3年過ぎた地震の町

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第5章 長田の街を彷徨って

今日は朝から天気は上々で、朝風呂に入り早めのチェックアウトをし、もう一度生田神社に御参りをして、この旅の最後の目的地に向かうことにした。

一路新長田駅に向かう。
三ノ宮から新長田駅まで10分程の距離だが、電車の窓から見える景色は、まだまばらに空き地があり事務所や店鋪ビルに比べ住宅の復興の遅れが感じられた。
新長田駅周辺では、工事が盛んに行われいた。近くにフェニックスプラザ(阪神・淡路大震災復興支援館)があったので立ち寄った。
そして何となく歩き始め、ふらふらと気ままに住宅街に入って行った。
駅から離れると静かな町並になり、小さな工場の建物の間を歩いていた。空き地が点在し、新しい建物と崩れ掛った建物が混在しており、平日のためか人影も少なく感じた。
高層のマンションがあったので、そこから俯瞰してみることにした。
上から見ると、まだまだ震災の被害の跡が残っている様子が伺えた。しばし眺めていると気が沈んでくるのを感じた。
新長田駅 高層マンションからの町並

日射しは暑く、人はなにか穏やかな雰囲気を漂わせ、ただ歩いている旅人に振り向く人もいない。異様な空気の中それは無の世界か感情のない世界か、人の息ずかいが感じられなかった。
そんな不思議と静かな空気のなか彷徨うように歩いて、さて駅で昼食にしようとしたら財布がなかった。
財布には、免許証も現金も全てはいっている上、帰りの新幹線の切符まで入っていて、家に帰れない。
落としたのはこの2時間位の歩いた道に間違いなく、暑くて上着を脱いで手に持って歩いた時、ポケットから落ちたのだろう。
交番に届ける前に、もう一度歩いてみることにした。

さっきは、廻りを見ながらあるいて今度は地面をみながら歩くことになった。
みつからない場合は、どうなるのか考えながら探し歩いたが見つからない。自分でもどうなるのか見当もつかない。途方にくれた時間が過ぎる。
しかし、心の奥ではこの悟りにも似た空気の中、もし拾ってくれる人がいたらきっと届けてくれるとの思いもあった。
しかし、万一交番に届けられていない場合を考えると、中々恐くて交番に行く勇気が持てなかった。

どうしても見つからず、気力も失せて何も考えなくなって、やっと交番に行った。

やはり、拾い主から交番に連絡が入っていた。何とも言えぬありがたさを感じ、すぐに受け取りに行った。そこはある工場の前で、拾い主は仕事中で交番には届けられず、連絡だけ先にしておいたとのこと。
もし、届けるのが夕方や帰りであっても、僕にとっては最悪の事態になっていたことを思うと、この町の人のやさしさを思わずにはいられなかった。

そして、その近くの食堂で遅い昼食を食べることが出来た。



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