〜 保育日記 〜

◆きょうだいは他人の始まり  (2005/6/9)



 ぼくはママが好き。なのにママったら赤ちゃんが生まれてからずーーーーーーーっと赤ちゃんの方ばかり見てる。
 …ぼくのこと、嫌いになったのかな。

 赤ちゃんはママのおっぱいくわえてる。いいなあ。ぼくはあんなこと、したことないよ。ママのおっぱいやわらかくて気持ちいいんだ。どうしてぼくはおっぱいくわえちゃだめなの?ずるいなあ、赤ちゃん。

「赤ちゃん、かわいいでしょ」
っておばあちゃんたちは言う。じゃあ ぼくはかわいくないの?ぼくはかわいくないよ、赤ちゃん。くしゃくしゃな顔で、ちーっともかわいくない。髪もないし。ぼくの方がかわいいよ。
みんなぼくのこといい子だ、かわいいって言ってたのに、どうして誰も言ってくれないの?
え?おばあちゃん、ケイタもかわいいよ、だって?
ウ・ソ・ツ・キ!
ほんとは赤ちゃんの方がかわいいんでしょー。そんなこと言ったって、騙されないよー、だっ。

 ママがトイレに行った。
 赤ちゃんがベッドで寝てる。
 ここにはぼくしかいない。
 こいつがママを盗ったんだ。えい。むぎゅっ。
 泣かないみたいだ。よーし。もうちょっと。ぺちん。ぱしん。

 
ぎゃーーーーーーーっ

 …ママが怒った。ママがぼくを見てくれるのは、怒る時だけだ。赤ちゃんが生まれてから。


 保育園に行かされた。やだ、ママも一緒じゃなきゃやだ。やだやだやだやだ。
「ほら、ムトウ先生よ。ケイタ」
 そんな人どうでもいい、そんな人知らない。やだやだ、ママ、ぼくはママから離れないからね。

 やだーーーーーーーーーーーーーーーーー!

 でもママは、ぼくをホイクエンに置いて バイバイ、って行ってしまうようになった。なんか、来たことあるような場所だけど。知ってるような気がする人がたくさんいるけど。ぼくはママといたいのに。ずっとお家でママといたいのに。。。

 あ。
 良く知ってるひとがいる。お家で見る人がいる。
 ママの赤ちゃん。ベッドの中で笑ってる。ぼくの知ってる、この中でいちばん知ってるひと。ママは君のことも置いていったんだね。

 赤ちゃんが泣き出した。どうしよう。ねえ、ねえ、赤ちゃんが泣いてるよ。どうしてセンセイたち、来てくれないの。ママの赤ちゃんが泣いてるのに、放っておくの?もうっ!
 えーっとええーっとこういう時は…おもちゃ、ないかな。どれがいいかな。どれでもいいか。
 ハイ、どうぞ。
 赤ちゃんがおもちゃを持って、じっと見て、少し泣きやんだ。はあ、よかった。ママの赤ちゃんが泣いてたら、ママが怒るもん。

 …ここにはたくさん赤ちゃんがいるけど、ママの赤ちゃんがいちばんかわいいなあ。

 もちろん世界でいちばんかわいいのは、ぼく、だけどね。そうだよね?ママ。



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