〜 保育日記 〜

モモになりたい  (2002/5/29)



  ドイツの作家ミヒャエル・エンデの「モモ」は、私が好きな物語のひとつ。
 主人公のモモは10歳くらいのどこから来たかもわからない女の子。街の円形劇場跡に住んでいます。
 モモは不思議な力を持っています。それは相手の話を聴く力。モモに話を聴いてもらうだけで、ばかな人にも急にまともな考えが浮かび、生きていても何の価値もないと思っていた人も自分という存在の価値に気づくのです。
 この「聴く」力は相手の隠していたい本音さえも引き出してしまいます。それが物語の展開にも深く関わるのですが、ここでは省略して。

 子安美知子さんの「『モモ』を読む」という本によれば、「モモ」は水面下にシュタイナーの思想が見える物語です。
 シュタイナーの言う人智学に深入りすると超自然的な側面が強くなりますが、「モモ」に見え隠れするシュタイナーの思想には同意できる箇所がいくつかあります。モモの「聴く」力も然り。

 私は保育の場で子どもが話しかけてきたとき、子どもを叱るとき、モモのような聴力をもって 相手の話をじっと聴きたいと思っています。
 シュタイナーが主張するように、自分の考えを追放して 相手の話をひたすら聴くことは カウンセリングにも通じるやり方ですが 難しいことです。
 あのね、あのね、あのね・・・だけで先がなかなか出てこないと苛つくこともありますが、何を語ろうとしているのか、ひたすら聴きます。
 悪いことをしたとき、子どもなりに言い訳があるでしょう。それもできるだけ聴きます。
 いつもゆっくり時間をかけて会話していられないのも確か。だから できるだけ、ですけれど。

 ことばかけのように具体的なやり方ではありませんが、超自然的で敬遠される方もいると思いますが、いつか子ども自身のことばを引き出せたら・・・と思って、話を聴くように心がけています。



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