小児科学会が小児・脳死臓器移植を容認したことをどう考えるか
【厚】今年の四月日本小児科学会から提言が出て、小児臓器移植について、治療法の一つとすると。厚生労働省としましては、脳死臓器移植を巡る各界におけるさまざまな意見表明がなされていますが、その一つと受け止めさせていただいている。小児からの臓器提供については臓器提供にあたった本人の意思をどこまで求めるかというまさに臓器移植法の根源に関わる問題ですので、国会議員の間でもそのことについて議論が行われていると伺っていますので、その議論を待って対応したい。
【交】生命倫理議員連盟の中山議員が国会議員にアンケート調査をやっていますね。そういうものも厚生労働省は一つの重要な意見としているのか。
【厚】議員連盟のアンケートの結果が出れば、それを受けてすぐどうこうという事はない。
【交】国会議員といったって一人の意見でしょう。
【厚】国会という場は国民の意見が多く反映される場ですから。
京大生体肝移植のインフォームドコンセントの内容は?
【厚】我々のほうとしても、インフォームド・コンセントとなると個人情報も含むので、なかなか聞くと病状にも言及されているし個別対応がされていると思うので、なかなか難しいところです。京都大学に連絡は取ったが、この日本肝移植研究会ドナー安全対策委員会がペーパーをまとめるときにご家族の了承も取ってかなりの部分を出したので、これ以上は無理かなという返事を戴いた。
【交】インフォームド・コンセントに関してこういう危険性を説明する必要があったということは逆に説明してなかったということを証明したということでしょう。
【厚】その際もインフォームド・コンセントの内容を書きこんだカルテの記載等を見て・・・。
【交】実際やった人間に聞けばわかるじゃない。
【厚】その辺は難しいところ、行政が入れるかというと、かなり問題は大きい。
【交】同じことが繰り返されてはまずいから、報告書も出させたわけだし、厚生労働省が直接聞くのは問題があるからと研究班作ってやってもいいこと何ですか?
【厚】その辺は見解の相違があると思うんですが、生体肝に関しては学会が中心になってやっていると。
【交】報告書読むと、インフォームド・コンセントで危険性を説明しなかったとしか思えない。一体どういうインフォームド・コンセントを取っていたのか、もれている部分もあるかもしれない。もう少しきちんと、インフォームド・コンセントに限ってコミットしていく必要性があると思う。
【厚】インフォームド・コンセント全体の検証になると、個別事例に変わってきますので、人それぞれ病態も違うし,どういったことを聞いてどういったことを伝えるかはまさに主治医との関係になってくるので、家族でもない第三者が聞くのは難しい。
【交】どういうインフォームド・コンセントでもかまわないという姿勢なんですね、厚生労働省は。様式はないんですか。
【厚】各大学で様式は持っている。
【交】その様式は見せてもらえるんですか。
【厚】京都大学に直接聞いてください。
【交】厚生労働省はそれをもらっていないんですか。
【厚】はい。インフォームド・コンセントのやり方は基本的に現場の医師がやると、任せていますから。
【交】任せた結果がこれなんでしょう。
【厚】それを受けて学会のほうで検証も行ってますし。
【交】学会はどうでもいい。現実にこうだったということを受けてあなたがたが特別にしなくてはいけないことがあるんじゃないの。どういうインフォームド・コンセントを取っているのか、全部調査をして書式を収集してみようということにはならないの。
【交】生体肝移植に限らず、ドナーに対する医療機関のインフォームド・コンセントの書式がないんじゃないか?
【厚】家族の了承が臓器提供の要件になっている。それを証する書面がなければできないそれは法律の解釈です。そういったものを確認することが医師あるいは医療機関の仕事、その際に必要なものを持って行って書いてもらう。
【交】承諾書とインフォームド・コンセントは違う。承諾書はあくまで提供するかどうか、インフォームド・コンセントはその人がどういう状態にあるか、どういう説明をするか
【厚】脳死判定を行う前に承諾書を戴きます。
【交】少なくとも生体肝移植のときはどういうインフォームド・コンセントを取っているのか?
