遺族へのカルテ開示はなぜ拒否されるのか?
【厚】原則的には患者本人なんですが、特例を設けておりまして、患者本人が入院中に急死した場合など、患者本人が意思表示ができなかった場合、遺族からの請求があって、遺族との信頼関係の確保の観点から、主治医が必要と認めた場合において、施設庁は診療録等開示委員会に諮り、診療録等の開示の対象者、開示の範囲、および内容、開示方法等を審議した上で、診療録等の開示を行うことができる、ということになってございます。今回のケースでございますが、診療録等の開示委員会で慎重に審議しまして、その結果としまして、数次にわたり、担当医より家族への病状の説明、インフォームドコンセントも行われておりまして、治療方針についても合意を得ていた、などの理由から、不開示になったということで、循環器病センターの方から聞いてございます。今回の手続き等におきましては、診療情報の提供に関する指針に基づいて、診療録等開示委員会に諮って審議をした、ということでございまして、手続き等につきましても、今回の決定については妥当である、と国立病院部の方では考えてございます。ただ、遺族の方には、ご不明な点、ご不審な点等もあると思いますので、可能な限り、ご要望、ご意見というのは、承る、ということでございますので、一度、循環器病センターにご相談されては、と思うのですが。
【交】理由がもう一つよく分からないんですが、遺族だから開示しない、ということではないんですね。
【厚】遺族は、当然開示の対象になるんですが、そもそも開示になるのは、患者さんが急死した場合など、ご本人さんが意思表示できない、という場合において、主治医が必要だと判断して、カルテ開示委員会にかけるんです。少なくとも、委員会に絶対かけなくてはいけませんので、今回はその審議で、主治医がもう離職されていていらっしゃらないみたいなんですが、関係のドクター、それからカルテ開示に詳しいドクター等も集めて、審議していただきまして、患者さん、あるいはご家族の方に、そういった説明も治療方針についても行っていた、と、改めてカルテを開示する必要性というのはないんではないか、という判断をされた、ということで聞いてございます。
【交】説明を病院側がしたから開示の必要はない、というご判断ですよね。だけど、にもかかわらずやっぱり欲しいんだ、と遺族の方はおっしゃっているわけでしょ。
【厚】はい、そうですね。
【交】それは理由になっているように思えないんですけど。
【厚】結局、その委員会にもかけて、そもそも特例ということにあてはまるのかどうかですが、そこのカルテを見て、インフォームドコンセントもされていましたし、改めてカルテを出す必要性は、不開示でいい、という判断をされたわけなんですね。それで、ご本人さんにもそれで終わり、というわけではなくて、ご相談下さい、という話しで、確かお手紙なり通知なりを出していると思うんですが、昨年末に一度ご相談に来られる、という話しがあったみたいなんです。ちょっと先方のご都合でキャンセルされて、改めてご相談される、と聞いているんですが、それで一度ご相談されてみてはどうか、と思うんですが。
【交】その本人は、カルテが見たいんですよ。話が聞きたいのではなくて。
【厚】カルテが見たい・・・
【交】実際に説明をされてもですね、その根拠になっているものはお互いにその両方持っていてね、そして、このデータなり、判断に基づいてこうやったんだよ、というのがわかればいいですよね。
【厚】はい。
【交】しかし、そうではないですよね。カルテは病院側だけにある。遺族には渡されていない。そこでの話しですよね。
【厚】そうですね。
【交】条件が全然対等になっていないですよね。
【厚】遺族の方が持っていないから、ということですね。
【交】そうです。だから、説明されている根拠の確認ができないわけでしょ。根拠の確認できない中で、だけどもその根拠の情報自体が共有されていないわけですよ。
【厚】その辺は説明されている、というふうに私は聞いていますが・・
【交】説明だけで、それが納得できると思います?
【厚】もう今、治療は既に済んでいるわけなんですね。
【交】だけど、そのことについて、いろいろ結果がどうだったのか、そのことを具体的に知りたいと思っているわけでしょ。カルテを欲しいということは。
【厚】ですから、カルテを出して説明する必要はない、と。
【交】それは、変じゃないですか?国立病院部はガイドラインを出しているでしょ。
【厚】出しています。
【交】その国立病院部の考え方は、医者自身に聞いてインフォームドコンセントができている場合は、カルテを見せなくて良い、という考え方なんですか?
