脳死臓器移植問題


町野、竹内両報告書の取り扱いはどうするのか

【厚】町野案というと、今後の見直しの提示全体をということと思うんですが、確定的な案があるわけではなく、国会とかで議論が行われていくと思うが、検討自体のやり方も検討していくと。
【交】部署的にはどこの部署が?
【厚】臓器移植対策室
【交】町野案、竹内案の報告書は出てるんだから、行政としては何らかの方向を決めなくてはいけない。
【厚】町野案・竹内案は審議会の答申ではなく単なる厚生科学研究の報告書なので審議会と同じようにとらえられると困ってしまうんです。我々がやる場合、臓器移植専門委員会で方向性を議論いただいてその上で必要なガイドラインなどの改正という形になると思うんですけど、臓器移植専門委員会が先日開かれて、基本的に運用面を議論頂いた。法律の根本にかかわる事よりも運用上改善できるような所を、どちらかというと自由討議に近い形で議論頂いて、省庁再編がある関係で審議会が全部改組される。そこで三年間の総括というか各先生の思いを話していただいて新しい組織ができた時にそういうことを踏まえながら議論して頂くことになる。
【交】新しい組織は一月からスタートするんでしょ。今は十二月、すでにできていないとおかしい。いつ位までに目途をつけるんですか。
【厚】検討の措置をいつまでにやるかとか、長い時間議論して臓器移植法ができている経過がある訳ですから、早急に変えていくとかは思わない。
【交】運用面と話されたが、具体的にはガイドラインとか運用規則あたりの話が中心ということか。
【厚】細かくここのガイドラインが問題とか、省令などという区分はなかった。専門委員会として一定の見解をまとめたとかそういうものではない。それぞれが考えを述べたに止まっているんで、専門委員会としてどうなっているかといわれればまとめが出たとかそういう話ではない。
【交】それいつやったの。
【厚】十一月十七日。
【交】成人に決められている一定のルールを小児の場合はそれをベースにしながらどういう形で運用が可能かとこういう議論になるのか。
【厚】小児の場合は現行法ではできない。運用というのは現行法の範囲内ですから、小児の場合どうするかというのは国会の動きとかを見ていくことになると、委員会の先生方が述べられている。
【交】審議会の再編といわれていますが、原則的には一度ばらばらにしてもう一回作り直す形になるのか。
【厚】審議会の数が多いので、ある程度統合して
【交】法改正ということでは、小児を規制しているのは規則・ガイドラインで法律そのものは規制していませんね。
【厚】ガイドライン上決められたことであっても国会審議の中で議論があったことは単なるガイドライン上よりも重みがある。したがって、議論の末できた法律の運用面を改善するところを検討していこうと。
【交】極論ですけども、厚生省がごり押ししてガイドラインを変えちゃえとはまずできないと。
【厚】そう。ガイドラインの内容によりますが、意思表示の十五才という年齢の話をおっしゃっているのであれば、国会で議員の方が十五才以上は意思表示能力があるとおっしゃってますからある程度重みがある。
【交】あと附則で「措置」を講じるとありますが、それは規則やガイドラインをいじくる可能性があるんですか。
【厚】そこは今後の話。法律の話とすれば、そもそも議員立法という経緯もありますし、国会の議論を見ていくと。
【交】議員立法というのはずっと生きていくんだな。三年の見直しというのは四年になってもおかしくないということなのか。
【厚】検討がなされるということで、三年を目途にですから三年以内という話じゃない。
【交】三年経てば検討対象になる、一年間検討が続いて四年目に入っても問題ないと。ということは附則だからしないならしなくてもいいということもあるのか。
【厚】いえ、法律の附則にかいてあることだから、
【交】それを小児も込みでやるのか、あるいは従来のものの運用のところだけの改定になるのか。
