誕生の瞬間

 


本題に入るまえに、問題です。出産の痛みってどのくらいのものでしょうか。

経験者にしかわからない痛み、でも例えてもらうと、

  1. 鼻の穴にりんごを入れるくらい   

  2. 上唇を頭の上まで引き上げるくらい

などなど。うーん、怖いけど、ちょっと楽しみ。


検診は臨月に入ると1週間毎になる。予定日の1週間前の検診で、「順調ですよ。子宮口が3cm開いてます。1週間以内に産まれそうですね。」と言われた。(10cm開くと出産よ。)

嬉しくて、わくわくしながら、もう一度入院の荷物を確認した。そう、初めて海外旅行に行く時のあの感じ。さらに出産後1ヶ月は実家に戻るため、冷蔵庫の中身を整理したり、これが最後になるかもと、掃除、洗濯に精を出した。

3日以内に産まれれば、みのりんはてんびん座。それ以降なら、「さそり座の女」。この差はでかい!と、陣痛を促進すると言われるウォーキングの時間を増やした。

安産体操も、ヒッヒッフーの練習も熱が入った。

そうするうちに1週間が経過。先生のうそつきー!と思いながら、検診へ。夕方5時。今日は込んでいるな、と思ったら、「先生はお産に入りましたので、しばらくお待ちください」とのこと。もはや他人事ではないので、雑誌を読んで待つこと2時間。やっと自分の順番に。

いつも通り、みのりんの心音チェックをしている先生が、首をかしげる。「うーん、おかしいな」って、どうしたっていうのよー!先ほど読んでいた女性誌の記事が頭をよぎる。タイトルは「なぜ私が」。内容は出産にまつわる大変な体験談。そのなかの一つは臨月の検診でお腹の子が死んでいることが分かったという、悲しい出産の話だった。

「心音が低下していますね。あ、でも戻った。念のため、上で(病室で)モニター検査してみましょう。」

夜8時半。みのりんは元気に私のお腹を蹴っている。大丈夫だろう。でも、定期的にお腹がキュウッとはってくる。モニターを見た看護婦さんは「かなり強い張りですね。普通このくらいだと、分娩でいきめるんだけどね。」とのこと。しばらくして先生がやってきた。

「うーん、大丈夫そうですが、心配ですから、このまま入院してしまいましょう。」とのこと。私は夫の職場に電話をかけ、入院準備を持ってきてもらうよう頼んだ。

10時半。夫、到着。すっかりお腹も空いていたので、夫に買ってきてもらったおにぎりをもりもり食べた。もう一度モニター検査をすると言われベッドに寝ていると、となりからは陣痛で苦しむ声がきこえた。

私ももうすぐだわ、とのんびり構えていた。ら、あらら、先生、モニター結果をにらみ、夫を連れて外へ。戻ってきて一言「やはり、手術しましょう。」ヘソの緒が首に絡まっている可能性があり、子宮口はなぜか2cmしか開いていないため普通分娩は無理、とのこと。

!?!?!?・・!!!!(ビックリ)

それから、慌しく準備が進んだ。スタッフの半分はアメリカに社内旅行中とのことで、他の病院への搬送も考えたようだったが、結局そちらの手配もつかず、帰宅したばかりのスタッフや麻酔医を呼び出しての緊急手術となった。

手術台に上がり、半身麻酔を打たれた。意識ははっきりしているため、「ここをこう持って」「そこを押さえて」など、先生が慣れない看護婦を指導しながらの手術に不安を覚えながらも「ほぎゃーほぎゃー」と赤ちゃんの声。あっという間にみのりんは誕生した。

「男の子ですね、あ、いや、女の子ですね」って、看護婦さん。間違えるなっちゅーねん。失礼な。「かわいいですよ」と私に見えるようにしてくれ、感動で少し涙がでた。その後、傷を縫ったりの処置のため全身麻酔を打たれ、目覚めたのは2時間後だった。

その時のことは、全身がだるくて、頭もぼーっとしてよく覚えていない。ただ、夫が抱いていたみのりんは、とてもかわいいとは思えなかった。みのりんには、左目の上と鼻の下に赤いアザがあり、夫と「女の子だから、整形手術で取ってあげようね」と真剣に話をした。

こうして、みのりんはこの世に誕生したのであった。普通分娩だったら、自分が産んだーっていう実感がもっと沸いて、感動したんだろうな、と思うとちょっと残念。あんなに練習した呼吸法も出番がなく、友人にもらった妊娠線予防クリームを必死に塗った甲斐もなく大きな傷あとができ、出産の痛みがどれほどかも体験できず、すごく残念.。

でも、やはり生きて産まれてくれたことに感謝しなくちゃね。みのりん、ありがとう。

 


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