「医療安全対策検討会議」について
【交】検討会議の設置根拠及び委員の構成メンバーを明らかにされたい。
【厚】医療安全対策検討会議なんですが、五月一八日に設置されました。資料(医療安全対策検討会議設置要綱)をご用意したのですが、後ろの方に委員のメンバーがついております。
検討会議の中に医療被害者を委員に加える件について
【厚】元々のお話は医療被害者を委員に加えるという話だったんですが、個々の医療被害それぞれの立場がありますので、個々人を委員に入れるよりも、例えば「支え合い医療人権センター(COML)」の代表の方を…。
【交】コムルは被害者じゃないですね。被害者への偏見や差別発言で問題になっている団体ですよ。
【厚】そこはちょっと分からないのですが、ウチの方としては、患者の支援団体ということで入れさせていただいて、それで検討を行いたいというふうに考えております。
現時点の検討状況明らかにせよ!
【厚】検討事項について、すでに作業に入って進めております。資料の4枚目、「医療安全検討会議の当面の検討事項」というのがございまして、来年の春をめどに、グランドデザインを作成するという方向で進んでいるのですが、この中で検討すべき事項が一〇項目あります。これでフィックスというわけではなく、委員で今検討していただいた結果、この一〇項目でやろうというわけですが、この中の一、二、三番について今検討を進めているところです。
「インシデント事例報告書」の形式ができあがっていれば提出されたい
【厚】これは今検討中でして、来年の秋にはインシデント事例の収集システムを動かしたいと思っておりますので、まもなく形式はできあがってくるような形で作業は進めています。
「インシデント事例報告」は法律に基づく収集システムにすべきではないか
【厚】どうして法律に基づくシステムが必要なのかをお伺いしたいと思います。
【交】出しても出さなくても良いという考え方が出てくる可能性があると思うのです。アクシデントを出さないとなると大変な問題になるけれど、インシデントレベルだと、求められたからといって別に出す必要はないだろうと考える。ある病院が出さないということでやってくると、他の病院も横並びでだんだん出さないという、システムとして機能しなくなっていく可能性がある。根拠になるものをきちんと作っておいて、それで「出していただきたい」ということにしないと、制度として位置づいていかないという気がする。
【厚】出るか出ないかというところについては、まだ動いてない話なので何とも言えないのですが、少なくとも今特定機能病院と国立病院から参考にいただいくような形で作業を進めておりまして、実際にこれが動き出してからの経過を見ていただいてから、判断していただいても良いかと思うのですが。
【交】病院の中ではそれなりに上がってくると思うのですね。それをどこまで出すのか、一年間のどの時点で出してもらうことにするか。その中の重要な事例だけ出せという話なのか。それとも全部出せという話なのか、今の話だとはっきりしませんね。だから何かきちんとした根拠を。
【厚】法律に基づく根拠を定めたから出るとか出ないとかいう話ではないですね。
【交】それはそうですよ。だけど、厚生労働省として、出させないとこの問題の根本的な解決に繋がらないという認識をちゃんと持っていれば…
【厚】要は多数の事例を集めることによって同種の事故の事例を防ぐための対策ですね。出させるために法律でなければいけないという趣旨がわからない。
【交】医療機関というのは、都合の悪いものは出したくないわけですよ。
【厚】実際に動き始めてから、経緯を見てもらった方が良いと思いますけれど。
【交】ということは、そういうことを留保しておきたいということですか?
【厚】留保云々じゃなくて、法律によるやり方というのも一つの手とは思うのですけれど、それ以外の方法もあるわけですね。私どもは今法律に基づくシステムというのは考えておりません。それ以外の手段として、厚生労働省の方からお願いするという方向で動いております。法律が適切かどうかというのを今の段階で議論するのはちょっと早い気がします。
【交】「検討会議」の設置根拠はどこにあるのですか、この要項に基づいてですか?
【厚】はい。
【交】要項の拘束力というのはどういうふうなのですか? 法律ではないですね。そうするとどれくらいの位置にあるのですか?
【厚】これは医政局長と医薬局長の関連する部局の私的検討会です。
【交】そうすると、この要項を途中でやめようとなると一方的にやめることも可能なのですか?
【厚】一方的にというわけにはいかんと思うのですけれど、法律に基づいていないので、こちらの判断でということになりますけれど。
【交】もうこういうのは必要ないということになればやめるということになるよね。
【厚】そういう時期が来たらということです。
【交】なぜ医療被害者を委員に加えなかったのですか、医療事故なのに。
【厚】被害云々という話で行けば、参考人としてこちらの方から招請できるような形になっていますので。検討会議が必要と認めれば患者さんの声を聞くことになります。
【交】予定はあるのですか?
【厚】するしないは検討会議の方で決めることで、この場で申し上げることは難しいです。今この場で対外的に公表できないことです。
【交】それでは、コムルをなぜ委員に?
【厚】患者の支援団体という立場で入れさせてもらっています。
【交】カルテ開示の法制化が議論になったとき、多くの患者団体、市民団体が法制化について意見を言ったのをご存じですか? 唯一法制化反対を言い続けたのがこの団体なんですね。それは知っていますか?
