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子供の障害をどう受容するか -家族支援と援助者の役割-
/中田洋二郎 (2002年 大月書店)

 著者は大学教授で臨床心理士。この方の信念はこうだ。「子供の発達を支えるに
は、まず家族を支えることからはじめなければならない」
100ページちょっとの本だったが、何度も心を打たれる箇所があった。本書は自閉症
についての解説本ではなく、親の心の在り方をそっとアドバイスしてくれる。

 子が障害児だと判明した時の、親の心理的な反応を描いた図がある。
性質の異なる5つの心の状態が、段階的に変化していく状態を表わしている。
「ショック」→「否認」→「悲しみと怒り」→「適応」→「再起」
この「再起」とは何を表わしているのか?「ショック」の以前に戻るわけではない。
「障害の受容とはあきらめでも居直りでもなく、障害に対する価値観(感)の転換で
あり、恥の意識や劣等感を克服し積極的な生活態度に転ずることである」と書かれ
ている。

発達障害というのはいずれも原因が分からない。「見えない障害」とも言われてい
る。障害の原因が分からない時、親は自分自身の問題として考え始める。そうする
ことで子供の問題を障害ではないと思うことができるからだ。ジレンマ。子の障害を
隠す親も少なくないという。悲哀という感情を乗り越える回数は多いが、それは自分
だけではない。たくさんの親御さんのモデルケースを読みながら、自分は受容でき
ているのかとふと思った。

【2003/07/07】






自閉症の謎 こころの謎 -認知心理学からみたレインマンの世界-
/熊谷高幸 (1991年 ミネルヴァ書房)

 「レインマン」に含まれる諸事件を各章の導入に使いながら、その疑問符にいくつ
かの答えを出してみようという、一風変わったアプローチを試みている本書。
小説からの引用が主だが、もちろん映画を知っていた方がよりこの本を面白く感じる
ことができるだろう。ひとつひとつ書き残していくことにする。

 朝食を取るため訪れたドライブイン。ウェイトレスを見たレイモンドは、出し抜けに言
った。「サリー・デイブス、461-0192」娘の目が驚きでまん丸になる。「なんで、なん
でうちの電話番号知っているの?」(「レインマン」本文より)
 言葉がないまま年長となった自閉症者の中には音声言語は受け入れないのに文
字言語はスムーズに受け入れられるものがいる。このように考えると電話帳とは文
字の宝庫なのだ。何故なら彼らにとってそれは名前の辞書であり、住所の辞書であ
り、数字の辞書であるからだ。

 レイモンドは床に散らばった爪楊枝のを見下ろし瞬時に数え上げた。「246本」
チャーリーはニッと笑いながら「正解すれすれだったなぁ、この箱は250本入りだ」
店から出て行こうとする2人の背にウェイトレスは叫ぶ。「ねぇ!箱に4本残っていた
わよ!」
 著者は、このエピソードについては首を傾げている。「私はこのような能力を持った
自閉症者に会ったことはない」すなわち、フィクションのなせる技なのかもしれないと
いうこと。平方根の答えを一瞬で解答してしまう子がいたり、はたまた数十年前のカ
レンダーを記憶している子もいる。現代の科学をもってしても解明できない人間の能
力があるということを表現したかったのだろう。

 「墜落」レイモンドが呟いた。「あの・・・あの飛行機は8月に墜落している。1987年8
月16日・・・165人が・・・みんな・・・」
 いくつかの航空会社が機内で「レインマン」を上映した時に、カットしたとされるシ
ーンだ。レイモンドは飛行機事故ならず、ハイウェイ事故、様々な事故の記録を記憶
している。