【厚】いえ、そんなことはないです。ご本人さんからの請求に関しましては、開示委員会等にはかって出す、ということになっていますから。
【交】インフォームドコンセントができている、できていないに関わらず、原則は、開示なんでしょ。
【厚】原則開示です。
【交】それじゃあ、今の理由にならないんじゃないですか?毎日新聞を読まれましたか。
【厚】読みました。
【交】遺族のコメントが載っていたでしょ。
【厚】はい。信頼関係が確保されていない、とご井奥が言っている、ということなんですが、循環器病センターも、カルテを見て、その上で、その当時ちゃんと説明して、ご本人さんもご家族の方も納得されていたと・・・
【交】原則開示といいながら、開示する前にカルテを見て、見せられないと決める。そこに何が書いてあったら見せて、何が書いてあったら見せられないんですか?
【厚】中身の審議では、今回はないと思っています。
【交】インフォームドコンセントがしてあると書いてあっても原則は開示なんでしょ。
【厚】ご本人さんには開示です。
【交】ということは、今回は原則に反する結果を出したわけでしょ。
【厚】そうですね。
【交】じゃあ、理由は何なんですか。
【厚】ですから、特例等にあてはまるかどうかも、勘案されているわけなんですよね。
【交】インフォームドコンセントができていると書いてあるから開示しない、というような言い方をしたけど、それは間違いですか?
【厚】それも間違いじゃなく、それの理由もあります。
【交】カルテを見て、インフォームドコンセントをしました、と書いてあったら原則は非開示なんですか?
【厚】いや、開示ですよ。
【交】じゃあ、理由にならないでしょ。
【厚】今回の審議の理由の一つとして、聞いている、ということで、私はお答えしているわけです。
【交】そんなことを聞いても、それは理由にならないですね、と言い返さなければいけないじゃないですか。国立病院部の考え方を聞いているんですよ、僕は。それは理由になるんですか?
【厚】理由になります。
【交】えっ?
【厚】だから、一般にインフォームドコンセントしているから、主治医が改めて開示する必要がない、と判断してしまったら、言えないんじゃないですか。
【交】それが、国立病院部の考え方ですか?
【厚】はい。
【交】それじゃあ、何のためのカルテ開示ガイドラインなんですか?
【厚】委員会に諮って、主治医が改めて開示する必要があるかどうかを判断するわけですね。
【交】国立病院部が出しているガイドラインというのは結局嘘だったんじゃないか、ということになりますよ。今の話しだったら。つまり、インフォームドコンセントがしてある、と書いてある、ということは、それは、カルテを見せない理由の一つになる、という見解ですか?
【厚】なりうる、ということです。
【交】国立病院部として?
【厚】はい。
【交】そんなガイドラインだったんですか、あのガイドラインは。それ以外の理由はなんですか?
【厚】それ以外の理由でこちらが聞いているのは、特例の話ですね。今回は遺族の方ですから、本人が入院中に急死した場合など患者本人が意思表示できなかった場合、ということでありまして、遺族との信頼関係の確保の観点、あるいは、主治医が必要と認める場合には施設庁は委員会に諮って開示を行うことができる、ということになっているんです。
【交】はっきりさせて欲しいんですけど、開示の特例対象となる場合というのは、どういう場合ですか?
【厚】患者本人が入院中に急死した場合、要するに患者本人が意思表示ができなかった場合ですね。あくまでも、ご本人さんへのカルテ開示ですから。
【交】遺族にも、特例として開示の対象になるわけですね。
【厚】そうです。
【交】大事なことは、開示の特例対象という条件ですよ。
【厚】入院中の急死など、患者さん本人が意思表示ができなかった場合、ということで言っておるんですね。
【交】開示の特例対象というのはそれだけなんですか?
【厚】そうです。
【交】それ、何かおかしくない?
【厚】おかしいですか?
【交】遺族の方が、説明に納得できない場合は、特例対象にしなければいけないでしょ。
【厚】どういう意味ですか?治療に対して不信がある、要は、訴訟ありき、の話しですか?
