第59回厚労省交渉質問及び要望書

午前

T:情報公開問題

1.カルテ開示問題

(1)大阪市と堺市内の産婦人科医で加療した2家族が、カルテ開示請求したところ、医師や堺市医師会役員の反対で通常の開示を受けられなかった。大阪市内の産科医はカルテを弁護士に預け、弁護士の判断で開示される事態であった。また、歯科医でも開示・非開示の判断を歯科医師会に委ねている例が相次いでいる。厚労省のH15年9月通達「診療情報の提供等に関する指針」が徹底されていないので、再度の徹底を要望する。

(2)国立大阪病院では、カルテ開示申請書に開示請求の理由を記載する欄があるばかりでなく、請求した家族に電話で開示の目的を聞いている。(1)同様、H15年9月通達が国立病院でも徹底されていない。調査して指導して頂きたい。

(3)これまで開催された「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」で、カルテ・レセプトの改ざんの防止について、どのように担保される議論になっているか明らかにされたい。

(4)医療分野に関しては、個人情報が5000件以下の医療機関についても個人情報保護法の対象とすべきである。「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」において、その為にはどのような手続きを来年4月までに行うことが必要かを明らかにすると共に、その手続きをとっていただきたい。

(5)IT化が進んだ医療機関では、保存義務期間を過ぎた場合でも、できる限り長期にカルテ等を保管するべきだし、廃棄する際にも、患者本人や遺族への返却を基本とするべきだと考える。「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」等において、カルテの保存期間の延長と廃棄の際の患者への返却を決めることを要望する。

(6)カルテ改ざんが民事裁判の判決で認められた事例が多くある。それらについて医道審議会で処分の対象として検討されていないのは何故か。

2.レセプト開示問題

(1)レセプト開示は、これまで、保険者のサービスとして行われてきたが、来年4月からの個人情報保護法施行により、被保険者には開示請求権及び訂正請求権が生じる。また、開示請求をしたという個人情報が第三者に伝わることも法律上問題がある。まず、社会保険庁や保険局が中心となって、レセプト開示請求があった際に一方的に一律に医療機関に照会文書を送る現在のマニュアルを改訂し、個人情報保護法の主旨に則り、かつ、被保険者の開示請求権を明確にしたものに書き改められたい。

(2)医療機関から保険者に対してレセプトの返戻請求があった場合、必ず、コピーをとってから返戻しないと改ざん防止が担保されない。しかし、被保険者が強く言わないとレセプト開示請求後の医療機関の返戻請求の際にコピーをとらずに返戻を行おうとする保険者が現に存在している。全国の保険者に、返戻の際のコピーの保存を徹底して頂きたい。

(3)レセプト開示請求ができる遺族の範囲を、医療事故の場合に民事訴訟等で損害賠償請求ができる者と同等の範囲に広げている保険者がある。国も、その方向でマニュアルを改訂されたい。

(4)IT化が出来ていない医療機関に限りレセプトの175円ルールが適用されているとのことだが、このような医療機関はそれぞれどの程度の数・割合を占めているのか、医療機関別に明らかにされたい。また、175円ルールが適用されているレセプトはどの程度の数及び割合があるのか、明らかにされたい。

(5)これまでのレセプト開示請求件数、開示件数、不開示件数等をそれぞれ保険者種別毎に明らかにされたい。なお、レセプト開示請求件数や不開示件数については歯科・医科別に集計されること、不開示事例の理由を把握されること、不開示決定をされた被保険者の反応について情報収集されることを要望する。

 

U:脳死・臓器移植問題

1.小児脳死判定基準が出されて以降、現時点において厚生労働省としては、小児脳死判定基準に対して、法改正を含むどのような考え方を持っているのか、伺いたい。

2.福岡県弁護士会から、今年3月2日付けで、第9例目福岡徳州会病院で脳死判定が行われた事例について、大臣宛に要求書が提出されている。その内容は、検証会議の報告でも以下のような内容である。

  @「第一回目臨床的脳死判定時の平坦脳波は、適切な測定方法が採られていない。」

  A「第一回目の臨床的脳死判定時の咳反射について、これを見落としたか、或いはその時点で存在しなかったものの、8時間以上経過した際に復活したか、どちらかの事実が認められる。」

  要求書は、この二つの問題があることを指摘し、再発防止と十分な調査を求めている。そこで伺いたい。

(1)これらについてどのように検討したのか?