【厚】そこの話は、私は承知していませんが。
【交】カルテ開示で唯一反対し続けたのに、なぜ選ばれたか?支援団体はいくつもあるのに、その理由は?
【厚】理由については、こちらの方でお答えできないのですけれど。選定の話なので、具体的にはお答えできません。
【交】この検討会議に我々被害者団体としていろいろ要望を出したいという時には、何か方法がありますか?
【厚】会議に対しての個々の要望については今のところ受け付けてないですが、それとは別にいろんな要望の話があればこういう場を通してお伺いしたいと思いますし、それはそれで行政としてきちんとしたいと思います。
【交】あなたを介して会議の方に反映させていただけると理解して良いですか?
【厚】反映させるかどうかというのは、検討会という場で委員の人たちが議論して決めることなので、そのまま出せるかというと、それはなかなかその通りとはいかない。
【交】例えば「こういう事実があるので、是非出してほしい」と出した時に出してもらえるのですか?
【厚】申し訳ないですが、出す出さないということはなかなか言えないですので。
【交】医療機関から上がってくるいろいろなデータに基づいてやるかもしれない。だけど、被害者が自分の被害を訴えられる場があれば良いけれども、それはない。その被害が医療機関からは上げられないかもしれないのですよ。実際の被害者たちから「こういう被害を私たちは受けたのだ」、「こういう事は問題だから何とかしてもらえないか」とか、そういう事に対する受け皿として何かないといけないわけですよ。
【厚】その話は置いておいて、検討する時に医療被害者の方を参考人として呼んでお話を聞くとか…。
【交】参考人は後の話で、「事実こういうことがあるのだ」「こういう事が問題として起こっていて大変困っている」という話の受け皿として機能してもらわないと。その上で、次には「被害者に直接話を聞いた方が良いのじゃないか」という話になるわけでしょう、流れとして。
【厚】はい。
【交】こういう会議を、本当は医療被害とか薬害をなくそうと思ってあなた方も設置したわけでしょう。そうしたら、限られたところの情報だけで私たちはやるのですよというのはやめてもらいたいわけです。
【厚】限られたところの情報というつもりは毛頭ないのです。
【交】そうであるなら、医療被害者の「こういう事実があるのだ」という情報を受け止める姿勢を持ってもらいたい。
【厚】それでしたら、今後検討していくに当たって、そういう被害の実際の例とかを参考人の形で呼ぶようなことを…。
【交】事実を伝えなければ参考人を呼べないでしょうと言っている。
【厚】事実としては、我々もいろいろ報道なりで掴んでいる例もございますから、その中で代表的なものを…。
【交】代表的なものをあなた方に判断していただく必要はないんだ、被害はいろいろな形であり得るわけだから。それを届ける窓口としてあなた方がなってくれたら良いじゃないの。
【厚】それを届ける云々なんですが、我々が今考えているのは、先ほどから申しているのですが、インシデント事例を集めて、それを実際に医療現場で同じような事例が起きないように、それを直していくということを通して医療事故をなくしていこうと考えています。
【交】議論としては、そういう(届けを受けるという)姿勢を持っていないと理解して良いわけだね?
【厚】少なくとも、事故そのものというよりは、事故に至る前のインシデント事例が実際事故に繋がるものと同質の内容のものも含まれていますので、そういうのを多数集めることによってケアしていきたいと考えております。
【交】インシデント事例を集めるに当たって、患者側の声を集める方法はないのですか?
【厚】今のところありません。
「インシデント事例報告書」はどのような作業を経て医療機関に返されるのか。
【交】インシデントというのは絶えずだらだら出てくる可能性がある。どの段階で整理するという話になる?
【厚】具体的な月はまだ決まってないのですが、医療機関から例えば一ヶ月に一回いただいて、それを分析して、結果を医療機関の方に還元するという形の流れで考えています。
【交】還元は、いただいたところにだけ返すという形なのですか?
【厚】そういうふうには考えてません。広く医療機関に知らせる。配布という形になるのか、インターネットで公表するという形になるのか、そこはまだはっきりしていない。
「アクシデント事例」はどこで、どのように収集されるのか。
【厚】医療対策という意味では、今厚生労働省としてはインシデント事例を収集してそれを基に医療安全対策を取るというふうに考えてますので、事故そのものについては医薬局で都道府県から報告があったものについては収集してもらいますけれど、それ以外のものは医療安全対策としては基本的には取り上げないということで、先ほど来申し上げている次第です。
【交】少なくともあなたの所では「あくまでもインシデント事例の収集を医療安全対策検討会議の目的にしている。アクシデント事例に関しては私たちの領域の範疇でない」と、こういうこと?
【厚】少なくとも医療安全対策に役立てる情報としては、インシデント事例を集めるというのが大きな流れです。
【交】アクシデント事例はどうなるのですかと聞いているわけだよ。
【厚】アクシデント事例と同種のインシデント事例が多数ありますので、アクシデント事例そのものの分析というよりはインシデント事例の分析という形で還元します。
【交】アクシデント事例で、医薬局が各都道府県から上がってくる情報収集は、システムとしてあるのですか?