【交】そういうこともありえるけど、訴訟があるかないかは別の問題だ。他の医者にも説明を求めたい、という意味でカルテが欲しい、ということがあるでしょ。
【厚】可能性は考えられますね。
【交】納得できないからカルテが欲しい、というのは特例の開示対象でしょう。そういうことがルールとしてはないでしょ。
【厚】言っていることは分かるんですけど、ルールとしてはそうは書かれていないんですね。
【交】それはやっぱりおかしいんだよ。欠陥なんだよ。
【厚】欠陥と言われればそうかも知れません。
【交】一番の問題点は、インフォームドコンセントが十分にやられたかどうか、というのは医者がみんな判断しているんですよ。本人や遺族が納得できました、とあとで一筆書くようなものはないですよ。だから、医者の側が、勝手にちゃんとインフォームドコンセントをしていると書き込んでしまう。
【厚】患者さんと医療者側の違い、ということですね。
【交】こんなルールおかしいでしょ。
【厚】当然これもできたばかりですから。去年の4月からですから。
【交】厚労省は、オフレコで聞いているんですが、国循がなかなかいうことを聞いてくれないんだ、と嘆いている、という噂が出ているんですよ。だから、国循が責められるべきで、国循という病院の個別の問題として取り組もうと思っていたんですが、国立病院部も国循と同じなんですか?国民の信頼を得ようとして、ガイドラインを出した国として、国循の理由に納得できるんですか?
【厚】そこの整理ですよ。医療現場の人間が通常医療をしているわけですから・・・
【交】本当にそれでいいの?本当にガイドラインを出した責任ある立場として、本当にこんなのが非開示でいいと思っているの?
【厚】・・・。
【交】この例が非開示でいい、というならガイドラインがなくなってしまうよ。
【厚】それを言われると、これが不開示でいいかどうか、と言われると・・・
【交】こんな理由であなたは納得できるの?
【厚】私の個人の意見は別とさせてください。
【交】もう一度確認しますが、私たちの要望は、非開示を改めるよう指導せよ、と書いていますね。指導されました?
【厚】ちゃんと連絡しましたよ。
【交】この新聞記事の主旨は、こんな理由で非開示にするのか、ということですよ。正式に、本人に送られてきた通知には、インフォームドコンセントができていたと判断するから非開示です、と書かれているわけです。そんな理由で非開示にすることが許されるのか、それじゃあ、ガイドラインは無きに等しいのではないか、ということで、怒っているんですよ。
【厚】循環器病センターに、本省から言ってもね、内は指針に則って、委員会にかけてやっていますよ、と、こういう判断をしたんです、と言われれば、手続きで何が悪いのか、と言われれば、手続き以上のことは言えない、ということなんですよ。
【交】これは、規定自体が問題なんですよ。
【厚】はい。そうかも知れません。まだ、できたばかりですから。
【交】もう一回、国循に言っておいてよ。個人的な意見もふまえて。
【厚】個人的な意見は言っていますよ。循環器センターに対して私がどのように言っているかを聞いていただいても結構ですから。
【交】国のガイドラインがつぶれてしまいますよ。
【厚】そういう話しがどんどん出てくれば、そういうことを見直す話しにもなると思うんですよ。今回とは別の話ですが、どこで齟齬があったか、とかね。だから、今後、カルテの答申をしたときにも、色々今後必要があれば改正もしていきますよ、と。
カルテ開示に向けて日本医師会への補助金の使途は?
【厚】まず、補助金を正確にということですが、三七〇〇万三千円です。その決定の理由ですが、そもそも拠出というよりは補助金ですので、国の予算額がこの額ですので、その額を交付した、という形です。
【交】厚労省が、予算を請求したんですね。
【厚】はい、そうです。
【交】その理由を教えてください。
【厚】この中には、事業としては二本ありまして、一つは苦情処理窓口等の設置に必要な研修事業ということで、こちらは四一九万七〇〇〇円です。もう一つが、一般診療所における指針の普及・啓発のための研修事業ということで、こちらは三二八〇万六千円です。
【交】なぜ、その額になるんですか?
【厚】私どもの方で積算しましてですね、例えば旅費であるとか、会議費であるとか、もちろん決められた単価がございますので、その単価に基づいて積算させていただきました。
【交】どちらが、こういう予算が必要だ、と最初に言い出したわけですか?
