奥様は風邪?日曜日編





*かぜ【{風邪}】



薄着したり 汗をかいたり したあと、寒気がし、(発熱を伴って)

むやみに鼻水・くしゃみ・せきが出たり のどが痛くなったり する症状。

用例・作例 ―は万病の基 ―を引いた

MICROSOFT BOOKSHELF より



2002年1月27日。朝、10時前に目覚まし時計がなった。

今日はコッチで言うウェットマーケット、日本名「市場」に週に一度ナオと出かける日曜日。

目覚ましを寝ぼけ眼で止めたのは記憶にある。



起きた記憶は全くない。

人間不思議なもので、(僕だけなのかも知れないが)

何時止めたかも分からない目覚まし時計を止めた

「らしい」

記憶だけは残っているのに、目覚めた記憶は皆無なのだ。

その数分後、「ひで君…ナオさ、チョット具合悪いから、ウェットマーケット一人で行ってくれる?」

「買うものは書いた紙があるから」

「うん、分かった」と答えた「らしい」旦那は、深い眠りにまた落ちていった。





この時点で既に旦那失格である。





昼に近い午前11時。休みになると徹底的に寝るグウタラ旦那はようやく「本当に」目を覚ました。

いつもなら、ナオはパソコンをしてるはずである。

そして、「やっと起きたの?」と微笑んでくれるのだ。

しかし、今日は何だか雰囲気が違う。

ふと左をみると、このクソ暑いシンガポールでタオルケット2枚にくるまったミノムシナオが寒そうにしている…

「ちょっ…ナオ、どうした?」

「う…ん、どうやら風邪引いたみたい、熱っぽいや」





「マジで?!」





始めは、気付かなかったが、タオルケット2枚の下には、

しっかりと長袖、長ズボン、靴下までも着込んだナオがいたのだ。

何で?何で?





とにかく落ち着け俺。





取り合えず、熱を測らなければ…

バタバタバタ…ゴソゴソ…

おい、チョット待てよ。うちって体温計あったか?」

そう、僕らの家には体温計が無いのだ。

「うきゃー」

取り合えず叫んでみた。

ムンクの叫び。あの絵画を初めて素晴らしいと感じた瞬間かもしれない。

とにかく、氷枕!って氷枕もねーよ!!!

段々と焦りが怒りに変わってくる。

とにかく!代用品!代用品!

スーパーのお肉を入れるビニール袋に氷をいれ、水を入れる。

口をきつく縛って完成だ。しかし、所詮、悲しいかなビニール。枕の代わりにはならない。

こうなりゃタオルを絞って、額に当てる一番オーソドックスな戦法しかない

…氷、氷…コオリが殆どねーぞ!!!!!!!!

今思えばよほど焦っていたんだろう。

氷枕の代用品を作った時に、殆ど使い切ったことを忘れていたのだ。

氷も作らなあかん!僕は何を考えていたんだろう。コップに水をいれ冷凍庫に放り込んだ。





「コレで良し」





お次は食事だ。とりあえずご飯を炊かなくては。シャカシャカシャカ…

あれ?どうやって、炊くんだ?

お米を磨いだ後、水まで入れてからフト疑問に思った。

コレってスタートを押せば良いのか?う〜ん、ヤバイ。一度ナオに教えてもらったけど、

しっかり、すっかり

忘れてるよ。

ひでA 「ナオに聞いたほうがいいよ」

ひでB 「バカ、辛いって。寝てんだぞ、熱出して。」

ひでA 「でもさ、失敗したらナオにご飯食べさせて上げられないんだぞ」

 ひでB 「だからってさ…」



やめてー、僕の中でケンカしないでー・・・・・・・・・

それでは、判定です。3対0でひでBの勝ち!

「ナァオォ〜♪」

「な゛に゛…」

うぉ…声が死んでる…「あ、あのさ、あの炊飯ジャーってどうやって使うの?」

「えっとね、セレクトでレギュラーまでもっていって、スタート」

「サンキュ」

ピッピッピ…ポチッ。コレで良し。

さて、何とかココまでこぎつけた。考えねばならないのは、どんな料理を作るかって事だ。

一応、大学生活4年間。一人暮らしの経験がある。

名古屋支店に行ってた時も一人暮らしだ。

思い返せ…その時は何を食べてたんだ…

コンビニ弁当…

カップラーメン…

カップ焼きソバ…

カレーライス…でもレトルト…

って俺…ちゃんと人間的食生活を送ってたんだろうか…?