【厚】大前提の議論がないにもかかわらず、小児ができるようになったときの運用を考えるというのは有り得ないと思いますが。
【交】では小児についてあれだけいろんな意見が出て厚生省としてはどういう取扱をするのか。この前も伺ったと思うけど。
【厚】各界の議論を見て。
【交】イニシアチブないの。
【厚】国民的な議論が必要な話なので各界の議論も当然。
【交】具体的にどういう討論、どういう所での議論なのか?国会は当然、その他の所でも議論を注目しなくちゃいかんというのがあると思う。そこら辺はどうか。あるいは自分たちが設定するようなものはないのか。
【厚】これから考えていかなくてはいけないと思っている。
【交】情報収集はどんな形であれ、されているんでしょう。世論あるいは新聞報道なりは対策室の方で集めているんですか。
【厚】先日臓器移植専門委員会が行われた時に基本的に我々は、新しい組織に移行しますが、厚生省に寄せられた陳情、賛成・反対の状況ですとか、総理府が行った世論調査とかそういういろんなご意見があると踏まえた上で委員会の方からご意見を伺っている。
【交】臓器移植専門委員会の中で、どんな話題がでたのか、教えてくれますか。
【厚】小児の話とか、さっき申し上げた話ですね、国会での議論があるので基本的に運用事項中心に議論された。
【交】臓器移植専門委員会と国会との関連性はどうなのか。
【厚】臓器移植専門委員会は政府で、国会は国会です。そういう違い。
【交】例えば国会で議論されたものがあると、それが臓器移植専門委員会に入ってきて、そこで政府の一定の方向性はこの委員会がある程度出すって事でしょ?
【厚】法律の運用面について、改善できるところがあれば、委員会で議論頂いて、必要な改正を我々はする。法律とかという議論はもう少し幅広く、最終的には国会でやられることになると思う。世論が盛り上がり、国会が大きな見直しをするとなればそれに生じて必要な省令とかガイドラインの改正をまとめる必要が出れば、それは至急専門委員会にという形になると思う。
【交】わかりました。臓器移植専門委員会というのは、法律的な話がどうこうというのはないだろうけれども、もう一つわからないのは、どういう権限を与えられて、何を決める場なのかということです。
【厚】諮問機関なので、決定はできない、考えを述べるだけ。
【交】諮問機関ということはあなた方が具体的に諮問する事項があるということ?
【厚】この間は全般的にうちから示してこれについてどう思うかという話じゃなくて、それぞれの委員の人が考えを述べたという話です。
【交】この事について皆さん議論頂きたいとなるのか、それとも全体的に議論をして、意見を取りまとめていこうということなのか。
【厚】議事録を御覧頂ければ、厚生省の方からは運用面をお願いしたいんだと、ご挨拶とかお願いしていることがお分かり頂けると思いますが、そうはあってもいろんな意見が出てくるとは思いますが。
【交】挨拶の中でいった。通常は文書出すでしょ。
【厚】諮問ではないので、この間のは。
【交】議事録は拝見できるのか。
【厚】今テープ起こしをしているところなので、でき次第掲載されます。ホームページに。

小児に関する竹内班報告は自己矛盾に陥っていないか?

【厚】竹内班の報告書で、T群が二〇例しかないので統計的に信頼性が乏しいのではないかと、というご指摘ですが、確かに昭和六十年度の成人のときの報告書では、七一八例が集まっておりまして、今回全体では一三九例、ということで七一八例に比べれば少ない事は事実です。しかし、一つは諸外国において、小児の脳死判定基準が提案されていますが、その根拠になっている症例数に比べて今回の症例数は決して少なくない。それから単に今回実態調査だけを基に基準を提案しているのではなくて、文献的な考察も加えた上で提案されていますので、研究班の方からは十分提案するに足りる治験であるということでご提案頂いていると考えている。
【交】他の国の症例数というのがどれ位なのかを教えてもらえますか?