 このような長道中からなる映画を「ロードムービー」と呼んでいる。アメリカ映画にロ
ードムービーが多いのは、人と人との心の結びつきの変化を追うのに使いやすい手
法だからだ。本書は映画ひとつひとつのエピソードを思い出しながら読み進めること
で、その出来事の意味を学ぶことになる。読み終えた時、今まで観てきた「レインマ
ン」とは違った見方ができ充足した気持ちになった。
 映画の主要な筋書きは、レイモンドという奇妙な兄の正体を探そうとするチャーリ
ーが結局大切な過去を持ち、自分のことばかりではなく身近な人のことも気遣う自
分自身を発見するというものだった。著者は最後にこう締めくくっている。
 「人間とはなにか、という大きな謎に挑戦するためには、これから先何度も何度も
レイモンドと巡り会い、多くのことを教えてもらわなければならないだろう」

【2003/07/07】





私はもう逃げない/島田律子(2002年)

 ドクターや親御さんが書かれた自閉症関連の本は、たくさんあるけれど、この本
は、実の姉である島田律子さんが弟、力郎君が「自閉症」だと診断されてからの30
年間の家族の気持ちを、克明に綴ったものです。

 著者りっちゃんは、自閉症である力郎君を「レインマン」のダスティン・ホフマンにそ
っくりだと書かれています。あの映画は、プリシンが自閉症児だと診断されてから1
度だけ見ました。自閉症というパーソナルを、かなりデフォルメして描かれているん
じゃないか、というのが、その時の率直な感想です。自閉症という特異な障害を観
客に伝えるために、かなりオーバーに描いているのだろうと。事実、最近読んだある
雑誌で現在公開中の「アイ・アム・サム」のショーン・ペンを見たドクターは「こういう
父親が実際に子育てをしているケースがある」と、映画のリアリティを称えているの
に対し「ただ『レインマン』はちょっと疑わしい」とのコメントを寄せていました。

 話が逸れたけれど・・・だけども、この本を読んだ限り力郎君はダスティン・ホフマ
ンそのものです。精密な記憶力、オウム返し、与えられた作業を黙々とこなす、こだ
わり、そして、島田家を一番悩ませた「パニック」。
 現在32歳の力郎君は、千葉県にある「しもふさ学園」という施設で暮らしていま
す。この施設を作ったのも、自閉症のお子さんをお持ちの親御さんたち。学校を卒業
後、することが無く自宅待機では本人も家族も駄目になると10数年前に親御さん達
が立ち上がり建てられた、自閉症専門の学園です。力郎君をその施設に預ける下
りを、こんな風に父親の言葉で書かれていました。気持ちが切々と伝わり、いろいろ
な想いが胸で渦巻きました。

 「俺たちは頑張って学園を作ってきたきたけれど、本当にこれで良かったのか?な
んだかんだ言って、自分の子供を山の中に捨てたんじゃないか。
明日からあれだけワーワー騒いで、毎日のようにパニックを起こしていた力郎はい
ないんだぞ。そんな生活に耐えられるのか。このまま『やっぱやめるわ。力は家に
連れて帰るわ』と言って帰ろうか」

 力郎君をしもふさ学園に預けた帰り道、両親の涙は止まらなかったそうです。和久
井映見さん主演で、秋にNHKでのドラマ化が決まりました。

島田律子さんのHPはこちら http://www.shimadaritsuko.com/




【佐々木先生の解説】 

その島田りっちゃんの本の解説を書かれていたのが、自閉症の専門医として日本
では第一人者である、佐々木正美先生でした。30年前に、力郎君を診察したのが
佐々木先生本人だったというからびっくりです。たった数ページの解説だけれど、現
在までの自閉症の歴史を凝縮して書かれています。

 最初の自閉症の報告がなされたのが1943年。
60年代〜70年代初めにかけては、精神分析家の多くが自閉症の原因を「母親の謝
った育児のありかた」という原因論を説いていたそうです。70年代に入ってまもなく、
英国の優れた研究者が「自閉症の子供は、そういう母親に心因反応的に心を閉ざ
してしまった情緒障害ではなく、言語・認知の障害である」という考え方を示しその
後、急速に新たな展開を迎えることになったと書かれています。