【厚】インフォームド・コンセントの様式といっても個別事例によってかなりポイントも変わってくる。そこは現場に任されているという現状。
【交】この事例はどこをポイントに説明されたのか。
【厚】それを聞くとこの方の病状に入ってくるので我々のほうからは聞けない。
【交】あなた方が取りなさいといっている内容と矛盾してくるんじゃないか。一方でインフォームド・コンセントを取りなさいといい、一方で聞くことはできないと、矛盾している。
【厚】インフォームド・コンセントとは事前に患者さんに病状とこれからすることについて説明し了解を取ることですから。それはするべきだと。
【交】それを何で取り寄せない?
【厚】それを取り寄せるとなるとカルテを取り寄せて
【交】カルテじゃない、文書にするでしょう。
【厚】すべて含めてインフォームド・コンセントになりますので、書式でははまらないことがたくさん出てくる。
【交】そういうものを書式の中に入れられるように考えなくてはいけないんじゃないか。書式が作られるという事は聞かなくてはいけないし了解を取らなくてはいけないということになる、それが何もないということはA病院では書式があるがB病院ではないということにもなる。それでもいいのか。
【厚】インフォームド・コンセントについて最低限聞く内容ということで問題意識を持っておられるということは理解しましたのでその辺我々もどうにかする方策は取っていきたいと思う。
【交】この病院は生体肝移植がはじめてではない。そこが残肝容積を説明してなかったことがそもそも問題じゃないか。様式になかったから説明しなかったのか。それとも、これまで死ななかったから危険性を説明してなかったのか。生体肝移植を何件もやってきて、こうしなければいけないという積み重ねがインフォームド・コンセントの様式としてちゃんと備わっていればこういう問題は起こらなかったはず。
【厚】問題意識として了解したところです。我々のほうもインフォームド・コンセントのところではそれなりのことはしたいなと思っているところですが、ちょっと今日は言うことはできないんですが、考えてはいます。
【交】承諾書はどこにあるんですか。
【厚】病院にあると思います。
【交】中身に説明までは書いていない?
【厚】書いているかどうかわからない。取り寄せてはない。
【交】とりあえずそれ取り寄せてください。
【厚】はい。
【交】これは医療事故としてみないのですか。安全委員会に報告されるまではいっていない。しかし明らかに事故なのだから、それは検証しなくてはどうにもならない。ちゃんと取り寄せて、検証やってください。
【厚】取り寄せるかどうか検討させてください。
【交】肝臓病研究会の調査報告に出ているわけですから、京大からの報告があった上で医療事故として考えて検証して欲しい。
【厚】このときはご家族の承認も得て手続きを取って調査したと聞いていますので、我々としては国の権限で個人情報を見せていただくというのが引っかかっている。
【交】臓器対策室は臓器移植を円滑に進めるのが目的でしょ。円滑に進めるには問題点を精査してそういうことが起きないように検証することでしょう。円滑な進行が阻害されるわけだから阻害要因を取り除くために、積極的にやらないと意味がないんじゃないですか。私は「生体肝移植を進める会」の西河内です。あなた方の説明は逆に生体肝移植を止めさせようとしか聞こえない。
【厚】今までのスタンスは学会でまとめて、今後への提言という形で書かれているので、そういう自主的な規制を以って円滑に進めていただけると。
【交】あなた方の主体性がない。こういう研究会があるからそれでいいということではない。さっきはインフォームド・コンセントに限っていったが、これはまさに死んでいるということを、事故なんだ、それを合わせて考えると、あなた方としてどこかから報告書をもらえばいいということではなくて主体的に情報を取るという
ようにしないと。あなた方の認識は間違っている。
【厚】個別の事故として捕らえて何らかの資料を取るとなると・・
【交】あなた方のセクションじゃない?少なくとも、生体肝移植をやっているところがどういうインフォームド・コンセントを取っているかは情報収集しなくては。全部について。
【厚】インフォームド・コンセントについて介入すべきかどうか・・・。
【交】生体肝移植についてのとり方について情報収集すべきではないか。
