2.取り敢えず始動

<都に相談>
翌朝、住宅局不動産部指導課に電話して、相談する。都が管理会社Fを呼び出して指導すれば、敷金が戻ってくるのではないかと、安易に考えていた。すると、
・故意ではなく、普通に使っていて生じる汚れ等は借主が修繕する義務はない
・原状回復とは、借りる前の状態に戻すことではない
という説明を受けた。

私は聞いた。
「で、どうすればいいのでしょうか?」
「それは、以上のようなことを、不動産屋に言っていただくことですね。それでも納得できないようでしたら、簡易裁判所に訴えていただくとか」
「えっ、東京都のほうからは、指導していただけないんですか?」
「ええ」

そういえば、業者の名前を聞かれていない。指導課というからには、業者を指導するのかと思っていたが、考えは甘かった。敷金の未返還は、指導の対象に入らないようだった。

翌30日、管理会社に電話して、ファックスで見積書を送ってもらった。催促するまでは、見積書や、請求書は一切受け取っていなかった。管理会社は敷金の精算を電話一本で、片付けようとしていた。

<御見積書>
クロス張替 57メートル単価1500円=8万5500円
床ジュータン張替 13平方メートル単価4500円=5万8500円
ハウスクリーニング 1式=3万5000円
計17万9000円 税込み18万7950円

この日から、ネットで敷金返還問題を調べ始めた。そこには、敷金を取り戻した人の体験記のHPなどが載っていた。周囲にはいないが、全国には自分と同じ体験をしている人が、多くいることを知り、心強かった。恥ずかしながら「内容証明郵便」の存在を初めて知った。書き方は消費者センターに電話して相談するのがいいとあった。無料だし、親切に教えてくれるからだという。

<消費者センターに相談>
31日、都内の消費者センターに電話する。電話に出たのは、優しい感じのおばさん。
「最近、こういうトラブルが増えているのよねえ。ましてやあなたの場合、短い期間しか住んでいなくて、煙草も吸わないんでしょう? カビがはえたといっても、半地下だったら構造上問題があるのにねえ。退室日に立ち会わないというのもねえ。それに、見積もりも相場からいって高過ぎるわよ」

自然消耗による修繕費は敷金の対象にならないことも確認した。そして、まずは内容証明郵便を送り、それでも相手が応じなければ、少額訴訟に踏み切ることを勧められた。敷金返還に関する内容証明郵便の文例と建設省のガイドラインをファックスで送ってもらった。

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