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9歳児は自発的に、あるいは周りのちょっとした暗示で、物事に注意を向ける事が出来るよう になってきます。その為に、家でも学校でも事務的な熱心な態度をとるようになるのが特徴で す。 ○9歳になると蓄積した勢力を奮い起こし、力を新たにして何回も繰り返しやってみます。これ は、9歳児の行動全体の組織が非常に成熟した為であります。 ○9歳は、技能的な学科や算数の基本的な応用や、その他の技術を熟達させるのに最上の時 期です。9歳の子どもは技術を完成させる事に非常に興味を持つので、それが遊びであろう と、勉強であろうと同じ事を何回もやるのを好むのです。 ○問題の解決にすぐに成功しないと自己評価の能力を発揮します。いくらか卑下して言いま す。 ○親切に保護を加えられる事を好みませんし、また必要としません。普通はあまり喧嘩好きで もありません。そして、子どもの親や教師を見る目は、公平であると共に鋭く正確です。 ○9歳児は自分の未熟な事を考えて、その評価や時期には、感心するほどの正義感と時には 合理性とを示します。今では前の様な子どもっぽい言い訳は征服してしまいました。 ○罰を受ける事も出来ます。そして一つの事件に数人の子どもや成人が関係している場合に は、全ての責任を公平に割りふる事を望みます。 ○誰が問題の発端かを強調します。とくに学校やクラブ活動では、罰、権利、規則手続きなど に対して情緒的にも知的にも非常に関心を抱きます。罰の公平、不公平を自分自身とグルー プと両方の立場から審判します。 ○9歳児は初歩の正義感は非常によく理解できます。社会は偏見の種を植え付けることも出 来ますが、子どもは民族的差別に対する禁止令に喜んで応じます。 ○9歳児は信頼でき、責任感を持っている。信用される事を好みます。 ○9歳児は自分自身の独力で立つ為に乳離れしようとします。そこで外にいる時は「坊や」と不 躾に呼ばれる事を好みませんし、女の子は「お嬢さん」と同一視される事を喜びません。何より も第一に健康な9歳の子どもは、お母さんが自分の事を赤ん坊扱いして知らず知らず、まるで いつも保護しなければならない小さい子どものように取り扱うのを好みません。 ○時にお父さんはまったく反対の極端に走り、まるで「若い大人」の様に取り扱います。実際に は固まった様な時には9歳児はまだ助けを必要とし、そういう時は両親に助けを求めに行くの を好むのです。そういう要求に対しては上手な取り扱いが必要で、望ましい独立心を養えるよ うな場合には適当に退却する事であります。 ○それゆえに親達は、9歳の我が子が時々自分の為にわざわざ計画された家族との遠足より も、友達の方に気を引かれても不平を言うべきではありません。多くの子どもは行動的な遊び より、しゃべったり、計画したりする方が多い。友達同士で楽しく語り合う事。家庭的団欒が与 える事の出来ないような交わりを必要とする事が非常に多いのです。 ○9歳児は合言葉、規則、決まった服装、秘密、会報、戒律などを持っています。生命の短い クラブの組織や行動に積極的に参加します。自分に利益を集団の要求の為に譲る事をだんだ ん覚えてきます。学校でもその他の所でも個人としてより、集団の一員として競争するようにな ります。 ○学校のグループは男の子も女の子も混じっていますが、自発的なグループはほとんどどれ も同姓です。 ○女の子は自分達だけのグループを作って、時々クスクス笑ったり、囁いたりするが、これに 対し男の子のグループはバカ騒ぎや相撲に日を暮らします。 ○男の子達は同じ年や、年上の暴れ者と、余計にめんどうを引き起こします。誕生祝には好ん で同姓の客に限ります。少年同士は女友達についてからかい、少女の間では男の友達につい てからかい合います。男も女も異性を軽蔑します。 ○このように互いに軽蔑し合う事は、発達機制の一部です。