【厚】当然予算要求ですから、手前どもの方でやっています。
【交】日本医師会が、そういう予算でやった結果の使途はどうだったんですか?
【厚】これは、予算なので、実際に使われている金額というのはこれより多いと思うんですけど、苦情処理窓口というのは、東京でいわゆる研修を行うというものですね。一般診療所における指針の研修事業というのは、各地で開催して、各都道府県で行う、というものです。
【交】この指針というのは、何の指針をさしているんですか?日本医師会の指針ですか?
【厚】そうです。診療情報の提供に関する指針、です。
【交】基本的には、日医の指針は、法制化のカルテ開示は認めない、という考え方ですよね。
【厚】日医の考え方の代弁を私がするのは、変な話しなんですが、法制化、法律で義務づけると信頼関係が損なわれる、という点が、じゃっかんまだあると思うので、そこは医療従事者が、プロ意識に基づいて自分から開示していきます、と、その取り組みの成果をみんなみて下さい、というのが医師会の意見だと、私は考えておりますから、そのための環境整備として、今回の予算化をやっているという認識です。
【交】これは、日本医師会が出したガイドラインで、厚労省が出したガイドラインじゃないでしょ。日本医師会が出したガイドラインを日本医師会の人に徹底するためのものでしょ、これ。
【厚】ただ、ガイドラインの普及・徹底だけじゃなくて、開示に対するやり方とか、そういう話も多分、研修ですから・・・。
【交】厚労省の人が講演に行っているのですか?
【厚】それは、ちょっと確認しないとわからないですが・・・多分行ってないと思います。
【交】日本医師会だけでやっているんでしょ。厚労省が主催しているわけじゃないでしょ。
【厚】どういう意味で、主催、というのかわかりませんが、我々としては、補助している、という意味ではかんでいますよね。
【交】研修会は厚労省が主催したんですか、日本医師会が主催したんですか?
【厚】当然、日本医師会ですね。
【交】日本医師会が主催している研修会に国がお金を出すと言うことはよくある話しなんですか?
【厚】私どもが把握した限りではないです。
【交】初めてですか?
【厚】初めてだと思います。ちょっと、確認しなければいけないと思いますが。
【交】お金に対する報告書、というのは求めていらっしゃるわけですか。
【厚】当然ですね、実績報告書、というのがあがります。補助金ですので。
【交】それは、頂くことは可能ですか?
【厚】そこはちょっと確認します。
平成十三年度はどうなっているか?
【厚】現時点ではまだ、補助金の執行はされていないんですが、十三年度の予算額としまして、先ほど申し上げましたように、苦情処理窓口等の設置に必要な研修事業として、四一六万七千円の予算額があります。同じく、一般診療所における指針の普及・啓発のための研修事業ということで、二九五八万二千円です。合わせまして、三三七四万九千円でございます。そちらも平成十三年度補正後の予算額でございます。
日本医師会以外の団体への補助は?
【厚】日本歯科医師会には、予算としてはないです。日本診療録管理学会、というのがあるのですが、補正後予算額で、これは執行額と同じなんですが、一七五一万五千円。同じく日本診療録管理学会の診療録管理に従事する社の研修事業としまして、七九三万四千円。ご参考に、他の、いわゆる、診療情報提供環境整備関係費ということで、臨床研修病院の指導医の研修事業としまして、財団法人、医療研修推進財団に一四八七万円、同じく、歯科医師の臨床研修指導医の研修事業としまして、七二五万五千円。こちらは、歯科医療研修振興財団。以上が、診療情報提供関係の予算でございます。
【交】これは何年度?
【厚】十二年度の補正後予算額です。
【交】十三年度は?
【厚】十三年度もあります。
【交】延べ、いくらですか?
【厚】十二年後の補正後予算額としまして、八四五七万七千円、平成十三年度の補正後予算額としまして、七八九六万六千円。
平成一四年度は補助金を出すべきではないと考えるが
【厚】十四年度の当初予定額として、八六五〇万五千円です。
【交】これ、いつまでやるの?
