8.被告はどっち?
訴状が大家のもとに届いて、管理会社から電話があった。訴えるのなら「大家さんではなくて、管理会社を訴えて戴けませんか」と。
私が「契約書を持参で、裁判所と相談して、大家を訴えることにしたんですが」と言うと、管理会社は「大家さんの代理で契約していますので、管理会社を訴えていただけないと」と言った。裁判所と相談しますと言って、電話を切った。被告は大家か、貸主代理の管理会社か。
前にも一度、裁判所に電話で確認をした。「一般的に言って、敷金は管理会社ではなくて、大家さんのものですから、被告は大家さんで構わないと思いますが」というのが裁判所の答えだった。
翌16日、再度、裁判所に電話。大家と管理会社のどちらを訴えるべきか聞いた。裁判所の担当者は言う。
「結論から言いますと、どちらでも訴えることが出来ると思います。敷金は大家のもですし、事情は管理会社のほうが御存知でしょうし……、ただ、管理会社を訴えて、敷金は大家のものなのに、管理会社に支払う判決がでるのかどうか、微妙なところですね」話によると、管理会社からも問い合わせの電話があったという。「で、どちらを訴えるつもりなんですか」
「大家です。どちらを訴えるにしろ、敷金がいくらか戻ってくるだけで、管理会社は損しないじゃないですか。管理会社を訴えても、確信犯ですから、また、同じことを繰り返すと思うんですね。だったら、大家さんを訴えて、話し合いで、修繕義務や管理会社のしていることを理解してもらいたいんです」
私が不安にかられ、執拗に聞いたせいだろう。法律的な相談にはのれないと釘をさされた。裁判所の職員で、法律の専門家ではないし、相談にのる義務もない。相談にのって、原告か被告の片方に、有利または不利に事が進んではまずい。詫びを言って、電話を切った。
管理会社の言うことは信用できなかったが、何度も言われると不安になってくる。一度ぐらいは、法律の専門家の意見を聞いておきたかったということもあり、某デパートで、弁護士に相談にのってもらった。30分で5000円。
(市区町村などで無料で相談を行っているところもある)
契約書などを取りだし、一通り経緯を説明する。弁護士は、大家が被告との考えを示した。
「もし裁判官が、管理会社が被告だと判断したら、その時は、管理会社を被告として、もう一度訴えればいいことですし。少額訴訟は、審議を一日で終わらせるというだけで、被告を代えてもう一度訴える分には構いませんよ。もちろん、同じ事件で、同じ被告を再度訴えることは出来ませんが」
特約についても触れる。
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(特約条項)
本物件を退室する際の、室内リフォーム及びクリーニング等は、甲(貸主)の指定する工事請負業者とする。なお、負担費用においては敷金より相殺して残金を返却するが、不足金が生じたときは乙(借り主)は直ちにこれを精算する。
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「いいですか」弁護士は念を押して言う。「被告は裁判で、特約について言ってくるでしょう。ただ、この特約というのは、リフォームとクリーニングを指定の業者にするというだけの物なんです。退室する際に、あなたの負担で必ず、リフォームしなけらばならないと書いてある訳ではないんです」
敷金の精算の間違い、立ち会いなしの退室についても、裁判官に訴えたほうがいいとアドバイスされた。
「一日で、裁判官がどっちの言うことを信じるか判断するのです。相手の悪い印象を訴えておいて、損はありません」証拠は多ければ多いほどいいとも言われた。
ネットでも、弁護士に相談したが、大家が被告との判断だった。