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おじさんのかさ 作・絵 佐野洋子 講談社(本体1400円) |
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本の背表紙には受賞歴や選定図書の指定の紹介がいくつかありました。作者の『だってだってのおばあさん』も楽しく読んだ覚えがあります。 さて、物語はいつも傘を持って外に出るおじさんのお話。お気に入りの傘を濡らすのがいやで、雨がふっても絶対に傘をさしません。 が、ある日子どもたちが「あめがふったらポンポロロン、あめがふったらピッチャンチャン」と歌うのを聞いて、傘を開きたくなり、傘がたてる音にすっかりうれしくなり、家に帰ってからは雨に濡れた傘を何度もうっとり眺めたというのです。 おくさんが言うことばがしゃれています、「あら、かさを さしたんですか、あめが ふっているのに。」ですって! はじめてユカに読んでやった時(ちょうどエミはもう寝ていたのです)、「おもしろ〜い」と叫んでいましたが、本当にどこまで面白さがわかったことやら。 でも、細かいニュアンスはわからなくても、傘をさしてみるとだんだんおじさんが楽しそうになっていくのを感じて、自分も楽しくなったのかもしれません。なかなかしゃれた絵本です。 大人でも固定観念に縛られた日常生活をふりかえって見るために、時々こんな絵本を読むのはよいことです。 おじさんは美しく閉じた傘が一番いいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけでその価値観を打ち砕く勇気があったのでした。 |