【厚】一つの目安としては、平成十一年七月の医療審議会の中間報告で、当面、環境整備をすすめる、というのがあるので、この要求の基礎になるものと考えています。今年度は予算要求しましたが、平成十五年度につきましては、十四年度の七月の見直しの話がどうなるのか、まだ、そんなにご報告できることはないんですが、それも踏まえて、どういうカルテ開示をするのがいいのか、予算要求が必要であれば要求しますし、必要でなければ必要ない、という考え方をしていきます。
【交】指針の普及・啓発、ということだけではなくて、今後、厚労省としては、カルテ開示の法制化を考えているという意図があるとすれば、そこらへんは研修の中に厚労省の担当の方が参加して、そしてきちっとその意向をその場でお伝えする、というのが当然やられていかなければいかんと思うんですね。今のお話しでは、お金をこれだけ出して、単なる医師会の指針の徹底のためだけの場という、そういうような受け止め方になってしまうんですよね。
【厚】日本医師会に対するどういう評価をするか、というところになってくると思うんですけど、医師会さんの方でも、間違いなく、開示をしたい、というふうに我々としては認識しています。坪井会長も完全に見せることがあるべき姿なんだ、と言っていて、やらない医療機関はダメだからどんどん日医としてもやっていく、という話しもあると聞いています。なんで、医師会だけか、ということになるかと思うんですけれども、まあ、医師会は医師の団体として一番影響力も大きいでしょうから、そういう意味で、医師会に対して補助をする、というのは、そんなにおかしなことではないと考えております。周りから外堀を埋めていって、他の病院でもあんなに開示してますよ、ということを言えば、だんだん開示をしないということ自体がはずかしい、という流れになってくると、我々としては、この環境整備をすすめていますので、その結果を踏まえて法制化をするかしないかと・・・
【交】要するに、厚労省の意図が十分にその研修会の中に反映されていくのかな、ということを申し上げたかったわけで、平成十四年度がまたあるんだったらね、厚労省の意向がその研修会の中に反映できるようなものが組まれないと、不十分だと思うんですよ。
【厚】もちろん、そのように我々としても努力していきます。
【交】その実績の報告を出していただく、ということでお願いしたいと思います。
各団体がカルテ開示を進めるために出した通知などは?
【厚】我々の方で、情報収集をして持っているものを読み上げますと、まず一つは、「国立大学付属病院における診療情報の提供に関する指針」が平成十一年九月です。後は、日本医師会さんの出されている「診療情報提供に関する指針」、それから、東京都の方で出しているんですけれども、「都立病院における診療情報の提供に関する指針」、あと、平成十二年の夏ですが、日本精神病院協会の方で「診療情報の提供に関する指針」をいうものも、あと看護記録の方なんですが、日本看護協会の方で平成十二年五月に「看護記録の開示に関するガイドライン」、平成十二年六月に「国立病院等における診療情報の開示に関する指針」、ということですね。
【交】ガイドラインを出した後に、通知を出している例がありますよね。例えば、国立病院だと、遺族への開示は六十日て書いてあったのが、それを後で撤廃する、という通知を出したりしていますよね。そういうので、把握しているものはないですか。
【厚】このご質問の、「通知」の意味がそういうことだとはわかりにくかったので、ちょっと・・・
【交】それらのガイドラインのコピーをもらうことはできませんか?