 今でこそ、多くの園が障害のもった幼児の統合保育に取り組んでいるけれど、当
時は佐々木先生をはじめ、多くの方が保育・託児してくれる施設を求め地域を歩か
れていたことを知りました。
 TEACCHプログラムについても、少し触れられています。例えば、車椅子生活の
人のために段差のないスロープを作る、視覚障害の人のために床に点字ブロックを
敷く、それと同じように自閉症の人たちには、私たちの環境や文化との間にあるギ
ャップを丁寧に埋め合わせていく作業をする、ということです。

 「自閉症の人たちは、私たちより能力が劣っているわけではなく『違っている』だけ
なので  す。私たちには、到底及ぶことができない能力があるのです」(本文より)

【2002/07/23、24】




 
本当のTEACCH/佐々木正美
横浜やまびこの里 2000年

 この本も、やはり市販されておらず横浜やまびこの里さんが発行の、佐々木先生
の講演録である。

 具体的にTEACCHを知っている人って、どれくらいいるんだろう?漠然とは知って
いても、はっきり答えられる人って少ないんじゃないのかな。この本の中でも「これ
がTEACCHです」と、はっきり書かれてはいない。TEACCHではこうします、という言
い方で何通りもの説明がされている。

 TEACCHプログラムの基本的なアイデアは、意味を共有しあう、意見を意志を交換
しあう、感情の交流を大切にする、そういうコミニュケーションを基盤として場面やス
ケジュールを構造化のアイデアで分かりやすく伝えるということ。総称してTEACCH
だと解釈していいのかな。
 ノースカロライナのTEACCHとのコミュニケーションは非常に密接していて
素晴らしいと、佐々木先生は話されている。日本では、あまり教育がうまく出来てい
ないのだそうだ。ノースカロライナではほとんどの高機能の方がちゃんと自立をして
いるのに対して、日本はまだまだ教育が出来ていない。大きな課題なんだろうな。
「TEACCH」、まだまだ勉強不足です。

【2001/12/11】




21世紀の自閉症/佐々木正美&横浜やまびこの里(2001年)

 図書館で「佐々木正美」と検索、新しいものを片っ端から予約した。そのうちの1冊
がこの本だったのだが、本というよりこれは小冊子だな。市販では売られておらず、
社会福祉法人「横浜やまびこの里」が発行と表記されている。1部と2部に分かれ
ているこの本は、2000年9月24日に行われた横浜やまびこの里の設立10周年を記
念して開催された、佐々木正美先生の講演会とシンポジウムの議会録である。

 まずは佐々木先生の講演内容から「こだわり」「パターン化」について。
自閉症の人というのは「自由時間が一番不安な時間」なのだそうだ。何を、いつま
で、どうしていたらいいか、わけのわからない時間であったりする。だから、そんな見
通しのたたない状況に置かれると異常行動、不適応行動が起こる場合がある。そ
んな行動を防ぐために、いつも安心していられる行動を繰り返そうとするものが「こだ
わり」や「パターン化」になるそうだ。

 「TEACCHプログラム」についても少し触れている。漠然としすぎていて、今までよ
く分からなかったTHACCH。TEACCHとは、自閉症の人を訓練するプログラムでは
なく、「こういう方法であなたの要求を伝えれば、我々は理解できますよ」といった具
合にこちら側から相手に近づき、ギャップを埋めていく方法である。詳しいプログラム
内容は、今読んでいる同先生の「本当のTEACCH」に書かれているので、その時に
UPしようと思う。

 第2部は、横浜やまびこの里の職員さん方々の講演。
この10年の横浜やまびこの里についてや、グループホームのこと、自閉症の人が
実際にどんな職に就いているのか等々、写真入りで説明されている。駅前のゴミを
まとめている青年や、帽子、マスク、エプロン姿で野菜のパッキングの仕事をしてい
る青年の写真などを見ると、遠い将来だと思っていたプリシンの未来が、にわかに
現実味を帯びてくる。
 仕事の流れを書いた絵カードを、作業場に置いたり職場には「今日1日の予定」と
かかれた彼専用のボードを用意したりと、周りのサポート(歩み寄り)があってこそ、
仕事ができる。
分かりやすく教える方法を伝えることを、佐々木先生もスタッフも「通訳」と呼んでい
る。
 彼らに仕事を覚えさせることは並大抵なことではないと思うが、それを支えるスタ
ッフや、雇用してくれる方々、いろんな人に「通訳」してもらって彼らは職に就くことが
できる。