もういい!とーにーかーく!

料理だ!!!料理!!。消化が良くて、栄養があって、食べやすくて…どんな料理が良いんだ?

雑炊か?うん、きっと雑炊だろう。

いや雑炊しかない。

早速準備に取り掛からねば。卵、卵。おっ♪発〜見☆、

ネギネギ、発〜見。俺って大丈夫やん!?ンッフフ〜

さて、ちょっと雑炊東○は…?あれ?無いの?

この前見たと思うんだけどなぁ?しょうがない、ホンダシから行くか。



ご機嫌で、準備を整えて行く旦那を尻目にナオの体調は、刻、一刻と悪くなって行く。

準備をある程度終えた僕は、急いでナオの寝ているベッドルームへと急いだ。

熱は何度なのかは判らないが

氷水で冷やしたタオルが、即行で熱くなる位の熱だ。

しかも、顔だけでは無く、手足全てが熱い。







おねーさん、



ハッキリ言ってシャレになってません(涙)








「大丈夫だから…」

大嘘つき。どの角度から見れば、大丈夫に見えるんだよ。

とにかく、いても立ってもいられないのだが、

医者でも看護婦でもましてや

獣医

ですらない僕が、出来る事といえば、

ひたすらタオルを冷やし、ナオのオデコにのせるだけ。

そんな自分が不甲斐ない。

とにかく、薬を飲ませよう。

素人にありがちなパターンだ。

薬を飲めば治るかもしれない。

正直な気持ち、この時点で風邪薬を飲んでも効かないだろうと思っていた。

何故なら、風邪の症状が熱以外みられないのだ。

咳や鼻水、頭痛、下痢などといった、風邪のお約束が全く見られない。

それに、熱が以上に高い。それでも、あえて風邪薬を飲ませたのは、熱が少しでも治まるかもという、

ワラにでもすがる様な考えだった。

結果から先に言えば、焼け石に水。ネコに小判、ひでにシイタケと言った所だろう。

とにかく、薬を飲ませる為には何かを食べさせなければいけない。胃があれるからだ。

タダでさえ高熱なのに消化不良まで起こされたら、





一粒で2度美味しいグ○コもびっくりである。





看病する身にもなってくれ、十分に辛そうなナオは見た。

勘弁してくれ。

出来る事なら変わってあげたい。心底思った。

しかし、思ったところでナオの体調は良くならない。



「新年そうそう、体を張ってネタを作らなくてもいいやんけ。」

「あは…」





だめだ!



今のナオには、返せるだけの余裕が無い!!!








取り合えず薬を飲ませたい。

しかし、お嬢さんは食欲が無いらしい。

えええっせっかくご飯炊いたのに…タダでさえ、熱で体力が奪われていくのだ、

無理にでも、少しでも良いから食べて欲しい。

「だめ…今食べたら吐く」











吐く宣言ですか?







ナオは、オレンジジュースを少しだけ飲み、薬を飲んだ。

その後は、安静に過ごしてもらった。

二人にとって、かなり慌しい一日が、こうして過ぎていくはずだった。



しかし、落とし穴はそこにあった。

このクソ暑いシンガポールで、寒いと言っているナオ。

勿論、それは病気であるが故の事だ。

問題は、僕の方である。

辛そうなナオの傍にいてあげたい。

目を開けた時にすぐ僕が見えるように。

安心できるように。

セッセと冷たいタオルをナオのおでこにのせる為に。

しかし、

何度も言うが、暑いのだ。

僕としては、クーラーをかけたい。

でも、ナオは震えている。

こんな状態でクーラーつけれるか?





否否否否否否否否否否否否否否否否否

そこで僕は、パンツ一枚で隣にいるという暴挙にでた。

夫婦なのでおかしくは無いだろうが、何も知らない第三者がみれば

病人を襲おうとしているエロ男にしか見えない(号泣)

ナオが苦しそうに寝ているその横でマンガを読みながら、タオルを替える

一生懸命な旦那

しかし見た目はエロ男。

この違いはでかい。



結局ナオはこの日何も食べず終い。

翌日には良くなっている事を祈りながら眠りについたのだった。






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