【厚】この中には、ホームページに載っているものもありますが。日医だと、PDFファイルでありますよね。
【交】ホームページに載っていないものや、ガイドラインがその後の通知で修正されているものとかを、国民が知りたいんですよね。今、カルテ開示がどんな状況になっているのかは、完璧に把握してもらっておかないと。【厚】そういう意味でおっしゃるんであれば、当然我々としても、カルテ開示を進めていくという観点から、周知徹底をはかる、ということはあり得ますけれども、それはどこがやっても同じ話しですから・・・
【交】厚労省のホームページにリンク集を出してよ。
【厚】カルテ開示に関するもので、ですね。
【交】その後に通知が出て、ガイドラインが修正されたら全部把握して書いておいてもらわないと、わからないですよ。
【厚】こちらから強制的に報告させる、というわけにはいきませんし、それぞれの法人に電話をすれがよいということでは、誰がやっても同じですよね。必ず、主体が国である必要はない、と思いますけれど。
【交】あなたが情報を把握しておくべきだ、と僕は言っているんですよ。
【厚】我々は情報として、どういう情報があるか、というのはなるべく把握するように努めています。
【交】それを国民にわかりやすく示す役割もあるんじゃないか、と言ってるんです。
【厚】それも、一つの方法として考えますけど、それは、どこがやってもいいことですよね。
【交】どこがやってもいいけど、国は少なくともやるべきではないですか。
日医・日歯医のカルテ開示状況をどう評価しているか
【厚】今、何パーセント開示しているか、というような調査までは至っていませんので、正確な数字というのは出せませんけれども、基本的にガイドラインというのは各団体でどんどん作られていると考えておりますし、こうしたカルテ開示に向けた取り組みというのは着実に進められているいうふうに思います。
【交】そういう公式な見解じゃなくて、具体的に個別に開示を求められた方がいて、それに対して、どういう対応で、結果、開示したケースがどれくらいあったか、どういう理由で不開示にした、というデータをやっぱりきちっと出していただくということも、それだけお金を出されているということは、私はそういうこともお聞きになる必要があると思うんですよ。今年、もう一度再検討する、ちょうど3年経過したということでね、そのためにも、どのように把握しているか、と聞いているわけですよ。
【厚】そこは、申し訳ないけれど、おっしゃるとおりだと思いますよ。調査もただじゃないですから、そこはまた予算要求するかどうか、ということになりますけれども、我々としてやるとしたら、各団体さんが、傘下の団体にアンケートをとったりとか、そういうデータとかは転がっていると思いますから、そういったものをまずちょっと集めてですね、我々としてどうやっていくか、ということをですね。
【交】じゃあ、何らかの形で対応しようと思っている、という理解でよろしいですか?
【厚】当然そこは、法制化の裏のお約束もございますから、そこは材料となるバックデータは今ないですよね。だからそこは情報収集していかなければいけない、と私は認識しています。
カルテは実質何年保存しているか
【厚】国立病院の政策医療課です。保存年限等については、医師法に規定された五年ということで行っている、というふうに把握しております。国立病院・療養所において、カルテ開示等について出された通知、ということですが、出されたものは二通ございまして、出された年限がかなり古いんですが、特例の規定を定めた通知なんですが、戦後、恩給法に基づいて、一定の考慮を与えるために出されたものでです。現段階において、他に五年間以上に延長で何か特別にしろ、という通知は出ておりません。
【交】最低五年間保存しているのは当たり前のことで、実質何年保存しているのか、つまり、何年経って破棄しているのか。
【厚】それについては、正直申し上げまして、二百数十施設ある国立病院・療養所等で、それぞれが個々何年ごとで、破棄が行われているか、ということは残念ながら把握しておりません。なぜかと言えば、施設の個別な判断において、それを超過して保存していたとしても、違法ではない。また、本省の方から五年経ったら必ず破棄しなさい、という通知が出されていないものですから、それについては、把握しておらないわけですよ。
【交】学会とかでは、五年保存では足らないだろう、ということで、もっと長く保存する方向になってきているでしょ。
【厚】はい。
【交】実質何年保存しているかということを、次回の交渉までに調べておいてもらえませんか?
【厚】次まで、というのに、どれだけのスパンを頂けるのか、ということがあるんですが・・・。帰って、するべきだ、というご意見があったことを相談させていただきたいんですけど、もし仮に調べるとしても、できればランダムサンプリングで、何施設か、というのではどうでしょうか。全施設になっちゃうと、さすがに能力もありますし。
【交】サンプリングでも良い、ということで、ぜひ次回までにお願いします。
【厚】はい。
カルテの保存期間を延長すべきでは
【厚】今、申し上げたとおり、医療機関の事務負担ですとか、当然、コストのかかる話ですから、議論が必要ということになります。実態を申せば、五年間は保管ですが、それを超えた年限については、診療に差し障りがないように適切に保管されるべき、というふうに考えておりますから、基本的に、保存年限だけを伸ばす、ということは、今の段階では事務負担の増、ということで理解が得られないんじゃないか、というふうに考えています。
【交】電子カルテの流れがあって、たしか、平成十八年くらいには、かなりの割合を目標に、という報告書がありますよね。
【厚】はい。百パーセント完全に電子カルテが入れば、それは割と、結構簡単に、いいやすい、と思いますが、電子カルテの導入が進んでいっても、やはり差が残ると思いますので、法律に電子カルテを持っているところだけは30年、とか、そういう書き方をするのか、という話しもあるか、と思いますが。
【交】可能なところから、というのは、よくやることじゃないですか。
【厚】いずれにせよ、電子カルテ自体がまだ1%とか、そういうオーダーですから、まだなかなかそういう風潮にはなっていない、というふうに認識しております。お伺いしたいのは、保存年限を増やすことには色々な意味があると思うんですよ。どういう観点から今回こういう要望を出されたわけですか?
