第一章 おぼんのふち


某月某日

脱出初日。
いきなり実家にストックとして持っていたNSAIDを忘れてきたことに気付く。
あいかわらず両肘、両膝が痛いし、手首が痛かったり足首が痛かったりするので手元に欲しかったのだが忘れてきた。
(ということは何だかんだ言いつつも薬を飲まなくてもやっていけるというのと同義ということだ)
どうせ夏には教採で帰るのでその時に取ってくればいい。
 
 

某月某日

母方の親戚の法事のため上京する。妹に実家のNSAIDを母親に言付けてもらったのを叔父宅で受け取る。
 
 

某月某日

昨夜は寝ようとしても神経がぴりぴりしていて寝つけなかった。こういうときはオクスリに頼ろう、とストックを漁って適当に飲んだら翌朝はしっかり寝過ごした。
仕事をしていた頃は飲みたくても睡眠薬の類いは飲めなかった。翌朝まで残るのが困るのと、寝過ごすわけにはいかないのとがその理由だ。セントジョーンズワートを探したこともあったが置いていなかったり高かったりで結局飲めなかった。

寝過ごせる幸せを噛み締めつつ、洗濯物を干して大学に行く。
 
 

某月某日

世間は黄金週間なのに発熱して寝込んだ。
朝起きようと思っても起きられない。疲れきっていて寝ても寝ても疲れがとれない。先週はセミナーと野外観察会、先々週は法事(往路復路ともに夜行バスで移動)と週末なのに休めない日が続いたせいだろうか。

夜までずっと寝ていたので備蓄食料とスポーツドリンクを購入するため閉店近いスーパーに走った。
 
 

某月某日

今度は喘息った。
ストックを漁るとテオフィリンが残り1シートだった。
内科に行きたいが保険証がない(遠隔地扶養者保険証がまだ親元から送られてきていない)。
息苦しいので塩酸プロカテロールの方を入れる。

今回は特に選択制が低く、心悸亢進と手の振戦がおさまらなかった。妙にいらいらして何をやっても落ち着かない。
ここしばらくは選択性が高かったので忘れていたが、この妙なイライラ感が嫌でエアゾルを使いたくなかったことを思い出した。

新しい土地に引っ越した初年は必ず喘息がひどくなっている。東京しかり、某キチガイ都市しかり。
今からこんな状態で秋はどうなることか、先が思い遣られる。
 
 

某月某日

再度発熱。疲れてしまって起きられない。昼までゆっくり寝て、がんばって起き出して洗濯掃除買い物を済ませる。

コンビニでvit B complexのサプリメントを見つけたのでついつい買ってしまった。医療用のvit B製剤では疲れがとれなかったので飲んでもあまり意味はないと思いつつも、値段の安さにつられた。

夕方にこそこそと研究室に忍び込んで英語のレポートを書く。
 
 

某月某日

発熱二日目。前日無理をしたせいか。

明日は講議はないがmtgがある。
が、神経がぴりぴりして寝つけない。
が、オクスリは飲めない(mtgが午前中にある)。
というわけで今度はセントジョーンズワート。やはりコンビニで見つけたものだ。
しょせん食品だから大した効果は期待していない。
しかしパッケージの裏に「経口避妊薬(ピル)、強心薬、気管支拡張薬 その他をお使いの方は、セントジョーンズワートにより効果が減少するおそれがあります。お医者さまとご相談の上、お召し上がりください」とあるのはどうしたものか。