異状死届出ガイドラインの進捗状況は?
【厚】前回は「他の業務があってなかなか手が回らない」という回答だったと思うのですが、これについて法医学会と外科学会のガイドラインを見比べて、厚労省としてどういうのが出せるかということを僕と補佐で検討して作って課長に上げたのですが、課長のほうから「もう少し法医学会と外科学会の調整をやれ」と、「厚労省として出すというよりも法医学会と外科学会の調整を終わって両方から納得を得れれた上で出さないと実効性が上がらない、守れないといういうような話になりかねないので、それではダメだ」というので、もう一回法医学会と外科学会を呼んでまた調整を再開したいと考えております。
【交】課長も含めてこういうのをきちっとすべきだとは思っているわけね?
【厚】そうです。課長からも「やれ」と言われています。
【交】わかりました。
医療事故収集の最終報告書はどうなったか?
【厚】結論としましては、これが報告書です。(提出された)
「事故事例情報の収集、提供を行うために、行政及び事故の直接の関係者から独立して国民や医療関係者から信頼される中立的な三三者機関の設置が必要である」ということで、具体的な医療の運営とか収集の仕組みをそのあとで書かれているところです。
【交】この報告書を受けて、何をどういうふうにして具体的にこれを作っていくのか、法律を作るのですか、それとも法律でない何か通知みたいなものを作るのですか?
【厚】一つは、事故事例を報告していただくということで、来年の4月くらいをメドに省令改正を行う必要があるのかなということと、来年度から第三者機関を作っていくということを今計画しているところです。
【交】この第三者機関の問題というのは私たちとはかなり考え方が違っているのだけれども、何によって第三者機関の中立性は担保されているのですか?
【厚】一つは、例えば一〇ページ以後を見ていただいたら良いのですが、医療安全支援センターというものを作ろうと今年都道府県に呼びかけているところですが。(報告書の中の)患者相談窓口を置くということと、医療安全推進協議会を作っていただくというところで、その推進協議会の中で、いろんな知識経験を有した有識者あるいは臨床経験を有する医師・看護士等の職員など、もちろん医療のサービスの受け手である方々にも入っていただいて、協議会の中でいろんな課題を議論していただくというようなことを担保しようとしています。
【交】都道府県に一カ所ずつ作るのですか?
【厚】そうです。二次医療圏にも作っていただこうとしています。
【交】ここと第三者機関はどういう関係にあるように作るのですか?
【厚】医療安全支援センターのほうは一般相談窓口も含めた部分ですから、事故となりますと第三者機関になるのですが、第三者機関では専門家の人たちが報告していた事故に対してどのレベルの事故なのかを分析して、必要な場合は現場まで出かけていっていろんな必要な情報をおこなっていくというようなことです。
【交】都道府県レベルで一カ所位しか作られないということになると、例えば東京を考えたときには相当な数の医療被害、医療ミスが持ち込まれる可能性も持っていると思うのです。そういう時に一件一件そういう形で対応して行くには更にその下の市区町村レベルにまでそういったものを作らないと。そういったものをというのは、第三者機関と推進協議会の両方とも市区町村まで一個ずつ作らないと対応が実質的には難しくなるかもしれないという気もするのだけれども、そこら辺はどのように思います?
【厚】おっしゃるようにそういう可能性もありますし、医療安全支援センターの情報が実際に医療施設にフィードバックされることで、「医療施設のほうも患者の相談窓口を開いてください」と言うことをいっていますので、情報が還る中で施設自体の医療サービスが向上するのでないかということも期待しているのですが。
【交】患者窓口はいろんな相談だから、医療被害をそこに言うかどうかというのは、また別の問題ですよ。被害となったときに初めて第三者機関に届け出するわけでしょう。その数が、都道府県に一カ所となったときには広範囲でありすぎるような気がするわけですよ。東京みたいに病院の数が多くて、しかも患者からの訴えも聞きますよとなっているわけだから、相当な数を増やす方法を考えないとダメだと私は思うのです。
【厚】二次医療圏を含みますから、複数にはなる予定なんですが。
【交】ちょっと足りない気がする。
【厚】その辺は、まだ作っていただくことを進めている段階で、まだ十分な状況をこちらも把握できてないような状況もありますので、そういうご意見はまた持ち帰って検討する余地はあるのかなと思っています。
【交】さっき言った「協議会が第三者機関の中立性を担保できる」というのは、何でそんなことが言えるのですか? 第三者機関に届けられた医療被害みたいなものは必ず協議会に行くようなシステムにするのですか?