【2001/11/29】




自閉症児の保育・子育て入門/中根 晃 1996年

 「自閉症とは何か?」からはじまり「カナー、アスペルガーの説明」と続く、多くの自
閉症の本と違ってこの中根晃先生(有名な先生だそうですが読むのは初めて)が書
かれた本は「保育・子育て」に集中して書かれていて、非常〜〜に参考になった。
曖昧でなく、時には「こうしなさい!」と断定されて、読んでいて「そうそう、そうなん
だよ!」と何度も頷いた。いくつか抜粋すると、

■(高機能)自閉症の子供は、どうしても教わった通りにしない。
これは「出来ない(意欲がない)のにしない」わけではなく、実は「出来ない」ので
す。
■(中、低機能)自閉症の子供の困った行動に、罰を与えても成功はしない。
→罰の意味が理解できない。いたずらをしたからオヤツをあげないという罰を与えて

オヤツをもらえないということが分かっても「いたずらをしたから」という関係が分から
ないのです。
■洗面所などで水遊びをする子供については、年齢が小さくても禁止するように。
→中高生になっても、何時間も続けて床を水浸しにする自閉症の子供が大勢いる。
この年齢になってしまうと、もう止める事が出来ないのです。
■いけないことをしたら、その場できちんと叱る事。ただし、文句やお説教はしては
いけない。
→「あとでお父さんに叱ってもらいますからね」と言って、後でお父さんに叱られても
なんで叱られているのか、さっぱり分かりません。よく「ごめんなさいは?」と何度も
子供に言わせるお母さんがいますが、これも無意味。本人は自分が悪いと思って謝
るのではなく、
お母さんが怖いから謝るのです。そしてまた同じことを繰り返します。1回だけ強く叱
るのが正解。
■自閉症は発達に障害があるのではなく、中枢神経(脳)機能の障害を持ちながら
も発達していく子供である。

などなど。
その他、高機能、中期脳、低機能と分けて書かれているところも読みやすかった。

 低機能自閉症児の青年期の項目から。
「これといった趣味もないので、家にいる時間を持て余してしまいます。
風呂場や洗面所を水浸しにしたり、床の上をはねたり、奇声を上げたりして家の人
を困らせます」 おいおい、決めつけられてしまったよ!これがプリシンの青年期な
のか?じゃあ、今とまったく変わらないってこと?はぁ・・。
そうならないためにも、社会的自立に向けての早期教育が必要とも書かれている。

【2001/11/19】




自閉症/玉井収介 1983年

そのタイトル通り「自閉症とはなにか」書かれている。自閉症という言葉を、聞いた
事がないという人はおそらく少ないだろう。だけど「自ら心を閉ざす人」とか「情緒障
害児」、「不登校」などと混同して理解している人が多いのが実状。

 カナーとアスペルがーの説明から始まり、項目ごとに実際の自閉症児の例を交え
て書かれている。何故自閉症児は会話が困難か?耳が聞こえないわけでも、発声
ができないわけでもない、覚える機会はいくらでもある。自閉症児の最大の特徴
は、他人と感情のつながりが持てないこと。つまり表情や目つきのような、情感で
伝える部分が苦手なのだ。だからそれが伝わらないとなると、会話は断片的な言葉
になり、イコール困難になってしまう。

 口から出ることはないが、内面には言葉の体系をもっているのではないか、という
考えがある。面白いエピソードが書かれていた。13年間まったく喋らなかった子が、
沸かしたばかりの風呂に飛び込みやけどを負った。救急車で運ばれた病院の医者
に、一言「痛いよ、早くして」と言ったそうだ。そしてまた、沈黙の世界に戻った。内
面に言語をもってなければ話せないはずだ。
 「オウム返し」や「クレーン現象」「多動」「パニック」「自傷行為」など、同じ様に自
閉症児の例を取り上げて書かれている。それにしても、面白い子がいるもんだ。おし
っこでパンツを濡らした子供に母親が「濡れたら脱ぐのよ」と教えたら、プールに入る
たび彼は脱いでしまったとか、「男の人が触りそうになったら『やめて』と言いなさ
い」と娘に教えたら、医者の診察でも『やめて』が始まってしまったとか、こうした矛
盾や例外を統合できない子もいる。

