子育ては体力勝負と以前書きましたが、体力と同じくらい大切なのが経済的問題ではないかと思います。
私も日本にいた時に、たくちんが生まれてから、市役所の子育て支援や援助を受けていました。月々5000円でしたが、大食漢の彼のミルク代として大変助かりました。また、市の保健所で行う無料の健康診断や、予防接種などなど、とかくデリケートな時期の赤子を持つ身としてはとてもありがたかったです。
私たちがアメリカに来るときに、一番に気になったのが、たくちんの健康管理をどのようにするか?でした。
アメリカでの医療にかかる費用がとてつもなく高く、しかも尋常ではない料金を請求されるという話は、以前から聞いていましたし、観光旅行でアメリカに来た方が現地で骨折して、その治療に日本円で7〜8万円掛かったという記事も読んだことがあります。また、歯科治療もアメリカはとても高いと聞いていたので、日本に一時帰国するまで、「歯医者には行かない!」と心に決め、渡米3ヶ月前から突貫工事で妻と私は、今までほったらかしにしていた虫歯その他を治してもらいました。
日本を発つ前に私とたくちんには保険会社の海外旅行者用保険をかけました。(妻は奨学金のスポンサーであるロータリー財団や留学先の大学によって指定の保険への加入が義務付けられていました。)一年間でそれぞれ9万円近い保険料でした。私たちにとっては大きな出費でしたが、それでも何かあった時のことを考えれば安いもの?と思いました。
とかく留学というと日本では「お金持ち」のような印象があります。(事実、ある程度のお金がなければ自力で留学は出来ないでしょう。)もちろん私達もカツカツで来ているワケではありません、それでもやっぱり余裕はありません。しかし、「カツカツでない」という事が自分達があたかも「余裕がある。」という風に錯覚を起こさせる事があります。特に実家に長いこと居た私はそれが強かったと思います。(それで妻には悪い思いをさせたと思います。)
同じ日本人と付き合う事が多ければ、多分そのままだったかもしれません。しかし、私達が住んでいる大学の家族用住宅には日本人はほとんど(1〜2人ぐらい)いませんでした。自然と外国人の方との付き合いの方が多くなりますし、アメリカ人ではなく、私達と同じように母国を離れて勉強する外国人の方と会う機会がたくさんあります。話を伺うと、ほとんどの方は質素な生活をしていて、留学という言葉から想像するような華やかな印象はありません。妻が大学の入学手続きのために、今年の2月初旬にこちらに来たときに偶然出会った台湾からの留学生のご家族の関係で、自然と家族住宅内でも中国・台湾の方々と知り合う事が多かった事もあり、そういう方々と話をすると自分達とダブるところも多く、参考になる情報もありました。日本の様にお金があれば留学できるようなところから来ているのとは訳が違い、皆さん国を代表して、さまざまな試験をパスして給費留学生として来ている方ですから、当然留学に対する意識が違います。もっと勉強したいけれども、もっとアメリカにいたいけれども、それを経済的またはほかの理由で断念せざるを得ない状況になる方もいます。経済的問題を解決するためにはお金を得なければいけませんが、それはビザの関係上自由には出来ません。皆さんそれをよく理解していらっしゃるので、やはり仕事を得るという事はとても大切かつ大変な事になります。
そこで改めて思うことは、「自分達は低(無)所得だ。」という事です。無所得という事は、所得が無、つまり、所得がないということであり、ということは、無所得という事になるわけです。私達もビザの関係上自由に仕事が出来ません。(私達のビザはステータスがF、学生ビザなのです。その中でも、妻はF-1、私はF-2ビザで、妻は時間や場所に制限がありますが多少仕事が出来ます・・・が、私はまったく出来ません。)収入が無ければ当然無所得になり「低(無)所得者」になりますよね。
ですから、日本に居たよりも、子育て支援や援助が欲しいと思う気持ちは強くなりました。同じ留学生のご家族から、また、大学の住宅サービス事務所からそういう類の情報を結構聞きました。外国人の私達がそんな援助を受けられるのか、私は最初不安でした。最初に申し込んだのはWIC(ウィック)プログラムというもので、私達の住んでいる地域(ハンプシャー郡)のコミュニティーアクション委員会が提供しているものでした。これは子供やその母親の健康状態や食生活、また経済状況に応じて、このプログラムに提携しているお店で商品と交換できるチケットを一回に付き3か月分もらえるというものです。電話で問い合わせて、資料と申し込み書、また問診表が送られてきて、それに記入して、指定の期日に事務所で母子が面接(健康状態を知るために血液検査もしました。)を受けました。びっくりしたのは申し込み書に、自分の現在の状況をチェックする欄があるのですが、その項目に「ホームレス」という項目があった事です。もちろんホームレスであっても公平に援助を受ける事が出来ます。日本では、国民健康保険か社会保険加入者でないと援助を受けられないのが大抵ですが、その差にびっくりしました。つまり、本人や子供の背景がどうであれ、現在の窮状を救うのが第一、というワケです。