【厚】それはまだ調べないと正確な数字言えないのですが、例えば英国の場合は同じような数字だったと思うんですが。症例数三桁いったものはない。
【交】そうでしょう。しかも脳死判定基準自体を最初に作った時の小児の件数どれ位でしたか。
【厚】十七歳未満で五七名、六歳未満という報告書は出ていないものですから、〇才から九才で三七名。
【交】そのときに竹内さんがどういうことをいったかというと、これで症例数が少ないから小児の脳死判定基準は作れないとこういったわけだね。今回は何ですか、そのときの症例数と比べてみたときに。
【厚】ですから、コアになる部分はT群の二〇例であり、無呼吸テストを一回やっているもの計三〇例ですか、全体では一三九例報告頂いているということと・・・
【交】耐えられるかどうかということでしょ、判定基準作っていく時に。竹内さんが前の時は少ないといって件数が多い時に考えるといった。それが今度の二〇例というのは有り得ないと思うんだけど。他の国と比較してみたときに問題ないとおっしゃったけど、それはおかしいんじゃないか。竹内さん自身が自己矛盾に陥っているとしか思えないんだけど。
【厚】だから、コアになるのは二〇例、三〇例ですが、全体としては一三九例という実態を把握したということと、この間、六才未満は基準がないとはいえ、医療現場で他の国のを基準にするなり、成人のを参考にするなりという蓄積もあるわけで、そういう文献的な治験というのも合わせてご検討頂きましたので、そういう意味で現時点で提案し得る最良のものをご提案頂いていると。
【交】そんな、一〇〇以上が後ろ向き調査でしょう、今回の基準でどうなのかというのは後ろ向き調査では分からないでしょ。
【厚】だから後ろ向き調査、実態調査だけで基準を提案しているわけではなくて、文献的な考察も含めて、今回今の時点で考えうる最も良いものをご提案されている訳ですから。
【交】文献調査って何を指してるの。以前は文献調査なかったわけ?
【厚】十数年前になりますが、文献調査は当然やっています。六才未満は確かに以前ご提案頂いたものからは対象から外れていた。
【交】後ろ向き調査としてはあった。
【厚】いやそれ以降ですね、医療現場で六才未満は脳死判定できないんだという施設もあったでしょうし、そうはいっても外国の基準も見ながら、もしくは択一基準を参考にしながら、脳死判定やっていた施設もあるでしょうからそういう蓄積があると思うんですね。実際にわが国では多くの施設が参考にしていると思われる成人の竹内基準に準じるような形で暫定基準案を作って、それに類するような症例報告をいただいて暫定基準案に示したような物が実際に現場で行なわれているのかどうか、ノウハウなり、出生直後の乳児でも判定できるのかどうかなどの考察も加えて頂いた上でのご提案ですから、最善のものをご提案頂いていると。
【交】長期生存例がいくつかありましたね、どうして除外されたの。
【厚】これは除外したのは年齢が六才以上とか、明らかにおかしな症例を除いただけでして、二例だけなんですが、前回長期生存例が三例とお話したのだとしたらお詫びします。長期だから除くとかというのではありません。
【交】ある学会で、竹内さんに対して質問があったとき、やはり三例で除外されたのはどうしてかとの質疑があったと記憶してますけども。
【厚】今回除外しましたのは、六才以上の症例六例と意識レベルについて記載がなかった一五例と、成人とかでも対象外になっている内分泌器官の症例一例、脳波活動の残存が記載されていた一例、この二三例の中に、長期のものが入っていたのかも知れませんが、長期だから除くという議論にはなっていません。
【交】長期生存していて除外されてると、なぜだろう思うのは素朴な疑問だと思う。例えば脳波が残っていたからとか、内分泌系の病気だったから除外したとかその事だけでも説明して頂ければこちらとしても腑に落ちるんですが。
【厚】確認してみないと分からないです。基本的に長期例というのは二例だったと思います。
【交】脳蘇生学会で発表された救急のお医者さんもやはり三例と。
【厚】三例ですか。報告されているのは、久保田先生、吉永先生、丸山先生のグループが報告された症例と前田先生、三浦先生、岡本先生が報告された症例ですが。
【交】兵庫医大の例は二〇例の中に含まれているんですか?