【厚】いろいろな手法はあると思うが、何かできないかと考えている。
残肝容積三〇%なら大丈夫とする根拠は何か
【厚】日本肝移植研究会に聞いた。ドナーの肝臓をどれくらい取ったらどうなのかというデーターはまだない。参考にしたデーターは転移肝がんの場合、肝切除をどれくらいするかというデーターを海外も含めて洗った、と聞いている。残りの肝臓が三〇%というところでラインがひけるのではないかと、いう判断があった。二八%ならダメで三〇%なら大丈夫とはいえない。二八%でも大丈夫だった人がいたというデーターはないが絶対ダメというわけではない。三〇%以上残したほうがいいとまとまったと聞いている。
【交】その研究報告書は出ているのか。
【厚】いいえ、内部でその時あるペーパーを洗ったと聞いている。
【交】重要なことだからきちんとオープンに報告してほしい。
【厚】ご要望があったと・・
【交】データーもらってください。30%以上ということは前から分かっていたことでしょう。それにもかかわらず二八%にしたということは、これは人体実験をしたということではないか。三〇は妥当性があると、もう少し下にすればどうかという実験の意味があったんではないか、わかっているにもかかわらずなぜ二八にしたのか。だからどういう説明をしているのか。また、残肝容積だけでいっているが残った肝臓がノーマルなものなのか、このケースみたいに、容積として二八あっても正常なのは二%くらいかもしれない、そのあたりも条件もすべて加味して三〇%の攻防を出していただけたら納得いく。
【厚】厚労省が責任を持ってみるべきではないかと。
【交】あなた方責任もってないんだよ。
【厚】検討させてください。
報告書はNASH(脂肪肝炎)があった本人に問題があったように読めるが
【厚】大学のほうと研究会に問い合わせをしたが、移植前に、脂肪肝であるとは分かっていたが、脂肪肝炎であったとは分かっていなかった。肝精検をしなくてはそこまではわからなかった。
【交】ドナーに脂肪肝があれば一般的に肝精検するの当たり前ですが、なぜこの場合、しなかったのですか?
【厚】はい。我々としては把握してないので。
【交】最初は肝精検ちゃんとやっていた。五〇〇例もやればやらなくてもいいと倫理委員会がそういっているのか。研究会が自分たちに非があるように書いてない。ドナーに問題があったように書いている。それを厚労省はどうしようとしているのか。ドナーの肝臓を開けて状態が悪いと判断したときにそこで取った事例があるのかどうか、そのときの症状はどうだったのか。脂肪肝は見ただけで症状はわかる。
【厚】具体的な質問ですので、京都大学のほうでそういった質問にまず答えられるかどうかと、答えられるならどうだったのかは聞いてみる。
ドナー死亡の補償はどうなるのか
【厚】今のところ、法的システムはない。医療事故なら裁判になるのかなと。京大にはまだ聞いてない。
【交】治療じゃないのにこの人の医療費の請求はどうしているの。
【厚】把握していませんが、一般的にはレシピエント側に請求する。娘さんは生存されている。今のところ順調だと。
【交】脂肪肝炎を起こしている肝臓を移植して今どうなのか、生存しているかどうかだけではない。
【厚】何も聞いていない。
【交】人が一人亡くなったということにもっと緊張感を持ってほしい。
HLA検査等はレシピエントの負担とすべき
【交】なぜレシピエントの負担にしないのか。骨髄移植と同じにしないのか。
【厚】臓器のレシピエントと骨髄移植のレシピエントは違う。臓器のほうは一人のドナーから多くのレシピエントが臓器の提供を受けられるが、骨髄のレシピエントはより多くのドナーを集めなければならない。一概に臓器のレシピエントと骨髄のレシピエントを比べることはできない。
【交】移植ということでは同じなんじゃないか。
【厚】だから臓器のほうはレシピエントを国庫補助でみているし、骨髄のほうはドナー側のほうを国庫補助でみている。
【交】臓器のほうのドナーは国庫補助ではないのですか。
【厚】腎臓は国庫補助だが、それ以外は国庫補助の対象にはなりません。
【交】すべてを国庫補助にするべきだといっているわけではない。レシピエントは自分が希望して移植を受けるんだから、検査費用は自分で負担するべきだといっている。
【厚】受けたいと思っていても移植を受けられる人はわずか。
