小児脳死判定の法制化の見解は?
【厚】「臓器移植法」は議員立法の法案ですので基本的に厚生労働省が法律の趣旨にタッチするものではないと認識している。二月に自民党調査会で臓器移植法改正について一定の見解が出されて、その後超党派の生命研究議連の方で検討はされているが、まだどういった改正にするか定まっていないと聞いている。改正の焦点としては小児の臓器移植を可能にするために十五歳未満についてだけ措置をするという考え方と、それから、小児も大人も含めて臓器移植をもう少しふやすような改正をするという二つの考え方があると伺っているがまだどちらになるか方向性が定まっていないと聞いている。私どもがやらなければいけないのは、臓器移植法が改正された折にどういう運営をやっていくかということで、その一つが小児の脳死判定基準になるかと思う。平成一一年度の厚生科学研究で小児の脳死判定基準が研究ベースで示されており、これは研究段階のものと認識している。国会の方で何らかの改正がなされると言う状況になれば、公開の審議会で研究ベースのものを運用面に落としていくためにどうすればいいかを議論していただこうと思っている。
九例目の脳死判定について福岡弁護士会からの要求書にどう答えるか
【厚】大きく問題になっているのは、最初に行われた臨床的脳死診断と法的脳死判定が不十分であったのではないかと言うご指摘でございまして、特に、咳反射が臨床的脳死診断の時にはないと判断しましたが、法的脳死判定に入った段階で疑義が生じた、という点と、脳波についても臨床的脳死診断の時には平坦と判断したが、脳死判定の時また疑義が生じたと。この点につきましては、平成一三年四月に当時の検証結果が出されているが、七月三日の臨床的脳死診断と法的脳死判定については検証会議でも確認していて、咳反射については法的脳死判定に加わった判定医から臨床的脳死診断の脳波記録と咳反射について慎重に再検査すべきであるという意見が出されています。脳波についてもアーチファクトの混入が判定を困難にしている。咳反射については吸引管を挿入して機械的刺激を加えたときに胸郭が動くと判断する委員がいたと聞いている。要望書を頂きましたので、九月二日に検証会議がありましたがその前の二回の検証会議と、医学的検証グループに提出しまして、もう一回当時の検証結果の報告書とつき合わせていただいて、結果を確認した。公衆衛生審議会の臓器移植専門委員会での検討ということですが、脳死からの臓器移植については第三者検証機関として検証会議が設けられているのでそちらで検証していただいている。臓器移植専門委員会や今の臓器移植委員会では個別の検証はしないという建前になっているので審議会の検証は行われていない。
【交】確認したというのはどういうことをいうのか。
【厚】検証会議に平成一三年の報告書と福岡県弁護士会の要望書をそのまま提出して、検証会議のこの部分について要望書が出ているけれどもそれについての議論を確認しましょうと、私どもの方から議題を提出して議論していただいた。資料として出したのは当時の報告書と要望書の二つだけです。
【交】検証会議で確認をしたと言うペーパーはあるんですか。
【厚】それはないのですが、「九月二日の検証会議の終わった後、福岡県弁護士会の要望書について議論をした、その結果この事例では要望書で問題提起された事例も含めて経過を観察したが、それも含めて全体的に適正に行われたと判断したと確認した」とプレス・レコの方は行っている。
【交】プレス・レクのペーパーは?
【厚】簡単なものですがあります。
【交】福岡県の弁護士会には連絡したのか。
【厚】してないです。
【交】普通はしないものなんですね。
【厚】はい。ただ要望書をいただいたことは重く受けておりまして、いろんなご見解をお持ちの方とか、いろいろ疑義が生じてくることがあってそれに対して私どもが真摯に議論していかなくてはならないことは当然だと思っていて、検証会議には常に提出させて頂いている。これまで計四回頂いていますが、今回初めて厚生大臣あてに頂きました。これまでの三例は病院の方に勧告書を頂いていますので、それもすべて検証会議には提出しています。
【交】福岡県弁護士会は一三年の検証会議の報告書も見て出しているわけですから、今回の要望書にきちんと回答すべきでないのですか。
【厚】ご要望ということで承りましたので、今のところ、回答は考えていません。
【交】私が今日報告いただいたから検討したとわかりますが、第三者がどうやって検討したと確認できますか。今までの委員会でも指摘されてきているわけだから、その都度人権と言う観点からの検証はやってこなかったと。これについて前向きに検討させてもらうと大臣が答弁している。中味が一切伝わらない検証はちょっと不誠実だと思う。
【厚】計四回検証しているが、返答はしないとなったが、弁護士会からの要望書は重く受け止めている。私どもの方は誠実な対応はしてきたつもりでいる。
【交】後でいいですから、プレス・レクのときのペーパーを届けてもらえますか。
十七例目のその後の調査結果は?
【厚】十七例目ですが、こちらが新潟市民病院に照会した結果について説明します。八月十四日までは持続的に降圧剤を使用していた。この時点での血圧は一九〇から200。翌日の午前に急激に血圧が低下、呼吸抑制もあり人工呼吸管理に移行。この時点での最高血圧は六〇で昇圧剤を投与しなければそのまま死亡する可能性もあった。少なくとも家族はこの時点で積極的治療の中止を選択する意向はなかった。ということで、臓器提供が考慮されたか否かにかかわらず、昇圧剤投与は救命処置としてとられるべき処置だった。
二六例目の時間的経緯とドナー同意について
【厚】二六例目、(一)と(二)をまとめて答えさせて頂きます。「名古屋NO脳死」という団体から質問状が出されている経緯、内容、回答文の内容、は把握していない。行政の立場から調査をするという客観的な事実が今のところない、という点で答えさせてもらう。二六例目に関する検証会議の検証は、終わっている。遺族からの了承を得ていないので、詳細な時間経過などについてはまだ公表はできない。臨床的脳死と診断された時刻は一〇月五日の十五時五〇分、家族に告げた時刻は、家族に臓器提供の説明を開始したのが同日の十七時、さらに二回目の説明が十九時、その結果十九時三〇分に臓器提供承諾書への署名が行われた。
【交】病院には「名古屋NO脳死」の質問状やその回答について照会しなかったのか。
【厚】一七例目については病院医師が自ら報告を行っていると、我々の検証会議への報告とは別個に行われている。この場合は検証会議への報告との関係を確認する必要もあるし、お尋ねをした。しかし、二六例目については病院からあがってきた報告は検証会議に出されたもののみであるので、一七例目と二六例目については扱いが異なると思う。
【交】二6例目で最終的に同意されたのは家族の誰ですか。
【厚】そこまで報告書が公表されない時点では個人情報になるので言えない。
【交】法的脳死判定は?
【厚】第一回目が一〇月六日の一時四〇分、第二回目が一〇月六日の午前十一時四三分です。
【交】病院に搬送されたのは一〇月五日ですよね。
【厚】はい。
【交】この事例は脳死診断、脳死判定までが非常に早いんですよね。どんな救命治療が行われたんでしょうか。
【厚】詳しい経過について検証会議で検証されたんですが、この方の症例は非常に経過の早い症例であった。
【交】いつ検証会議が終わったのか。
【厚】九月二日です。
【交】脳出血ですか。
【厚】交通外傷。
【交】検証会議で問題になったと言う事例は今までにないですね。
【厚】そんなことはありません。九月二日の検証会議でも無呼吸テストなどについて議論していただいた。
【交】それでも結論は問題なかったということでしょう。検証会議のやり方自体が問題なのではないか。