【厚】解析対象になっています。ですからこの報告書が三十日を一つの…
【交】何で三十日と決めるかねえ。誰が、何を根拠に決めたの?
【厚】確認してきていないので、そこは確認した上で、答えさせて頂きます。これまだ報告書なんです。だから我々まだ答えられない。これ厚生省として評価して法令に基づいたものとして評価して位置付けるとかいうものでなく、何等判断されていないんです。
【交】あなた方が依頼した物ではないですか、かなりベースにはなっていくもの、判定基準を仮に作りたいとすればですよ、一つの重要な報告書じゃないですか。
【厚】もちろんそうですよ。臓器提供可能なら、参考になるでしょう、十分。そのときに議論になると思うんですね。今研究者がなぜこうしたのかと我々に聞かれても作成者じゃないから答えられない。
【交】何を根拠にして決めたのかが大事なとこだと思っているんで、分かっていれば教えてほしい。
【厚】三〇日とか五〇日とか逆に二〇日とかいろんな所で区切りをしてみて、最も数値的にも意味があってと、そういう所だと思いますけど。

「脳死」長期生存例は、脳死認定の根幹の変更を求めていないか

【厚】これだけ保存術が進歩した現在で、脳死をもって人の死とするという社会的事実の前提がくつがえったのではないかというご指摘ですが、脳死をもって臓器摘出をしても良いということには脳死判定をもって全脳の機能が不可逆的に停止したということを確認できるというところに力点があって、もちろん理屈付けの一つに脳死になれば速やかに心停止を迎えるからということもあったかもしれませんが、力点というのは脳が不可逆的に戻らなくなったと、それを脳死判定をもって判定できるということでコンセンサスを得ていると思いますので、長期に脳死状態が続くからそれをもってひっくり返るんだと、つまり考え方を変えなくちゃいけないんだというものではないんじゃないかと。
【交】ここで質問しているのは、社会的に脳死という前提がくつがえったという事をいっているのではなくて、今のところ「脳死は人の死」だとは法的にもいってないですよね。脳死状態で臓器を摘出しても良いということにしたわけですよね。脳死になれば、すぐに心臓が止まってしまうからだというのが一つの前提としてあったと思うんですよ。ところがこの二〇例から、脳死と判定された人が、はたして脳死をもって臓器摘出をしてもいいと、相変わらず思っているのでしょうか、という質問です。
【厚】脳死状態になったら心臓はすぐ止まるんだ、だから脳死になった時点で臓器を提供してもいいという単独の理屈でなくて、腎臓が悪くなれば透析すれば生命を維持できるとか他の臓器と違って脳は代用できない。脳はその人自身、その人そのものであるわけですから、そういう脳が不可逆的に機能が停止してしまった時にその人を存在付ける物があるのかどうかとか、もちろんそれに合わせておっしゃるように脳死状態になればすぐ心臓が停止すると、複数の要因で一定のコンセンサスを得ていると思いますので、保存技術によって確かに心臓機能を維持するとか循環機能を維持するとかできるようになったとしてもそこで考え方が全部ひっくり返るとかの物ではないんじゃないかなと。