【交】薬の問題でいうと、薬害の証明みたいなことをとる、ということになると、五年では足りない、ということがかなりあるんですね。カルテ自体が存在しないと証明書を出せない、ということがあるわけですよ。
【厚】薬害ですか。
【交】薬害ヤコブも五年でほかしていたらわからないでしょ。スモンの頃から、五年では証明がとれなかった、という人がたくさんいるわけですよね。そのときから、かなり問題になっていたわけですよね。
【厚】薬害の話というのはわかると思いますが、ただ、裁判にしたいから伸ばす、というのは、・・・
【交】裁判できるかどうか、というのは見なければわからない、ということがありますから。カルテを取ることが、イコール裁判だ、ということが基本的に間違っていますね。そうじゃなくて、カルテをまず見て、どういう診療だったのかを見てみないとわからない、ということなんですよ。その上で、裁判になることもあるし、これは、やむを得なかったんだな、と思われる方もいるわけですよ。
【厚】十何年前のカルテを見よう、と思われる方は、結構おられるんですか?
【交】五年以上はいっぱいいますよ。五年過ぎているから、ということで、請求したらあわててほかす人がいるんですよ。
【厚】薬害の話しも一つありますし、裁判が直接関係ない、ということでしたら、インフォームドコンセントをすすめる観点から、過去の診療経過も、ということですね。
【交】そう、理由はそちらで考えて頂いたらいいですから。
【厚】実態としては五年以上保管されているケースの方が、多いと思うんですけど。
裁判でカルテ未提出病院を刑事告発できないのは法的不備である
【厚】これは、調べたんですがわかりませんでした。どこに法的不備があるのかを教えていただきたいんですが。
【交】医師法で、阪大がカルテをなくしちゃった、と言ってカルテを出さないんですよ。保存義務違反ていうのががありますよね。本当は、5年間保存しておかなければいけないのに、失ってしまった、ということで、本当はあるんだけど、争点になっている大事な手術のところだけが、ないんですよね。失ってしまった、というのは保存義務違反ですから、それで刑事告訴をしようとしたら、検察から「今の医師法で、診療録保存義務違反は、事項が三年です。」と言われたんですよ。
【厚】はい。
【交】五年間保存しなければいけないカルテの保存義務を違反した、ということが4年目にわかると言うことがありますよね。
【厚】はい。
【交】それで、保存義務違反だ、と言ったら、その時効は3年だから告訴ができない、ということになったわけですよ。わかりましたよ。
【厚】私個人が、刑事訴訟法を読んだ限りだと、その解釈は間違っていて、刑事訴訟法では、時効は犯罪行為が終わったときから進行する、というふうに書いてあるんですよ。要するに、犯罪行為が終わるというのは、カルテ保存義務違反中はずっと犯罪行為ですから、最終診療日から、五年間保存義務がありますよね、その最初の一年のところでなくしてしまったとしたら、そしたらその後四年間はずっと犯罪行為が続くわけですよ。その五年が経って、それから時効が三年間あると思うので、検察の方がそれは見解がちょっと間違えているんじゃないか、と思うんですけど。ですから、最終診療日から八年間は刑事告訴ができると思うんですが。
【交】それでは、大阪地検の検察官は間違っていると言うことですか。
【厚】と、思うのですが。もう一度調べて頂いたら。
(注:ところが同日の夕方、上記の厚労省の担当官が、「先ほどのカルテ保存義務違反の時効の話しですが、もう一度、色々な人に聞いてみると、やはり検察官の方が正しくて、カルテを破棄した、または紛失した、という行為のみが犯罪行為であって、それをした時点で犯罪行為は終了して、そこから3年間が時効となるようで、ご指摘の通りでした」と釈明した。)
レセプト開示請求を医師に確認することはやめるべき