【厚】その辺の実際のところはまだまだ。第三者機関ができた中で、情報としては当然出すということはございますけれど。例えば事故としても、どのレベルの事故をこれから上げていただくのかということを含めてこれから検討していく段階になりますので。事故の定義というのが医師たちが思っているようなものと、我々が思っているのと違います。そういった部分を今後検討していくということを医療安全推進室のほうで予定していますので、その辺がもう少し明確になってくるかと思います。
【交】医療安全推進室としては、医療事故というのはどういうものを差すのだという、こういうものを届けて下さいと、そういう規定をするのだということですね?
【厚】そうです。
【交】インシデントのほうはこれもいろんな形で報告されたり、データベースの形でやってきたのですが、これのほうは法律の位置づけでどうこうというのではなく、このまま行くのですか?
【厚】これも続けていく予定ではあるのですが、今まで全般コード化情報と、医薬品諸物品、そして重要事例という三つに分けて上げていただいていた状況があるのですが、どうしても重要事例と医薬品、もちろん薬そのもの自体の問題もありますけれど、人間の関与することで起こすミスもありますので、そこら辺を今後一緒に重要事例として上げていただこうということを計画しています。
全般コード化情報に関しては、コードだけで答えるということで、今まで大きな差がないので、今後もう少し施設が増えていったときに病院を定点観測ような形で拾っていって、コードとしては続けていこうという計画です。
【交】協議会がどういう機能をするのかが判らないから、担保が本当にされるのか見えてこない。第三者機関について、私たちが言ってきたのは、医療訴訟になってしまう、あるいはこれからなりそうだというものを届けたときに、当然医院になっている人に医師会の人も入っている、医師会の意識では紛争処理委員会のほうに話が行ってしまうという可能性がかなり高いと思うのですよ。そうすると第三者機関の客観性というのが担保できない。だから、私たちは行政の末端機関が相談を受ける受け皿になるべきだと言ってきたのです。
【厚】しかしながら、アメリカの報告では行政が収集に乗り出した時、事故事例も上がらなかったという歴史的な流れもあるようなのですね。やはり第三者機関に持っていくことで上がるようになったと。
【交】それはアメリカの航空機事故のことを言っているのでしょう。医療事故の事例でない。日本の患者と医療の間の信頼関係は全く違いますよ。
【厚】我々が目指すのは、医療の信頼性も担保しないといけないということも、この報告書の中にも盛り込んでいまして、やはりそこも信頼できないと言い切るのでなくて、作って行くというものだと認識しているのですが。
【交】医師会の紛争処理委員会には一切事例を報告しないとか、紛争処理委員会には持ち込まないとか、そういうものをその中に入れないといけない。
【交】個人情報の流出という以外に、秘密保持の規定を別に作るのですか?医師会とか医療関係者の代表が入っていると、医師会の紛争処理委員会に行くのが今までの通例だから。
【厚】例えば、医療安全支援センターに患者さんの相談があれば、あまりにも同じ病院からの苦情が多いという場合には当然病院にもフィードバックして。とは言っても、もちろん患者さんあるいは家族が匿名希望であれば名前までは言えないですが。
【交】そういう場合は当然ですが、医療被害とか苦情は個別の問題ですから、苦情が何件揃えば何かするのというのではちょっと違うかなと。
医療被害補償システムの厚生科学研究の主任研究員は?
【厚】「医療被害補償システムの厚生科学研究」というのが出ているのですが、これは医療被害の補償でなくて「医事紛争における裁判外の紛争処理の基礎研究」ということをやっていただこうとしています。東京都立大学の我妻先生が主任です、医事法の。
【交】そうすると、被害補償システムというのと全く縁もゆかりもないのですか、少しはあるのですか?
【厚】少しは関係しています。
【交】前に聞いた時は、医療被害者が裁判以外に手段がない。カルテもなかなか手に入らない。お金もかかる。裁判自体も被害を受けた人が生活をしながらやり続けるというのは相当なエネルギーもいるし。そこでそういうものとは別の補償システムを作っていけばかなり裁判も減るということで、医療被害の補償システムを公的なシステムにして作っていくべきでないかという提案をしてきたのですね。
それに対して、「厚生安全研究でいろいろやっているから、そちらのほうで何とか」という話があったから、それで前回もうかがったのだけれど、そこら辺に余りかまない感じだね。
【厚】いや、少しはかむはずです。
【交】紛争処理というと、補償も含むのでないですか?