(2)検証会議でどのような議論が行われたのか?

(3)又、公衆衛生審議会臓器移植専門委員会では、どのような検討がなされたのか?

3.前回調査を約束した第16例目の新潟市民病院の事例(脳死状態でない段階で昇圧剤を使用した結果、脳死が加速された)について、その後の調査結果を明らかにされたい。

4.名古屋掖済会病院で実施された第26例目について、以下伺いたい。

  (1)臨床的脳死と診断し、家族に告げた時刻がネットワークが公表した時刻と、「名古屋NO脳死」の団体に病院が回答した時刻が大幅に異なっている。この違いが何によって生じたのか、調査して回答されたい。

  (2)この事例で、ドナーの家族の同意はどのような形で行われたのか、調査して回答されたい。  

午後

V:陣痛促進剤問題

1.陣痛促進剤の副作用問題及び添付文書改訂問題

(1) 前回交渉以降に、陣痛促進剤を被疑薬とする副作用被害の報告があれば、報告いただきたい。

(2) 前々回、報告いただいた2事例は、オキシトシン、ジノプロストを胎児娩出後に筋注して「心停止、呼吸停止」になった事例と伺った。

1978年の「副作用情報bR0」のショックについての報告に、胎児娩出後の急速な大量投与は慎むべきではないかと書かれている。「大量」と言うことは、総量ということもあるが、「急速な大量投与」ということの意味は、筋注とか、静注によるワンショットの使用を慎むべきということである。すべての用法を、点滴静注にするよう、添付文書の改訂をすべきと考えるがいかがか。

(3) 陣痛促進剤の使用に際し、「分娩監視装置の連続使用が必要である」という趣旨の改訂を要望している件について、専門家に「陣痛促進剤の使用に関するガイドライン」の中に記載すべく、打診していると伺った。現在の進捗状況を報告いただきたい。

(4) 脳出血による副作用2事例を報告し、「使用上の注意」に血圧測定を追記するよう要望した件で、専門家に相談すると伺った。進捗状況を報告せよ。

(5) 陣痛誘発の際、子宮頚管を開大させるために、メトロの挿入と陣痛促進剤を同時に使用している事実がある。同時使用は子宮内圧の上昇を引き起こし、危険なので、先にメトロを使用して、子宮口を開大させた上で、促進剤を使用するよう注意喚起されたい。

2.産科看護師問題

(1)助産師以外で、内診・クリステレル圧出法・分娩監視・直接児を取り上げる等の事が行われている実態が、全国各地で発覚している。

大阪市の西川医院と、堺市のしんやしき産婦人科で分娩した患者が医師から直接聞いて確認し、保健所に立入検査依頼の通報をしたことで、実態が明らかになった。

しんやしき産婦人科については、4月22日に保健所の立入検査が行われ、准看護師が内診を行っていることが判明したが、改善計画書は提出されていない。
6月30日に、2回目の立入で、内診、クリステレル圧出法を行っていることが判明し、堺市が7月5日付けで、書面で改善計画書を提出するよう指導している。(計画書の内容については、開示請求中です)

西川医院については、准看護師が医師の不在時に4回、医師立会いで7回、合計11回のクリステレル圧出法を行い、生まれた赤ちゃんの頭を陥没骨折させたというものである。もちろん内診も行っている。最初保健所が電話で、「助産師以外の者が内診等行っているか」を聞いた時には、違法行為を否定。それは嘘であることを保健所に伝えたことで、正式に立入検査を行い、違反を認めるに至った。以上の経過から2ヶ所の保健所から立入検査結果の報告があったかどうか伺いたい。

(2)「保助看法違反」の事実を知った場合、厚労省はどのように対処するのか、伺いたい。

(3)愛知県、神奈川県、岡山県、愛媛県の開業産婦人科でも助産師以外の者が助産行為をしていることが判明している。開業産婦人科に勤務している助産師以外の全ての看護職員の就労実態調査を実施するよう提案した件で、日本産婦人科医会から、「調査対象を産婦人科看護研修学院卒業生に限らず、医会全会員の施設勤務者を対象とするため、調査は膨大なものになり、困難。等々の理由で医会としては調査をお断りした。厚生労働省は、独自の調査は今のところ考えていないとのことでした。」と伺っているが、違法行為が全国的に行われている実態を知っていながら、このまま放置することは、許されないことであると考える。医会と再度話し合い、調査するよう依頼する。

