| 父への鎮魂詩 |
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第4章 残された者の気持ち 父のベッドに残された荷物を整理し、病院を出たのは朝4時を少し過ぎていた。 外は少しづつ明るさを増し、冷たい風は、母と僕に突き刺すように感じた。 悲しんでいる余裕もなく、もう葬式のことを考えているなんて、さみしすぎると一人心で呟いていた。 最寄りの駅までの帰る途中、父が胃の手術をして以来5年の年月が走馬灯の様に2人の頭を過り、父もきっと楽になったと喜んでいるだろう、と話しながら歩いていた。 昨夜の出来事は、僕の頭に永遠に残ることだろう。父の最期を見届け人間の尊厳を見せつけられた僕は、これからの人生にとって重大な責任を背負った様な感じがした。 駅には始発の時間にも関わらず、すでにホームに何人もの人が電車を待っている。 誰も僕達が今、人の死を見つめてきたことなど、誰も知るよしもない。 時間は、個人の意識とは無関係に通り過ぎる。しかし、ひとりひとりには、確実にその時間ごとの想い出を作りながら過ぎて行く。 これから僕らには、通夜や葬式などいろいろな儀式が待ちかまえている。父のためにもりっぱに終えたいと思う反面、どうすれば良いのかもわからない状況に身が震えていた。 長い夜が明け、朝の日射しを見て今一人心で想う。母には、長い間ご苦労さん。父には、りっぱな姿を僕達に見せてくれてありがとう、そして静かに眠って下さい。・・・と。 今、父の百か日法要で家族みんなが集まり、あの喧噪の通夜と葬式が無事に済み慌ただしい毎日の過ぎる中、あの夜がずっと昔のことの様であり、またそばにいつもの様に父が居て、我々に話しかけてくる様にも思える。 昔の人はよく言ったものだ、肉体は朽ちても魂は人の心の中に生きている限り、その人の消滅は無いと。 今、その言葉をかめしめながら我々家族の心の中に、父は確実に生きていることを実感する。 父は今きっと、「5年間俺の看病に明け暮れた母さん、毎日俺の様子を見に来てくれた娘よ。そしてそれを暖かく見守ってくれた旦那と家族達。頼り無い我が息子とその家族達よ。そして、わが兄弟達・友人達、葬式に来てくれた人達。病院の先生方。本当に俺の一生に悔いはない、ありがとう。」と言っていることだろう。 |
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