【厚】システムというよりは、通知でお願いしている。
【交】通知の文はもらえますか。夕方までにコピーをいただけるとありがたいですね。
【厚】はい。通知でもって上がってきたものを全く見ないという事じゃないのですけれども、それよりもシステムとして動かそうと思っているのはインシデント事例だということです。
【交】アクシデントいうのは、インシデントの中のもう一つ崩れた形ですよね。その崩れたところはどこなのかという分析は行わないのですか?
【厚】崩れかけたというのがインシデントですね。どこが崩れかけたかというのを分析するのが重要だというふうに考えております。
【交】アクシデントの中だって、ここさえ守られれば事故が起こらなかったのではないかという事例があると思うのです。なぜそれを取り上げないのですか?
【厚】いくつか、横浜市大の事故だとかについては実際に調査して検討している例もありますし、各医療機関等で事故が起きた時はそれぞれの医療機関の中で調査をしてどこに問題があるという調査がされることになっていますけど、その結果報告書はもちろんいただいて、こちらで医療対策ということで役立てるようには考えています。
【交】調査報告書はいつからもらうようにしているのですか?
【厚】実際に医療機関を管轄しているのは都道府県なので、都道府県の方で調査報告書をいただいたものを都道府県の方からいただくということになりますね。
【交】どれくらいの事故だと事故報告書を作るのですか?
【厚】基準は都道府県に任されている。
【交】インシデント事例だけでやることがアクシデント対策を含んでいるというのは、大きな間違いだと思うのですよ。インシデントでリスクマネージメントをやるのは非常に大事なんですが、結論は設計とかデザインの話になるのですよ容器が似ていたとか、どんなところにも繋がるようになっていたとか。設計やデザインで事故を起こりにくくすることはすごく大事なことですが、インシデント事例ではそれしか出てこない。アクシデント事例をやると、なぜそれが止められなかったかという、次が出てくるのですよ。原因が重なっているのですよ。重なることは偶然じゃないんですよ。同じ大学の医学部で、先輩に言いたくても言えなかったとか、いろんな事が起こっているわけですよ。
【厚】それも含めてインシデント事例というものの収集を考えているので。おっしゃるように容器とかデザインということも出てくるのですが、我々がインシデント事例として集めようとしているのは、それらの要因のみでなくて、広くヒューマンエラー、例えば伝達の誤りとかも含めて集めて検討するという…。
【交】伝達の誤りだけを訂正するのにどうしたらよいかというと、結局デザインとかシステムとか機械的な話しかならないのですよ、インシデント事例だけだと。人間相手だという特徴が出てきませんよ。
【厚】それはちょっと後にさせていただいて。
【交】「集まってきたインシデントの具体例を提出願えませんか」と言ったら提出してもらえます?
【厚】我々の方の制度としては情報公開法の請求が来れば、その限りではお出しするという形になると思うのですけれども。
【交】少なくとも厚生労働省に上がってきた時点ではプライバシーの侵害がないような形で上がってくるだろうし。検討会議だけが検討すれば良いという話でないと思う。だから、それなりの資料が集まってきたら我々も検討させてもらえないかというふうに思う。そういう意味でご提出をお願いしたいと申し上げたのです。
【厚】プライバシーの問題とかそういうのがない限りは基本的に情報公開で対応させていただきますから、そういう形で出すことになると思いますけれど。
【交】インシデント事例の集め方で「システムとして」ということがさっき出てましたが、「法律に基づかなくても」とおっしゃっていましたが、具体的にはどういう形を考えているのですか?
【厚】通知でお願いすることになる。まだ通知ができてないもので名前ははっきりしないのですが、通知で出していくという形で。
【交】検討項目の七番目の所に「患者の視点に立った安全」というのがあるのですが、患者の視点から見たというのはどういう風な形で検討していくのでしょう?
【厚】一つは、どういう問題が起きているか。もう一点は、医療安全ということについて患者もきちんと考えて来る…。患者が参加することで医療安全が高まるということもあるので、そういうような配慮が…。
【交】患者も責任もてということですか?
【厚】医療安全に参加してもらうということで、責任もてということではないのです。
【交】参加してほしいといいながら、被害者は入っていないし、意見を聞くようなシステムをつくってないのは何か変ですね。それならそれに見合う態勢にしないといけないですよ。「患者の視点に立って」という議論の時に何によって担保できるのかというのが疑問です。実際にここ(検討会議)に参加している方々に、患者の視点からものを見ている方々がどれ位いるが疑問に思う。
【厚】議論はまだそこに入ってないです。
【交】大事なことをやっているとは思うけれど、私たちはアクシデント事例の収集と分析が大事な部分になると思っているので、単純にインシデント事例だけでよいのかという疑問を持っています。確かにこれまでの考え方からすると、一つの事故は下に何百件ものインシデント事例を持っているということはよく知っているけれど、そこだけに焦点を当てただけでよいのかという疑問です。