(4)保健所が「保助看法違反」の通報により立入検査に入る場合、検査内容が不十分と言わざるを得ない場合が多い。例えば、医師に話を聞いただけで、該当者の准看護師・看護師に話を聞かない。カルテを見ない、助産録・分娩台帳も見ない。勤務表も見ない。このようなことで立入を済ませていることがある。口頭で、医師が「助産師以外に内診させている」と言ったら、それだけで、記録物で確認もせずに「そういうことはやめて下さいね」と口頭注意で終わらせていることもある。こうした立入検査の際のマニュアルはどのようになっているのか伺いたい。  

(5)産科を標榜する有床診療所においては、助産師の当直を義務づけなければ、無資格者の助産行為は後を絶たず、医師が診療所に到着するまでは、たまたま助産師が当直の場合しか、安心して出産に臨む事が出来ない。助産師の当直義務化の見解を伺いたい。

3.分娩介助料について 

国が管轄の病院で徴収している「分娩介助料」の内訳の詳細について報告いただきたい。

4.医薬品医療機器総合機構について

(1) 医薬品の副作用のために、治療を要するような場合、患者に「医薬品副作用被害」に遭った方を救済する制度がある旨を知らせるパンフレット等の作成をするよう要望した。現在の進捗状況を報告せよ。

(2) 薬剤の副作用で胎児が死亡した場合の救済について話し合っている件で、既にアイリストーマーにより胎児が死亡したとして申請し受理されている。今後も「胎児死亡」の事例を申請すれば受理するということか伺いたい。

W:医道審議会関係

富士見産婦人科病院事件の確定判決後、被害者から元院長と医師4人の免許取り消し処分の申し立てがされている。この件につき以下伺いたい。

1.平成14年の「考え方」にもとづいて医師を処分する場合、富士見事件における民事裁判が医師敗訴で確定したことを、厚労省はどのように評価するのか伺いたい。

2.去る7月29日の医道審議会医道分科会では、委員から富士見産婦人科病院事件の処分に関わるこれまでの経過、及び判決の分析について報告を求められたというが、報告にあたって、現時点で考えている論点を列記し説明されたい。

3.7月29日被害者同盟が厚労省と会見した時、富士見病院の医師を未だ処分できないのは、「ネック」となることがあるからだと聞かされた。その「ネック」とは何なのか明らかにされたい。

4.主任研究者木村光江氏による厚生労働科学研究の「医師等に対する行政処分に関する研究」の内容を、厚労省としてはどのように理解したか、要点をまとめて報告せよ。また、この研究が今後の行政処分を検討・決定していく上で、どのように活かされるのか。

X:医療ミス多発問題

1.特定機能病院などを対象とした、医療事故の報告制度は、いつから、どのような対象医療機関に対して、どのような報告スタイルで、どこに報告させるのか明らかにされたい。又、この実施に関する通知及び関連資料を提出いただきたい。

2.私共は裁判ではない「医療事故補償制度」の創設を求めてきた。これに対する回答は、厚生科学研究で研究してもらっているとの回答を頂いている。厚生科学研究の成果物があれば提出いただきたい。

3.医師法21条の「異状死届出」問題について以下伺いたい。

(1)日本法医学会と外科学会での話し合いの進捗状況を明らかにされたい。

(2)病理解剖した後で、医師法21条に基づく届出をしている事例がある。だが、この事例で、届出を受けた警察は、何ら検視を行ってはいない。このような警察の対応に問題はないのか?又、現行法において、医師法21条の届出に対して行われる「異状死」の確認システム、「異状死」が確認された場合の警察の対応は、それぞれどのようになされているのか、伺いたい。

(3)堺市にある医療法人ゆうあい会「しんやしき産婦人科」で、昨年5月、妊娠10ヶ月の母胎内胎児死亡事例があった。しかしこの産婦人科は、死亡届の原因欄に「不詳」と記載しながら、警察への届出は行っていない。妊娠4ヶ月以上の胎児が母胎内で死亡した場合、その死亡原因を特定できなければ「異状死」としての届出義務があると考えるが、見解を示されたい。