【交】それは仕方ない。国民のすべてに聞いてごらんよ。自分が受ける医療でしょう。検査は自分で金出すべき。何で税金で検査するの。
【厚】自分は支援が必要だと考えています。
【交】自分で払えない金額じゃない。
【厚】レシピエントに登録しても移植を受けられるのはごくわずかですから。
【交】自分が移植を受けたいと希望したからでしょう。行政の原則から言うと受益者負担が原則。
【厚】HLA検査が移植に不可欠であることは分かっていると思うんですが、その検査を国庫で見るというのは僕の考えとしては全然おかしくない。
【交】じゃあ、骨髄のほうはなぜみないのか。
【厚】骨髄のほうはドナーを多く取らなくてはいけないというのがありまして、ドナー側のHLA検査を見ている。
【交】骨髄のレシピエントも国庫補助にしてくれといっていますよね。あっちとこっちと違うのはバランス悪いんじゃないですか。
【厚】骨髄のほうは移植に結びつけば保険が適用される。結びつかなければ、レシピエントの負担になってしまう。
【交】骨髄のレシピエントについて公費にしてないのはなぜなのか。
【厚】国庫補助金の予算を毎年組みますね。どこの部分を支援するかということについて国のほうで決めている。骨髄移植の場合はまずドナープールを確保することが重要だと。ドナープールを確保するためにはHLA検査が必要なわけですが、そこの部分について全額国庫補助で、臓器移植については、レシピエントが登録しても受けられる可能性が少ない中で、腎臓なんか今一二〇〇〇超待っていて一一〇くらいしかできていない。そういう中でHLA検査代を補助しようと判断したと、
【交】見直すことはできるのか、
【厚】骨髄も臓器もたくさんいらっしゃる中で対象者はどちらもそうだと思うんですが、いろいろ悩んでやっている結果の予算配分ではあると思うんですが。予算の立て方のご意見を戴いたということなのかなあと思うんですが。
【交】ドナーに補助するのは別として、レシピエントのほうは自分が受けたいということなのだから、そちらの補助はすることはない。
【厚】どこからどこまでを見れば良いかというのがあると思うんですが、骨髄であれば非常に大きなドナープールを用意してコーディネーターの体制を整えて財団も動かしてとかいろいろなプロジェクトが必要、臓器移植も斡旋機関が必要でHLA検査代とか、ドナープールは必要でない、移植医療といってもかかるコストの構成要素が違う、何らかの財政支援という立場で見たときに骨髄・臓器それぞれに予算を出しているということであって、そこについてさまざまなご意見あると思うんですね、その一つとして受け止めさせていただくということになるのかなあと思う。提供してもらう方からお金は取れない。
【交】自分が希望して受けたいという人は
【厚】でも提供したいという人の検査代も誰の利益かというとそれも患者さんの利益になる。その患者さんの利益を生み出すためにどれだけのコストがかかっているかといえば、ドナー登録はコストがかかる。その中でどこの部分を支援するかと。
【交】今いろんなことをいうつもりはない。臓器移植ネットワークがこんなに金とってどうするかと思う、少なくともHLA検査については本人の負担にするべきだと。2番3番も考え方は同じ、こんなに税金を使う必要があるのか、出すとすれば別の出し方があるのではないか。二番も人工透析の研修対象を誰にしているかというと、意味がない、それが予算化されている。信じられない。
【厚】研修の対象者は医師・看護士・臨床工学技師・臨床検査技師・衛生検査技師・栄養士・薬剤師・がなっていて、腎不全の治療に携わるものが対象になっている。研修ではそれぞれの職種に応じたカリキュラムが設定されていて、移植に関する知識も含め透析医療の向上を図るもの。
【交】今いった職種の中で実際に透析ができる人は、
【厚】機械をいじる人だけでなくケアーの面とか栄養の面とかそういうことも含めて研修を行っている。
【交】内容を見ると実際に透析をやれるようになるための技術研修と同じ内容になっている。
【厚】全体研修もあるし、個別の職種ごとの研修もある。
【交】何のためにやっているの。納得できない。
(注)この後、HLA検査の人件費の支払い問題で、交渉団側が、検体数に応じて費用を支払うべきとするのに対して、厚労省側は、固定的な人件費として予算化する考えを主張。平行線のまま推移した。)