『あなたがうまれたひ』
デブラ・フレイジャー作
福音館書店


あなたが おかあさんの おなかのなかで、
ひざを ちぢめてまるまって まっているとき、
ちきゅうも ちきゅうで うまれた
なかまたちも たいようも つきも、みんな どきどきしながら
まっていた。あなたが とびらを あけて この せかいに
うまれてくる しゅんかんを。

   この本の中の1ページを引用しました。この絵本に感動しているのは、子どもではなく、私です。そして、子育てでイライラしたり、疲れたときに私の心を立ち直らせてくれるのもこの絵本なのです。

   本来地上に生を受けた子どもたちは、生まれる前から神様や地球上の万物に待ち望まれた存在であるはずです。だから、魚も動物も「あの子がくるよ」とうわさし、太陽も月も海もすべての森羅万象も生まれてくるその子のために、準備し、生まれる瞬間を待ち望む…。

   私も思い返せば母親になった時、それはそれは感動したものでした。クリスマスを陣痛の苦しみで越し、日付の変わった夜中に長女の絵美の産声を聞いた時には、世の中にこれほど素晴らしい経験があろうかと思ったものです。

   しかし、だんだん子どもの自我が成長してくると、親の都合のいいように動いてはくれませんから、出産の感動はどこへやら…。
   目の前の子どもに対して母親だから責任があるという名目で、やみくもに怒ってしまったり…。

   でも、原点はここなんだなぁとこの本を読むたび、いつも思います。誰もがこの世に待ち望まれ、必要とされて生まれているのですね。
   子育てに行き詰まった母親自身も、待ち望まれて生まれてきたはず。そのぐらい皆が貴重な存在であることを認識すると、自分の子であろうが、遠く離れた国の子であろうが、同じように大事に思えるのかもしれません。

この本の作者デブラ・フレイジャーは、46億年前に生まれた地球と、1988年6月1日生まれの娘カーラと、あなたにささげる、と冒頭に書いています。 
   つくづく、こういう感覚は10ヶ月間お腹の中で大きくなる赤ちゃんの誕生を待ちわびた母親にしか描けないものかなと思い、共感します。
   カーラが大きくなり、「あなたはこんなに待ち望まれて生まれてきたのよ」と言われてこの本を見たら、どれほど喜ぶでしょうか。

   昨今は、自分は世の中に必要とされないと悩む思春期の子どもたちも少なくありません。親がきちんと子どもにわかる方法で、かけがえのないひとりの価値を示してやることが問われているのかなと思います。