の原型であり、人類の真の父母なのであるとする。この教義にもとづき、文鮮明自ら指名して組み合わせた信者同士の集団合同結婚式を1960年以降継続している。

 日本での布教は街頭、戸別訪問、大学のキャンパス(原理研究会)などで活発に行われ、共同生活に入る信者が続出し、その家族との間に衝突が起きた。また「国際勝共連合」などの政治活動、多数の企業体と膨大な不動産に代表される経済活動、新聞(世界日報、思想新聞、宗教新聞、ワシントンタイムズ等)の発行や財団(世界平和教授アカデミー等)の設立など、多角的な活動も注目されてきた。また霊感商法への関与も指摘され社会問題となっている。

 新書館発行『世界の宗教101物語』「世界基督教統一心霊協会」(川瀬貴也)より抜粋(一部加筆)




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