【交】そこで大きな一角が壊れてしまったということは間違いないと思うんです。これまで説明していたのは平均生存日数が4.6日でしたか。病院では一週間くらいでお亡くなりになりますとか、成人の場合はそういう説明のされ方をしてきた。臓器移植の場面においてそればかりを説明されてきた。もう一つは不可逆的な停止と言うことですが、兵庫医大の場合は身長が八センチ伸びていたという事実も確認されていますし、例えば、脳下垂体が生きていたのか、あるいは別の機能が働き出したのか分かりませんが、恒常性が比較的維持されていたという事実が明らかになった。なぜ、それを不可逆的機能喪失というのか?我々が思っていたところの不可逆的機能喪失とは決してそんなものではない、もしかしたら成人に関してはある程度いえるかもしれないけれども、子供にとって、そのまま適用できるのかと思う。
【厚】心停止がすぐ来るからという理屈は厚生省としてはなかなか認め難い。それ言い出すと、末期医療を受けている方とか皆問題となってしまいますから。ただ感情という面では、心停止がすぐ来るから受けいれようというのはあるかもしれないけれど、そこは感情の複雑な絡み合いですから、社会的な受入れ感情がどう変わったかを説明するのは難しい。これをもって小児からの臓器提供ができるものではないが、もしいろんな各界で議論される場合に、少なくともわが国でこれだけ症例集めて実態把握しているのはこれだけだと思いますから、こういう事実、小児六才未満では三〇日以上脳死の状態が続く方が五〇%の割合でいるということも念頭に置いて議論されると思う。今回の基準というのは六才未満の方で、こういう方法を使えば脳の不可逆的状態を判定し得るだろうという基準を提示頂いたと思いますので、小児の場合は長期間脳死状態が続くんだという、わが国の救急医療の実態を踏まえた上で次の議論がされるんではないかと思う。
【交】結論としては、基準は作り得るとしている?
【厚】研究班の見識としてですね。
【交】結論が錯綜的ですね。脳にニボーがみられるとか、自己融解していることで判定結果は間違っていなかったと説明されている事例がいくつかある。ところが亡くなった時に脳が自己融解していたから、三〇日前にやった脳死判定は正しかったという結論はなぜかという説明は理論付けがないように思われる。
【厚】剖検というのは一番最後に承諾が得られた症例において論議が可能な訳ですから、それ以外の症例もCT、MRIとか脳血管撮影であるとかそれなりの検査がなされているわけです。そういうものを含めて専門家の見識で評価頂いた。

小児脳死判定以前に、小児救急のための研究班が必要では

【厚】健康政策局指導課の伊藤です。小児救急の研究班を平成十一年度からやっています。それ以前の厚生科学研究でもやっているのですが、少子化時代にむけた小児救急医療の在り方について、小児科医が少ないとか地域で小児科をやっている医療機関が撤退しているとかがありますので今後どういうやり方がいいのか研究していこうということで研究班にお願いしている。地域に小児科医を確保して夜間救急医療をやって頂くとか、そういった点について研究して頂いています。
【交】体制はおっしゃる通りでしょう。ここで聞いてるのはそういう意味じゃない。ちなみにその研究班には竹内班の報告書は提出されているんですか。
【厚】いえ全然。脳死の関係の研究じゃありません。小児救急医療の体制の研究ですから。

福岡徳洲会病院の脳死・臓器移植の経過は?

【厚】九例目の臓器提供事例についてですが、七月二日に、提供施設から日本臓器移植ネットワークの九州沖縄ブロックセンターに第一報が入り、手続きが講じられたが、厚生省には七月三日の第一回脳死判定の少し前に連絡頂いた。基本的には第一回脳死判定の前に既に連絡頂いている。その後は何かあれば情報として受けている。
【交】第一回の脳死判定の前に連絡を受けたんですか。
【厚】情報としてこういうのがあると。前か始まった後かは定かじゃないですが。
【交】臨床的脳死診断は?
