〜 Tea Time 〜

”おめでとう” (2005/10/25)



 突然ですが妊婦になりました。分かった時の素直な感想は 市販の検査薬の結果を見て 「…は?陽性?…えっ?」。何故今?という思いとまさかという驚きとが絡んで。
 待望の妊娠なのだけど、泣くことも舞い上がることもなく 「はあ…(呆然)」<半信半疑 でしばらく過ごしていた。もしものことがあったら立ち直れないからと自制していたのかもしれないが、妊娠してからの私はとにかく
ぼけらーーーーーーーっ。としていたのだ。
 少しずつ苛々しやすくなっていたものの、概ねぼけーっとしていて、嬉しいとか悲しいとか感情のスイッチも接触不良という感じだし、思考能力が完全に落ちていた。妊娠前の三割くらいしか頭が働いていない感じ。まともに思考できるのは一日30分から一時間くらい。それ以外は目覚めながら寝ているような感覚。夕食の献立なんてまったく考えつかなかった。

 私の両親にとっては三人目の孫。病院に行く前、まず母に電話して「もしかしたら」と打ち明けた。すると母は周囲の耳を気にしてあまり感情を出さずに小声で「よかったね、おめでとう」と言ってくれた。結婚してしばらく子どもが出来ずにいた私のことを、母は母なりに案じて気を遣っていたと思う。母は一度も私に「子どもはまだなの?」と言わなかった。そんなことを言われたら娘が辛いだろうとか、もし子どもが出来なくても仕方ないことだし それはそれで娘の人生だから、とか考えていたのだろう。そういう人である。親戚からの「でめちゃんとこはまだなの?」攻撃も、どうも両親が防波堤になってくれていたようだし(攻撃されていたことは決して言わなかったが)。聞かれるのは辛かっただろうに。
 父もやはり静かに喜んでくれた。仕事中に「妊婦はマグロを食べてはいけない <メチル水銀が溜まっているから 」というニュースを聞き 帰宅するなり 「でめが遊びに来てもマグロはだめだぞ!!」と言っていたそうだ。普段なら気にも留めない情報だろうに、娘の身を案じていると反応が違うらしい。
 両親は昔の人なので、嫁に行った私の子どもは「旦那家の子」という想いがあるのか「向こうのご両親が喜んだでしょう」とあくまでも控えめだった。

 ところで義両親も私たち夫婦に「子どもはまだ?」攻撃をしなかった。旦那家の親戚は「子どもがいない?だめだ、子ども作らなくちゃ!」と 言うじいさん(失礼っ!)ばかりで二度と法事には顔を出すまいと思ったが、義両親は言わなかった。義母は嫁の私に気を遣っていたのかもしれない。
 しかし義両親にとっては初孫である。喜ばないはずがない。義母は妊娠報告の電話で「いつ産まれるの?男の子?女の子?」と かなり先走った質問をしてきたほどだ。いやお義母さん、妊娠5週でまだ性別はわかりませんて…(笑)。 そして義母は当たり前だが「おめでとう」と言った。
 でもそれを伝え聞いた時、私はちょっと違和感を感じた。他人から言われたら素直に受け取ったけれど、義両親から言われるのはヘンな感じだった。
 だって、この子は私たち夫婦の子どもというだけではないんだもの。義両親の孫(しかも初孫)であり、私たちのきょうだいからすれば初の甥か姪であり、私の甥姪にとっては初のいとこである。この子は私たち夫婦だけのものじゃない。そんな風に思ったからである。



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