| ☆桃岩荘まで… 今から約10年前、当時大学生だったので長い夏休みを利用して友人ミホコと
二人で北海道を旅行した。
その頃はまだ北海道まで往復の乗車券&道内の特急が20日間だけ乗り放題と
いう周遊券があり、道内に入るまでは22時間かけて鈍行列車で、道内に入って
は時刻表片手に行き先を決めての貧乏旅行が可能だった。
宿はもちろん若者御用達のユースホステル等。
そこで生涯忘れられない旅の思い出ができた。場所は礼文島。
当初行く予定のなかった礼文島を目指したのは、夏だけ開業される風変わりな
YH「桃岩荘」の噂を旅の途中で聞いたからだ。
そこは噂以上の衝撃YHだった。
稚内から礼文島にはフェリーで渡ると、島に着くなり大漁旗のような「桃岩荘」
と書かれた旗を振る怪しげな若者が大きな声で叫んでいる。
その台詞「おっかえりなさぁあああ〜〜〜〜いっ!!!」である。
な、な、なんじゃ?そりゃ??
いらっしゃ〜い!じゃないの?と思いつつ香深港へ降り立つ私達。
その真っ黒に日焼けした大声軍団は「桃岩荘にお泊りの方はこちらです!」と
宿泊客に声をかけている。どうも桃岩荘の従業員のようだ。
私達も「宿泊しま〜す」と言いながら、そちらへ向かうとそこには青いホロを
かけたオンボロ軽トラックが。
宿泊客はざっとみても15人以上いるし みんな道内を旅しているだけあって
鞄やリュックがやたらとデカイ。
大声従業員は「手荷物を下さ〜い」と言いながら軽トラの中にブロックのよう
に荷物を詰めていく。
狭い荷台にはダンボールが敷き詰めてあり木製の幼稚園ベンチが両端に。
「さ〜順番に上がって下さい。」
荷台の中から織田裕二似のヘルパー(従業員・以後ユウジ)が次々と客を荷台の中へ
つめていく。乗車率200%でみんな小さくなって体育座りをしている。
荷馬車につめられて売られる、そう、
まるで“ドナドナ”気分だ。
ユウジ「全員乗りましたね。運転手!出発オーライ!」
運転手「ブルーサンダー号、出発〜!」…って おい、ブルーサンダー号って
このボロ車の事??
ユウジ「はいっ。これから礼文島の南にあります桃岩荘までご案内いたします。
あ、後ろにいらっしゃいます方ブルーサンダー号のカーテンを閉めて下さい。
定員オーバーが警察にみつかったら大変なので!さて到着するまでの間桃岩荘に
関する簡単な説明をさせて頂きます。桃岩荘では桃岩時間というのがありまして
通常の時間より時計を2時間早めて下さい!
それと あなたの持っている知識・常識・羞恥心をあのトンネルの中に
置いていって下さい。さあ!行きますよ〜!桃岩タイムトンネルゥッ!!!
さあ、これで あなたも桃岩荘の住人です。」
ドナドナな宿泊客の半分がおおいに喜んでおり、どうもリピーターの様子。
私とミホコは…強烈な説明に…ごめんなさい、ひいてしまいました。。。。
のちのち これが麻薬のようにジワジワと効いて病み付きに。
☆桃岩荘 初日 〜受付〜
受付を済ませるとお風呂の時間や夕食の時間、場所、使い方の説明を受けた。
丁度お盆の時期で桃岩荘は最高潮に込み合っていて総勢100人近くの宿泊客だ。
もともと このYHは昔ニシン番屋に使っていた小屋を改造したものらしく全て
板張りでホールの部分を中心に男性が寝る2段ベットが2階部分にぐるりと蚕棚の
ように配置されている。
ドアが無ければ部屋じゃない! か〜な〜りオープンなスペース。
連泊客も多い様子でそこここに洗濯物がぶらさがっている。
さすがに女の子の部屋は離れの和室になっていたけれど。
案内された部屋は周りが2段ベットで真ん中が畳。
全てのベットが連泊客に占領され、私とミホコは畳に布団をしいて寝るチーム。
部屋に入ると2段ベットの上段でカップメンをススッているゴツイ女が一人。
私が恐る恐る「こんにちは〜相部屋になりましたのでよろしく」と声をかけると、
チラと見ただけで返事なし。私達は彼女をこっそり“(部屋の)ヌシ”と名づけた。
部屋はどこも定員オーバーで、寝返りもキツそうな様子。
お世辞にも綺麗とは言いがたいし私は「タコ部屋」を連想してしまった。
このYHの異様なノリと部屋の雰囲気に来たことを少し後悔し始めていた。
☆〜ミーティング〜
私達は2連泊の予定で、明日は礼文島名物、8時間コースに挑む予定だ。
礼文島は南北に細長く東側にのみ海岸線沿いに道路が通っており西側の
海岸線は道路が通っていない。
この道路もない場所を島の最北端から南の桃岩荘へ延々8時間歩くツアー
初日の夜、ツアーの説明があるというのでミーティングなるものに出席。
部屋は80人くらいでごった返しているが何とか説明が聞こえる位置に。
8時間コースはグループを組んで行くという事に。
約30人ずつの3グループに振り分けられチーム名を決められる。
ちなみに私は“アホ”チームだったような…
チームの中でリーダを2名選出、リーダーは男性 サブリーダーは女性選出。
8時間コースを今日完歩したチームリーダーもその場にいてヘルパー(ヘル)が
「8時間コースど〜でした?」と尋ねると
「めっちゃ面白かったです!行く価値あり!太鼓判です。」とのたまっている。
ヘル「愛とロマンの8時間コースだけに愛は生まれましたか?」
リーダー
「と〜ぜんでっす。私は美しいサブリーダーに恋をしてしまいました!」
ヘル「あんなこと言ってますけどサブリーダーは?」
サブリーダー「…ごめんなさい。」
なんて話を宿泊客の中央で披露。
説明が終わると皆でヘルのギターと歌に合わせて踊り出す…
私、ミホコや今日初めて来た客が唖然と見ている。
ヘルパーとリピーターは同じ振りで歌いながら踊っているのだ。
ど〜なちゃってるの??って感じ。一緒には踊れない二人であった。
朝一番のバスで最北端のスコトン岬まで行くため 桃岩時間の6時起床。
(通常の4時!!)朝ご飯を食べ、500円のYH特製弁当を持って出発。
おいおい、すげ〜早いじゃんかよ〜っ、と思いながら今日は早々に就寝に。
つづくのじゃ〜
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