【厚】それは公表されていません。日本臓器移植ネットワークのコーディネーターの方からご家族の方にご承諾頂いたものを発表しているので。通常時刻とかあまり出ないんで。
【交】これまでは発表しているでしょ。時刻は全部。ネットワークも病院側も出している。そうしないとネットワークにどの時点で連絡が入ったか分かりませんよね。
【厚】それは二十時十八分。
【交】それは分かりますけど、この後臨床的脳死診断していたとか言い掛かりをつけられても、何ともいえませんよね。臨床的脳死診断の日にちくらいははっきりしてもらわないと。一報が入ったと分かったって何の意味もない。
【厚】いずれ検証会議でやる時にもしくはすでに公表資料にのっているかもしれないが、ネットワークでも独自に公表しますから、見て頂ければ分かる。
【交】意識的に隠してるの。
【厚】それはない。
【交】そういう勘ぐりをされますね、こういうものだと。
【厚】ただ臨床的脳死診断というのは法的脳死判定ではない、カードの所持の確認ですから。
【交】標準的手順に書いてある。そのガイドライン通りになっているかどうかは厚生省が確認すべき問題じゃないか。たとえネットワークから報告がないとしても、厚生省はちゃんと報告させるべきじゃないか。
【厚】ガイドラインはドナーカードの所持を把握する一つのタイミングとして臨床的な脳死を診断して、それで臨床的脳死が確認されたときにドナーカード持っているか聞いてみて下さいと、そういう所に力点があるわけで、極端にいうとドナーカードが自然に出てきた時に臨床的脳死診断をやらなきゃいけないかというとやらなきゃいけないとか書いてない。
【交】臨床的脳死診断をやらずに法的脳死判定はできないんですよね。
【厚】いやできます。
【交】できますか?
【厚】つまりドナーカードが自然に出てきた場合、タイミングとしてドナーカードが出てこないことを前提に聞きにくいだろうということも当時あって、臨床的脳死診断をしてみて、臨床的に脳死が確認された場合は、是非ドナーカードを持っているかどうかを聞いて、その人の意思を生かすようにして下さいと。
【交】あってもなくても一緒?
【厚】一緒というかあれはあくまでもガイドラインですから。
【交】今の説明だと、救急車で運ばれた直後から法的脳死判定してもいいという意味ですか?
【厚】ドナーカードの所持が確認されて、諸々の前提条件がクリアされれば法的脳死判定から入る。治療もせずに判定にはいることは有り得ないんで、十分な治療を尽くした後の話です。
【交】これまでの説明と違うように思うが。
【厚】初期の頃はいろいろな混乱というか、それなりに脳死であることがきちっと確定した上で動き出すというかかなり保守的な運用がなされていたと思うんですが、ガイドラインそのものはカードを持っているのが分っているのに、改めて臨床的脳死診断をして確認してから脳死判定しなさいといっているものではない。
【交】例えば救急車で運ばれて来た、カードを持っていた、という事実をすぐにネットワークへ電話をかけて連絡することは何等問題はないわけですか。
【厚】まず十分救急医療を施して
【交】救命救急を十分やったといったって、現場の医師がやったと思えばやったことになるし、やってないと思えばやっていないことになるし、どうでもいいと、現場の臨床医の判断にゆだねているわけでしょう。ガイドラインをそういうかたちで受け止めるならなら何でもできてしまう。
【厚】それは定着するまでの間、検証会議で、以前は専門委員会でしたが、個々の医療行為について検証する作業をしているわけですから。法令に基づく省令で厳しく前提条件ちゃんと行なう事と、脳死判定の条件について、それを勝手に解釈する可能性があるからといわれるとそれは法令違反ですから通じないでしょうね、法令で縛られる話ですから。
【交】救命を尽くし、頑張ったけど脳死状態になってしまった、移植に持っていこうが持っていくまいがこれ以上は手を打てませんというのが臨床的脳死診断ではないのですか。
【厚】臨床的脳死診断はカードの所持を把握をするためのタイミングとして設定しているわけで、高度な医療を担保しようというものではない。