【厚】保険局の国民健康保険課の野崎でございます。まず、神奈川県大磯町の個人情報保護制度の運営審議会における答申でございますけれども、これにつきましては、その後、朝日新聞のくらし編集部からも私、取材を受けました。そこで、コメントも出させていただいています。
【交】良いコメントを有り難うございました。
【厚】やはり診療上の理由、というのを事前確認なしに行うということについて、それをやめる、という方向を出す、というところまでは至ってないんじゃないか、と。ですから、平成九年に出させていただいた通知の範囲というのは、私どもの立場としましては、依然としてそのままである、と。一応、大磯町の自治体における個人情報保護条例の中での運用につきましては、特に私どもの立場でコメントする立場にはないと思っています。あくまでも私どもの立場は、助言する立場でございますので。それぞれ実施主体がどのように判断するのか、というのは個別の実施主体の判断として、当然ありますし、私としては、それを尊重しつつ、今後も検討したい、ということであります。
【交】それは、例えば似たような、条例違反のようなものが全国各地で起こって、やはりおかしいんじゃないか、ということにでもなってくると、これは厚労省自体も考え直さざるを得ないのではないか、という話になってくる、ということですか。
【厚】そうです。条例の中でどういう運用が適切なのか、確かにレセプトの開示というのは、他の公文書と扱いが違う、それは、事前に、医師の同意というかを必要にしている、というのは、他の公文書と明らかに違うのは、確かにおっしゃるとおりなんですよ。それをどう評価するかだろうと思うんですよね。いろんな関係者が、様々な議論がある中で、厚生労働省は医療保険制度の安定化とか、そういうのも一方で考えながらやっていかなければいけませんから、やはり、そこには国民のコンセンサスを踏まえてやるべき問題なので、今の段階では少なくとも、まだ医師の同意を必要とする、という見解を覆すところまでは至っていない、と。
【交】この件ね、町長も、確かに審査会の言うとおりに個人情報保護条例に反しているな、と、だけど、日本全国の関係で答申の通りにはなかなかしにくいな、という主旨を言っているわけですね。今回、特にお願いをして書いている要望は、保険局が出した通達ではなくて、その後で社会保険庁が作ったマニュアルの中で、遺族に開示した後に、遺族に開示しましたと通知を送る、という通知があるでしょ。
【厚】はい、ありますね。
【交】遺族の場合は確認しなくて良い、ということなのに、その後に、開示しました、ということだけ教えている。それはやはり、おかしいことをやっている、という主旨の質問なんです。
【厚】なるほどね。
【交】あれは、やめてほしい。
【厚】おっしゃる通り、生存者の方に対する開示と遺族への開示とは明らかに違うと思いますが。
【交】大義名分がないでしょ。
【厚】はい。平成九年当時、遺族への開示については、必ずしても、定着はしていなかった。自治体における個人情報保護条例は基本的に本人への開示ですから、遺族というのは部外者なんですよね。家族の延長線なので、一定の配慮という部分で、そういった手続きが実際入っています。その「配慮」という概念をどこまでこれから整理できるか、ということで。
【交】だけど、当初だったら、社会保険庁のマニュアルに最後にあの文書を書かなければいけなかったかも知れない、でも、こういうのが出て来出したから、大義名分がなくなってきたから、あれだけはもうぼちぼち止める方向でいかせて下さい、という時期ではないか、ということなんですよ。遺族に開示した後の通知に国民の批判があって、厚労省としても個人情報保護の観点や、公務員の守秘義務に反している、とね。
【厚】我々がその辺は、まあ、よく分かりますし、今の段階では、そこまでは、今日は踏み込むことはできないので、・・・
【交】だから、勉強して欲しい。公務員の守秘義務の違反になるんじゃないか、という指摘もなされ始めている。その辺で、次回までに是非検討してください。
【厚】そういうご意見として、承ります。
【交】ぜひ、次回までにお願いします。