〜 保育日記 〜

◆かわいくて抱きしめて…で。  (2004/4/8)



 保育所の子どもたちはみんなかわいいが、やはり担任のクラス、しかも担当の子どもは特にかわいい。子どもたちの方も担任になついてくれて、朝合同保育の部屋に入っていくと こちらの姿を見つけて足元に駆け寄ってきてくれる。
 私はそんな子どもたちを抱きしめて頬ずりするという親譲りの習性がある。
「おはよう、XXちゃん。かわいいねー」
 なんでもかんでもかわいいというのは語彙のなさを証明しているようなものだが、ここはだいたい素直に自分のところに駆け寄ってきてくれること、子どもたちの笑顔に対して「かわいい」と言う。
 毎朝のようにそれをやっているうち、いつの間にか他のクラスの子たちが二、三人寄ってきて はにかみながら
「せんせー、マリカも」
と言うようになった。私はほとんど関わっていないクラスの子どもたちなのだけれど、そんな私にでさえぎゅーっと抱きしめて頬ずりされ「かわいい」と言われると恥ずかしそうに笑いながら喜んでくれる。子どもたちは抱きしめられることや かわいいと言われることがやっぱり嬉しいのだ−何故か子どもたちは自分が良く言われている表現が分かるから −、としみじみ思った。

  「せんせー、XXも」と寄ってくる子どもたちの中に、いつの間にかおずおずとしたタカキくんの姿が見られるようになった。三ヶ月前に入園したばかりでようやく落ち着き、それまであまり発することのなかったことばも少しずつ聞かれるようになった三歳の男の子である。
 はじめ「タカキも」と小声で言われて 驚いた。私は彼の担任ではないしフリーでもないため、彼との関わりが希薄だったからだ。それでも抱きしめられている他の子どもたちの姿を見て (いいな、僕もやって欲しいな)と密かに思っていたのだろうか。 私はまた嬉しくなって
「タカキ、かわいい かわいい」
と ぎゅっと抱きしめた。

 ところで、そのタカキくんが 「タカキも」と やって来たある朝のこと。私は「かわいいー」と言いながら、それまで彼にはあまりやらなかった頬ずりをした。
 そして彼が私から離れたとき、近くでその光景を見ていた保育士が言った。
「先生、タカキ こうやって」 と手の甲を頬にやる仕草をして−
ほっぺた拭いてるよ」
 なっ、なにをーーーーー! (゜◇゜)ガーン 
 私の頬が汚いと言うのかー?! それとも化粧がべたついたのか…?
 ちょっとだけ哀しい朝のひとこまであった。


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