↑この写真は、私の住んでいる町の土曜日の朝市で、
前述のWICプログラムのチケットが使えるお店であることを示した看板です。
もちろんホームレスや外国人であってもビザの無い、つまり不法滞在はある意味違法なのかもしれません。(税金を納めていないとか、外国人登録をしていないとか、小さな事をあげればきりがありません。)そういう事の管轄の事務所にすれば、検挙の対象になるのかもしれませんが、先にあげた福祉事務所でそれを述べたからといって通報される事はありません。(ドライに考えれば、「それは私達の仕事(管轄)ではないから、関係ない。」というすごく単純な事なのかもしれません。)ですから、そういう状況の人達でも臆せず堂々と自分の窮状を訴え、そして援助を受ける事が出来るのでしょう。アメリカというのは、本当に柔軟だなぁとつくづく思いました。
その他、Mass Health(マスヘルス)というNGO団体の保険にも申し込みをしました。最初、これはたくちんのためだけを考えて資料を取り寄せたのです。というのは、こちらでも、日本と同様に赤ちゃんの検診や予防接種は医療扱いにならず、受ける場合は費用がかかるという事を知ったからでした。もちろん日本で契約した海外旅行者用保険もそれはカバーしてはいませんでした。ですから、生後5ヶ月で渡ってきたたくちんには、まだまだ予防接種や検診が必要だったので、こちらでも日本のように無料で受ける事が出来ないものか?と考えていました。こちらで知り合った日本のご家族は、皆さん企業や政府派遣の方で”高”所得者ですから、予防接種も実費で受けたという話を伺っていましたから(苦笑)。
資料を読むと、私や妻も申し込みが出来る(らしい)事が分かり、ダメもとで私と妻も含め家族3人で申し込みをしました。結果、たくちんはすべての医療行為をカバーするステータスに、私と妻は限定付きでしたが、加入することが出来ました。また、たくちんだけにThe Children’s Medical Security Plan (チルドレンズ・メディカル・セキュリティ・プラン)というのも問い合わせました。これはたくちんに関わる検診、予防接種、歯科治療もすべてタダになるという(もちろん提携している病院に限りますが)私達にとっては夢のようなプログラムで、これにも無事加入できました。本当に叩けるドアはすべて叩け!っていう感じで、ホント叩いて良かった・・・(安堵)。
ですが、以外とこういう事に私達の様に熱意?を持ってやっている日本人は少ないような印象を受けます。先ほど書いた様に派遣の方々は別として、学生の留学生も低所得には変わりないのですから、そういう人達も、今回私が紹介したようなモノは子育て支援ですから無縁かもしれませんが、MASS HEALTHや今私が申請している別のNGO団体の保険など、シングルでも利用できるものがあると思います。現に上記の保険のおかげで、たくちんに掛けていた保険は解約し6万円近く戻ってきました。日本と違い、アメリカでは援助を受けるという事は、恥でもなんでもなく、それを受ける権利があるのなら堂々と受ける、それがこちらのスタイルなんだろうなぁとつくづく思いました。
そういえば、以前妻が、財団関係の仕事で日本の学生をアメリカへ短期派遣するプログラムの通訳兼コーディネーターとして付き添っていた時、彼女の組んだ予定で、お年よりやエイズ等の病気によって援助を必要としている方々に、無料の食事サービスを行っている現地のNGO団体の視察と簡単なお手伝い(配膳など)を体験する事があったそうなのですが、そのときに訪問した患者やお年寄りからは食事サービスについての意見(注文?)をよく言われたそうです。ある人は「この(食事サービスに付いてくる)牛乳はキライだから、今度から●●乳業のにしてくれ。」と言ってたそうです。(驚)この話は結構衝撃的でした。
日本ではとかく福祉と言うと、「●●してもらっているから・・・」と自分の欲するサービスとかならずしも合わなくても、それを感謝して”我慢”するという事が往々にしてあります。もちろんそういった善意によるサービスに感謝をする事はとっても大切な事だと私も思います。けれども、そういったサービスに対する不満や不備もきちんと指摘しないと、サービスの向上は望めません。福祉関係に従事している方々も、きっと「良いサービスを提供したい。」と思っているハズ。謙虚さと同時に、提供する側だけでなく受ける側も、そういう事に携わっているのだと自信を持って堂々と援助やサービスを受けたいものです。それが、日本の福祉全体の向上にもつながるのかもしれないと思う今日この頃です。
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