<ゴスペルとは>
近年、日本でも映画「天使にラブソングを」の影響からか、ゴスペルが大きなブームになりつつあります。癒し系音楽として多くの人達を魅了する”ゴスペル”とはいったい何でしょうか?
ゴスペルというと、黒人が独自のリズムにのって思いのままに激しく感情的に演奏する音楽(ジャンル)として扱われていることが多いようです。
しかし“Gospel”とは、「God(神)・Spell(言葉)」という単語が重なり合って出来た造語で、「福音」といういうれっきとした意味を持っています。(「福音」とは「イエス・キリストの説いた神の国と救いの教え」)
ですから世の中でゴスペルと呼ばれる音楽の歌詞では一つ残らず神様の愛が歌われています。今も昔も、世界各国で戦争や悲しいニュースが絶え間なく起こる中、ゴスペルは多くの人達の心の支えとなって歌い継がれてきました。
ゴスペルとは、燃えてはたちまち消えてしまうような恋愛歌ではなく、永遠に消えることの無い無償の愛を歌ったものです。
<ブラックゴスペルの歴史>
18世紀〜19世紀後半、黒人達は奴隷としてアフリカからアメリカ大陸に強制的に連行され、過酷な労働を余儀なくされた。そのような劣悪な状況下の中に“自分達の苦しみを救ってくれる神の存在”を見つけ、そのひと筋の光(希望)に向かって救いを求める歌を歌い始めた。彼らは白人の宗教音楽に、自分達の色を付け加えスピリチュアルズ(黒人霊歌)を作り上げていった。
19世紀後半の奴隷解放後、もう一つ重要な宗教音楽スタイル、歓びの歌(ジュビリーソング)が黒人の間で生まれた。奴隷時代と違い“自由”が現実的なものになりつつあった黒人たちが、彼らの宗教歌であるスピリチュアルズ(黒人霊歌)や歓びの歌(ジュビリーソング)を歌うことによって黒人の地位を少しでも高めようとする動きがそのスタイルを創りだしたのだ。
19世紀以前、黒人キリスト教会の主流はバプテスト派やメソジスト派と呼ばれる宗派であったが、19世紀末にサンクファイド・チャーチやホーリネス教会などと呼ばれる小さな宗派が誕生した。このホーリネス教会で演奏されるスピリチュアルズの特徴はピアノ・コルネット等の楽器を早くから取り入れたり、当時流行していたリズムを用いたりという新しいもの。アカペラ演奏(無伴奏)であるバプテストやメソジスト等のスピリチュアルズとは明らかに一線を画していた。すなわちホーリネス教会では、その当時流行している音楽をスピリチュアルズに取り入れることに比較的抵抗がなく、この差異こそが後述する「ゴスペル」を普及させる下地を作ったのである。1930年代、トーマス・ドーシーというブルース界のトップミュージシャン
兼 作曲家が教会音楽の世界に転向したことから、それまでの宗教音楽と世俗音楽との交流が加速されることになる。彼の書くブルース・フィーリング溢れる楽曲は、それまでのスピリチュアルズとは明らかに異なっていたため、それまでのスピリチュアルズと区別するために「ゴスペル」と呼ばれるようになった。1960年代には牧師でもあり、「プロフェッサー・ゴスペルの皇太子」の称号をもつジェイムズ・クリーブランドが現在のゴスペルクワイアの基盤を作り上げた。