【交】普通に新聞読んでいる人はそんな風に思っていないんじゃないですか。時系列にかいてあるものでも、もうすぐ移植が始まりますというのでも、臨床的脳死診断というのが最初に書いてあって、家族の承諾書があって、第一回、第二回脳死判定と、あれは根拠のない説明ということですか。
【厚】ガイドラインが定めている臨床的脳死診断はカードの所持を確認する一つのタイミングとして示している。ただネットワークに連絡する場合、まだ助かる見込みのある方を、カード持っているからと連絡するわけではないんで、脳死を疑って、脳死を確認して連絡されますから、そういう意味では施設としての判定みたいなものがあって、ネットワークへ連絡がいき、その後きちっと二回、法的脳死判定をしていただく。
【交】施設としての判定というのが臨床的脳死診断のことをいってるんでしょう。
【厚】誤解がありまして、手続きとして医者が脳死かどうか疑って調べると、それが臨床的脳死の判断、それをやった上で次にカードが出ていないときに臨床的脳死診断を2回やって、その後に今度法的な判定をやっているわけです。我々がタイミングだといっているのは、ガイドラインのものをいっているので、施設としては脳死かどうかも調べずにいきなりネットワークに電話するなんてありえないんで、それは通常通り脳死かどうか確認してから電話するとなります。
【交】移植法に基づいた流れの一環として臨床的脳死診断を省く事はできないわけでしょう。
【厚】ガイドラインには書いてありまして、ガイドラインに書いてあるのは先ほどから申し上げているように、カードが出てきてないときに聞くタイミングとしてやりなさいと。
【交】カードが出てきていたら臨床的脳死診断はしなくていいと?いつから?新説やな。
【厚】当然脳死が判定された後と思いますけどね、
【交】なぜそういう具合に勝手にいえるのか。
【厚】家族にコーディネーター呼びますかと聞くわけですから、その中で、脳死かどうかも確認せずにそういう話をするなんてないでしょう。いずれにしろ脳死の診断の確認をどうやるかなどというのはガイドラインは触れていない。断言できるのかと言われれば、おっしゃるように全部調査していないので分からないが、手続き上いっているのは、カード提示のタイミングとして脳死診断やれと書いているだけ。
【交】交通事故でカードを携帯していた場合、最初にカードがあるというのは分かりますね、そういう時臨床的脳死診断は?
【厚】ここでいう臨床的脳死診断は省くと。
【交】ドナーカード持っていれば、交通事故など、頭部の大損傷などで判定するまでもなく脳死だろうということになれば、すぐ移植になるということ?
【厚】そういう場合、うちが法的な脳死判定の項目定めていますから対象外になる。反射ができないとか、脳波が取れないとか。
【交】ちょっと、この話は改めて、ゆっくりやりましょう。今回の九例目のネットワークに連絡があったのはいつですか。二日というのと七日というのと二つあるが。
【厚】二日というのは中止している。やり直しの連絡があったのが七日。
【交】今まで臨床的脳死診断の無呼吸テストはしてないが他のデータは出してたが、今回はカードが早くから出ていたということでデータは必要ないと。
【厚】救命医療の部分から脳死判定するまでという流れで検証して頂いてますので、過去臨床的脳死診断何回もやっている場合に最後の一回を評価したかというと、そうではなくて、経過に沿って検証してきてますので、流れの中できちんと検証頂くことになっている。
【交】情報として教えてほしいんですが、この間肝臓移植された人が亡くなってしまいましたよね、レシピエントの研究班ができたと聞いたが、違いますか。
【厚】レシピエントの選択基準とかドナーの適応基準は国の審議会で、研究班は特に作っていない。専門家で決められているのは適応評価の基準。移植が必要かどうか、その評価を学会で作っていただいて、登録された人をどういう順番で選ぶかは国。今回のことで研究班を作るという話にはなっていない。一般的に肝臓移植をより良くしていこうとか、心臓移植をより良くしていこうとかそういう研究をしていただいてまして、個別事例が出てくることはない。京都大学の先生も研究班にはいってますから、そういう経験を踏まえて報告書は作成されると思う。