結局外圧に折れた。政治的立場上、大学病院への紹介状を書いてくれるよう内科医に頼むことになった。
内科医は「いいよ。やっぱり親御さんも安心したいだろうしね」と今回もあっさりと承諾してくれた。血液検査といい紹介といい、毎度毎度やっかいなことを頼む患者なのに引き受けてくれるとはありがたい話である。
某月某日
お隣、つまり大学病院へ行く。しかし、この程度のリウマチ(疑い)で大学病院へ行くなんざ、医療資源の無駄遣いだよなあ・・・。
問診でこちらの状態、症状、その他を述べる。リウマチ専門医はそれを淡々とカルテに書き留める。
「んじゃ、一応不明熱ということで検査しますから」と、何だか見たことのあるオーダー画面で検査項目をクリックしていく。
今回は初診なので、問診と採血だけである。結局採血管に7本分も血を抜かれた。それだけ丁寧に調べても、多分なんにも出ないんだろうなあ。
某月某日
前回の血液検査の結果が出る。
今回の検査ではめでたくいくつかの検査項目が正常範囲からはずれた。調べた甲斐はあったらしい。血沈、補体価(C4)、好中球(Seg、Band)、UN、CK、以上五項目である。ちなみにUNとCKは正常下限値オーバーであった。
しかしCRPだのRFだの抗核抗体だの、決め手になるようなものはすべて陰性だった。この検査結果からはSLEであるとかRAであるとかの診断は出ない。
「多分、どっかで炎症は起きてるんだと思うよ」
「あと、甲状腺機能の異常っていうのもあるけど、みたとこ腫れてないしね」
「ま、入院して徹底的に調べるっていう手もあるけどね(ここで私の顔が微妙に引きつっているのを確認)。・・・まあ、難しいかなー」
「でも入院すると検査は進むよ」
「鎮痛剤出しとこうか?」
例のオーダー画面の登場である。
とりあえず、という感じでロキソプロフェンナトリウムが選択されそうになる。
「あの、前に一般内科の医者にもらったのが残ってるんですけど・・・」
「んー、じゃ、いいね」
とオーダー画面が閉じられた。
なかなかステキな投薬方針である。
某月某日
再びお隣に出向く。
「どう、その後」
「両肘、両膝が痛いです。あと、三日くらい前から耳の下あたりが痛いんですけど、リンパ腺が腫れてるのかどうか自分では触ってもわかんないんで・・・」
触診して、
「・・・ぁぁ、ちょっと腫れてるかもねー」
腫脹のある場所がカルテに書き込まれる。
「シェーグレン症候群とかも考えられるんだけどねー。でも抗体出てなかったよねー」
前回の血液検査の結果が再びディスプレイに表示される。
「血沈が高いからさあ、多分どっかで炎症は起こしてるんだと思うんだよねー。でも抗核抗体とかでてないしねー。あとIgGがちょっと低いよねー。下限ぎりぎりくらい」
一瞬、免疫学実習の結果が頭をよぎる。バンドか一本足らなかったのは気のせいではなかったのか・・・?
「ま、妹さんがSLEだっていうし、年に二回くらい血液検査したほうがいいよねー」
「あのー、私順当に行くと来年の三月に卒業しちゃうので、多分ここからいなくなっちゃうと思うんですよね」
「うん、そうだよね。・・・だったら遅くとも二月くらいにここに来てくれたらカルテの内容とか検査結果とか渡すからー。」
「まあ、また調子悪くなったら僕のところに来てくれればいいから」
「じゃ、次二月ね」