自由奔放な青年が重度の自閉症の兄と出会って心を開き
忘れていた愛情を取り戻して行く過程を描いた秀作。
兄を演じるダスティン・ホスマン、弟を演じるトム・クルーズ、ともに名演。

劇場公開時に並んで観た映画。
その十数年後に自分がそういう子を授かってしまうんだから、人生とは不思議
なものだ。当時は自閉症という障害の意味が全然分からず、まったくストーリ
ーに入り込めなかったように覚えている。十数年を置き、再び観てみると・・・。
えー、これは演技なのか?! そう思わせるほどのダスティン・ホフマンの怪演
ぶり。仕草、動作、視線の向け方、首の傾げ具合、どこからどう見ても自閉症
の人の特徴を掴んでいる。アカデミー主演男優賞を獲ったのも頷ける。
自閉症を扱う映画のほとんどが、実際とはかなり曲げて描かれている中、この
「レインマン」は、かなり正確なセリフでしっかりと描写されている。
物語前半、トム・クルーズ扮する弟役のチャーリーは兄の障害の意味が理解
できず病院長に質問をする。ダスティン扮するレイモンドを20年間見てきたとい
う設定のその院長はこう答える。
「知覚のインプットと処理過程に問題があるのです。意志の疎通と学習能力に
障害があります。感情の表現と物事の理解ができないし、決まった儀式的行
動に逃げ込む。睡眠、食事、排泄、歩き方、言葉、全てはパターン化され、パ
ターンが破られる事を嫌うのです」
この院長の口を借りて、正確に自閉症の解説をしている。
この映画の出現は、おそらく当時の関係者、もちろん親御さんも含め、多くの
人達の光明となったことだろう。
たった一つだけケチをつけるとしたら、パニック(飛行機に乗りたくないと叫
ぶ)、自傷(パニック時に自分の頭を叩き出す)、天才的な暗記力(ばら撒かれ
た爪楊枝の本数を一瞬で数えたり、電話帳の番号をAから順に暗記)、高い計
算能力(数桁の掛け算割り算を難なくこなす)、こだわり(雨の日は外に出な
い。曜日別に食べるものを決めていたり、観るテレビ番組も決まっている)など
など、高機能、中機能、低機能、何から何まで全ての要素が一緒くたになって
いる人物像。なにもそこまで、という気がしないでもない。
■2001/12/02
|