ぼくはママが好き。なのにママったら赤ちゃんが生まれてからずーーーーーーーっと赤ちゃんの方ばかり見てる。
…ぼくのこと、嫌いになったのかな。
赤ちゃんはママのおっぱいくわえてる。いいなあ。ぼくはあんなこと、したことないよ。ママのおっぱいやわらかくて気持ちいいんだ。どうしてぼくはおっぱいくわえちゃだめなの?ずるいなあ、赤ちゃん。
「赤ちゃん、かわいいでしょ」
っておばあちゃんたちは言う。じゃあ ぼくはかわいくないの?ぼくはかわいくないよ、赤ちゃん。くしゃくしゃな顔で、ちーっともかわいくない。髪もないし。ぼくの方がかわいいよ。
みんなぼくのこといい子だ、かわいいって言ってたのに、どうして誰も言ってくれないの?
え?おばあちゃん、ケイタもかわいいよ、だって?
ウ・ソ・ツ・キ!
ほんとは赤ちゃんの方がかわいいんでしょー。そんなこと言ったって、騙されないよー、だっ。
ママがトイレに行った。
赤ちゃんがベッドで寝てる。
ここにはぼくしかいない。
こいつがママを盗ったんだ。えい。むぎゅっ。
泣かないみたいだ。よーし。もうちょっと。ぺちん。ぱしん。
ぎゃーーーーーーーっ
…ママが怒った。ママがぼくを見てくれるのは、怒る時だけだ。赤ちゃんが生まれてから。
保育園に行かされた。やだ、ママも一緒じゃなきゃやだ。やだやだやだやだ。
「ほら、ムトウ先生よ。ケイタ」
そんな人どうでもいい、そんな人知らない。やだやだ、ママ、ぼくはママから離れないからね。
やだーーーーーーーーーーーーーーーーー!
でもママは、ぼくをホイクエンに置いて バイバイ、って行ってしまうようになった。なんか、来たことあるような場所だけど。知ってるような気がする人がたくさんいるけど。ぼくはママといたいのに。ずっとお家でママといたいのに。。。
あ。
良く知ってるひとがいる。お家で見る人がいる。
ママの赤ちゃん。ベッドの中で笑ってる。ぼくの知ってる、この中でいちばん知ってるひと。ママは君のことも置いていったんだね。
赤ちゃんが泣き出した。どうしよう。ねえ、ねえ、赤ちゃんが泣いてるよ。どうしてセンセイたち、来てくれないの。ママの赤ちゃんが泣いてるのに、放っておくの?もうっ!
えーっとええーっとこういう時は…おもちゃ、ないかな。どれがいいかな。どれでもいいか。
ハイ、どうぞ。
赤ちゃんがおもちゃを持って、じっと見て、少し泣きやんだ。はあ、よかった。ママの赤ちゃんが泣いてたら、ママが怒るもん。
…ここにはたくさん赤ちゃんがいるけど、ママの赤ちゃんがいちばんかわいいなあ。
もちろん世界でいちばんかわいいのは、ぼく、だけどね。そうだよね?ママ。