医療事故報告制度の概要
【厚】医療事故の報告制度について、今日間にあって本当に良かったのですが、21日付で医療法施行規則の一部改正に関する通知をさせていただきました。一〇月一日から、国立病院の高度専門医療センターと感染療養所、独立医療法人の国立病院、および大学病院の本院、いわゆる特定機能病院の総計二五五施設になりますが、それを対象に医療事故の報告を義務化するということを始めています。報告のスタイルですが、これは本日日本医療評価機構のほうから提出することになっておりまして、私どももまだ完成物をもらっていない状況です。月曜日には厚労省のHP上からダウンロードできるように準備を進めておりますので、月曜日に日本医療評価機構のHPをごらんいただければわかるようになっております。 そういうわけで、報告先は日本医療評価機構ということです。その通知が、今から渡すものになっておりますので。報告範囲等についてもその中で書かれております。
異状死届け出問題について
【厚】「日本法医学会と外科学会での話し合いの進捗状況」ということで、本年二月に内科学会、外科学会、日本病理科学会、法医学会のほうで共同声明を出されておられるということで、一つは、「診療医療行為に関して患者死亡が発生した場合、少なくとも判断に医学的専門性をとくに必要としない明らかな患者管理上の問題によって患者が死亡したことが明らかなものは警察に届け出ること」というのが一致した見解になっています。もしくは、この届け出だけではなく、医療安全向上のために予期しない患者死亡が発生した場合に、診療行為に関連して患者死亡が発生した場合、全ての場合について中立的な専門機関に届け出を行う制度を確立すべきというふうな提言をなされているということでございます。また、先ほど出た提言の中の二つめの追跡専門機関というものに関しましては、診療行為に関して死亡した調査のモデル事業というのを来年度予算の概算要求をしております。
二番目の警察の事例なんですけれども、警察というのは変死体または変死の疑いのある死体は警察に連絡して刑事訴訟法二九一条に基づいて検視、その死亡が犯罪に起因するものかどうかということのために死体の状況の検分、ということを行わなければいけない、というようになっているということだと思います。警察がどのようにやっているかというのは警察の問題なので詳細を私どもがお答えする立場にないのですけれども、こうした規程に基づいて警察なり司法機関の方で適切な判断がされているものと考えております。
三番目の異常死の届け出義務についてでありますが、医師法上医師は死体または妊娠四ヵ月以上の死産児を検案して異常があると認めるときは二四時間内に所轄警察に届け出なければいけない、ということで、一般的に私どもが申し上げているのは、なぜ届け出があるかというのは死体もしくは死産児にはひょっとすると殺人・傷害・死体損壊・堕胎などの犯罪の痕跡を含めている場合があり、司法警察上の便宜のためにそれらの異常を発見した場合には届け出の義務を規程したと。つまり、「異常というのは病理学的な異常でなくて、法医学的な司法解決の便宜のため、その意味での異常である」というのが昔厚生省で監修していました解説本にも書かれておりますし、判決でも言われていることはそういうことでございます。
【交】共同声明の中で言っていることはこういう理解でよろしいんでしょうね。「明らかな医療事故が発生していると考えられるものについては医師法二一条による届け出はしなければいけない」というふうに共同声明でも認識している。だけどそれ以外のものに関して、想定できなかった“結果としての事故”については当てはまらないので第三者機関が対応する、という理解でよろしいですか?
【厚】私に解釈権限があるわけではないのでアレですけれども、「少なくとも判断に専門性を必要としないことが明らかになったもの というのは少なくともキチンと届け出なければいけない」ということで一致を。「それをこの中立的専門機関に届け出る制度 というのは今後の検討課題」という話だとは思います。
【交】伺っているのは、「あきらかな」という判断を全て医者自身に任せてよろしいのかというところにあるのですね。つまり、本来ならそうであるのかどうかというのが明らかでないような例がかなり多くて、だからこそ医師法21条というのは全ての死亡事故を届け出させるというシステムに。その中で「これは医学的判断を要する」というものだけは第三者機関が受け持つというようにしないと、届け出を一切しないという事例が出てくる。今、ヒヤリハットみたいな問題であっても医者が一番届け出ないわけですね。医療事故自体はたくさんあるわけですよ。医者の意識の中には届け出をするということ自体が自分に降りかかってくるという認識が強いと思うのですね。届け出するか否か判断すること自体を医師にまかせてしまうということは非常に問題だと思う。二一条の届出というのは全ての事案に関して判らないわけですからとりあえずは届出させるというシステムにしないといけないと私は考えるのです。共同声明に関してどのような評価をされるのかを伺いたい。
【厚】そこはいろんなご意見がある話だと思います。問題意識は四学会も共有していて、やはり医師は二一条で届け出をしない、それはそれで問題でないかと。そこで公正な中立的機関ということで全てを届出て、書かれている言葉によると「まさに診療行為に関連して患者が死亡した全ての場合について中立的な専門機関に届け出を行う制度を検討すべきでないか」と。そう言っているのは、まさに裏側には届け出が非常に抑制的になっているということも多分あって。私どもがモデル事業なんかをしていくことになるのですけれど。将来的にこの中立的専門機関と警察への届け出の関係をどう考えるのか、どっちもすべきとするのか、こういう場合は二一条の届出、こういう場合はこの第三者機関への届出というふうにしていくのかというところも議論していくべきだと思いますし、先ほど最後に申し上げた二一条の趣旨というのは司法警察の便宜のためということですので、その趣旨も踏まえて検討していかないといけないと。