【厚】そこも含む可能性もありますが、我が国と諸外国でどういうやり方で処理をしているのかということを、まず明確に出していただくということです。
【交】何年間の研究なんですか?
【厚】二年間の研究だったと思います。今年度からです。
【交】申請のコピーはあるのですか?
【厚】確認したのですが、個人のプライバシーに関わるので。
【交】決定したのでしょう。決定したら国のカネでやるということでしょう。
【厚】だから名前までは今私申し上げました。
【交】どういう方向で研究されようとしているのか知りたいという意味で聞いている。
KS:申請書自体は、決定はしたけれど、それは出すことはこちら側からはできないのですが、情報公開法の手続きを取っていただければ。
【交】研究を何人で?
【厚】主任が我妻先生で、上智の岩田先生と、弁護士の児玉先生。
【交】さっきの二番に戻って、省令改正することによって第三者機関を法律的に位置付けるということ?
【厚】ごめんなさい。省令改正は事故を報告していただくということです。
【交】省令改正で事故報告を義務づけると言って良いですか?
【厚】そこのところ、ちょっと。そう言われたら自信が‥。
【交】事故報告を義務づけるの? どこに?
【厚】「どこに出していただくか」というところはまだ検討もありますので、そこのところはこれから詰めていくところです。
【交】報告させる対象の病院はこれから? 特定機能病院だけでなく、もっと広くカバーしようと?
【厚】一〇ページに「例えば事故の分析体制が確立している国立高度専門医療センターとか国立病院、国立療養所、大学病院に対して報告を義務づけるなど」というようになっていますね。
【交】「分析体制が確立している」なんて、そんなところがあるの?省令改正の予定は?
【厚】少なくとも来年度には集めていくというところで‥。
【交】今年度中にやるという?
【厚】はい。
【交】第三者の位置づけのところは、省令改正の中に入らないのですね?
【厚】そこは、今、私はお答えできません。
【交】もう少しはっきりしたところでもう一度質問させてもらうことにします。第三者機関の設置そのものはいつ頃から始めるのですか? 事故報告と同じで来年度から?
【厚】そうです。
患者相談窓口の「要綱」を提出されたい
【厚】「要綱」ということで、一つは省令改正の通知、あと、医療安全心センターの運営指針。(提出された)
【交】指針ができたのはいつ?
【厚】去年度にラフな案は出ていたかもしれませんけれど、これ自体は四月に入ってからだと認識していますが。
患者相談窓口の現状と収集ルートを明確に!
【厚】作り始めたところで、十分な実態がつかめていないという状況です。医療安全支援センターの総合支援事業を今年行う予定で、各都道府県と情報交換会をおこないながら、「先に設置したところはこういうやり方でやっている」、「こうやるとスムーズにスタートできる」とか、そういった情報交換をやっていただこうという計画でいます。
【交】患者相談窓口という形では、東京都のレベルのと、都立病院に個別に作ろうというのと二つあるが、よくわからない。場所だけあって人がいない。
【厚】病院の中ですか?
【交】病院に場所だけあって、誰もいないわけです。「案内の人に聞くように」みたいなことが書いてある。元看護師さんのような人が総合案内にいて、「その人に聞いてください」と。都道府県にある患者相談窓口で、例えばある病院の患者さんが電話してきたとして、そこで電話を受けた人がどういう権限でその病院に対して事実を確認したり、電話をするというのがどういう位置づけになっているのかという問題がある。東京都に一つある窓口が病院に情報を返すには、権限がないと医療機関に対してコミットできないと思う。そこら辺、何か上がってきてませんか。
【厚】単なる相談ということでなくて、おっしゃったようなことが必要だということはまだ上がってきていない段階ではありますけれど。「収集のルートとかインターバル」とか「採集収集部署」というところは、まだ四月から呼びかけて作っていただいているような
【交】まだ決まっていないということ?
【厚】もう少し細かな部分を含めて、都道府県情報交換会とか、七月末に開く予定なのですが、そういったところでの情報を見ながら。
【交】質問書では、「どういうように整理して、どこに返すのか」と聞いているのですが。
【厚】最終的に医療の現場にちゃんと繋げていくようなフィードバックをするところに繋げていきたいというふうには考えています。
【交】そういう抽象的な答えを求めているのでないのだが。これは七月末に集まったところでまた質問します。