この頃の少年少女は、共に家庭 の絆から離れていく傾向を持つが、この軽蔑し合うこともそれと同じような理屈になります。 ○愛着が分離と釣り合いが取れなければなりません。成長する為に9歳の子どもは両親に対 する関係ばかりではなく、異性に対する関係でも、個人の立場という意識を完成しなければな りません。それで両性とも異性に対して、ある軽蔑を表現するのであります。文化がそれを促 進しなくても、互いに自慢し合い、探り合い、からかい合う事が、本来の素質の中にある心理 的特性をはっきりさせるのに役に立つのです。 ○非常に大切な事は、赤ん坊については嫌悪は持たれません。 ○少女達は弟妹に対して強い愛情と関心を示します。お兄さんとしての9歳の少年は時たま両 親が留守で、その責任を任された時には、細々した赤ん坊の世話を驚くほど立派にやっての けます。こうした態度もまた、家庭生活を包含する性の全発展の一部なのです。 ○9歳は、個性が再び存在を主張し、再組織しようとする顕著な年齢であります。 ○活動的な9歳の子どもは賞賛にあまり左右されないし、褒められるとびっくりしさえします。が 是認と恩恵を受け取ります。事実、時たま褒められるのを好み7歳の子どもより賞賛を消化す る能力が大きいのです。 ☆顕著(けんちょ=きわだって目に付き、疑いを容れる余地などが全く無い様子) ☆是認(ぜにん=いいとして(そうであると)認めること) ○9歳の子どもは過程や技術について、前より興味を持ちます。 ○何かをする前後に自分の動きをもっとよく分析してみる事も出来ます。また、自分のいろい ろな技術の練習にももっと興味を持ち辛抱強くなります。その運動神経系統の大きな成長によ って起こる興味と辛抱強さです。 ○9歳の子どもは時には穏やかで調和が取れています。またある時は自分の好きなことをやり すぎ、何回も繰り返します。同じ事をちょっと変えては繰り返す事も多いですが、それは同化し て新しい経験をもっと洗練させるのに役に立つのです。9歳の伸張性も同様にもっと大きな目 的と範囲と深さを持っています。それは前ほど大雑把でなくな、もっと筋道がたっており、要す るに組織化されています。これも成熟の差であり経験の集積によって豊かになったのです。 ☆集積(しゅうせき=多量に集める(集まる)こと。 ○9歳児の心理には、ある合理性が存在します。指導を快く受け入れます。実際的に率直で す。魔法についてあまり興味を持ちません。健康で懐疑的な傾向を持ています。サンタクロー スの神話を側へ追いやるけれども、もっと小さい子どものようにそれを破壊してしまうほど無常 ではありません。 ☆懐疑的(かいぎてき=なんでも(いつまでも)疑って、決定的な考えを持つことが出来ないこ と。 ○幸運や好機を信じますが、同時にまた法則を信じます。そうでなければ物事がどうやって行 われたか、なぜそうなのか、何なのかをあんなに知りたがりはしないでしょう。 ○自分の間違いを正し説明しようとします。当分の間、神様、天国、運命、お祈りなどについて 比較的関心が薄い。9歳児自身だいたい合理主義の精神で自分自身を自由に制御できます。 これは特筆する価値のある発達的現象です。 特筆(とくひつ=特に、その事を大大的に書き立てること。〔多くは、ほめて大げさに書く意に用 いられる〕 ○時には8歳の子どものように振舞います。しかし9歳児の最上の特徴が真の成長の流れの 確実な印であります。その特徴とは、現実主義、合理性、自発的動機などであります。それら が上手く平衡をとって働くと、子どもは子どもなりに事務的で公平な責任ある個人となります。9 歳児は単なる子どもではありません。その長い過去を完成しようとしているのです。終局的に ではなく過度的に。今、10代に向かうところです。 ☆過度的(かどてき=望ましい程度を越すこと。
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