 ただ、なにぶんこの本は古い。20年近く前に書かれているから、ちょっと内容に古
さを感じてしまう部分があった。日進月歩、自閉症について少しずつ解明されている
から、読む本はできるだけ新しいものがいいのだろう。

【2001/11/08】




障害者の心理/一番ヶ瀬康子監修  杉村省吾編著(1998年)

 サブタイトルに「介護福祉ハンドブック」とあるように、第9章に分けて障害者の心
理が書かれている。障害の種類とは、一体どれくらいあるのだろう?情緒的障害、
知的障害、比較発達障害、学習障害、自閉症障害、身体障害、心身症的障害、人
格・行動障害、精神障害。この9つの障害だけでも驚いた。こんなにあるんだ。 全
て読んでもしょうがないので、プリシンに当てはまる知的障害と自閉症障害を選ん
で読んだ。

 まずは「知的障害」。
一昔前まで「知恵遅れ」とか「精神薄弱」というような言われ方をしてきたが今は「知
的障害」もしくは「精神遅滞」という語を用いることが多くなってきた。知能指数(IQ)
でいうと軽度50〜75中度40〜49、重度20〜39となっている。プリシンは大体30前
後だから、やはり重度の部類に属する。よく見られる問題行動を読むと、自閉症と
重なる部分が多いことに気がつく。落ち着きがない【多動】や、同じことを繰り返す
【常同症】自分を傷つける【自傷行為】。病因である染色体異常を治療する事は不
可能だけど、早い時期に豊かな刺激を与える事である程度の発達が促進されると
いう。

 「自閉症障害」
1943年、アメリカの精神医学者カナーが特異な行動を示す子供達の症例を「早期
幼児自閉症」と名付ける。1年遅れてオーストラリアの小児医学者アスペルがー
が、カナーと似た症例を報告している。この本は自閉症の特徴を大きく3つに分けて
書かれている。
@対人関係の障害、これは対人関係に無関心で、情緒的な交流が欠けているとい
うもの。
A言語発達の障害、ほぼ全員に当てはまる言語発達の遅れ。言葉の遅れに気付
き自閉症が見つかることが多い、というのも頷ける。
B同一性保持の要求、毎日同じ道を歩くとか、決まった時間に決まった事をする、
また自動車、時刻表、カレンダーなど物事への固執。
治療については、ノースカロライナ大学のショプラーらのグループが開発した
TEACCHプログラムを推奨している。その基本理念はこうだ。「自閉症児・者が施設
で生活するのでなく、それぞれの地域社会で自立した生活を目指すこと」社会適応
の項目で、通所作業所や、グループホームの運営等が書かれているが、おそらく、
ある程度の知能を持つ子供だけなのだろうな。プリシンは無理かなぁ。

【2001/11/04】




光とともにー自閉症児を抱えてー 
2001年

 秋田書店から出版されているコミックです。
 第1巻は光くんの誕生から、保育園の卒園までが書かれている。モデルケースと
して、ある1人のお子さんを取り上げているのかと思ったら、何人かの自閉症児の
取材を重ね福祉センターの方にも話を伺いながら作られた、全くのフィクションだとい
うこと。一口に自閉症児といっても、様々なタイプの子どもがいるので当然プリシン
に当てはまることもあれば、まったく当てはまらないこともある。逆に「あぁ、そんな
子もいるんだな」と、つくづく多種多様の特異性に気付かされた。

 このコミックは、2つの側面から書かれている。
1つは「自閉症とは何なのか」ということを、光くんの生活を通して書かれ、もう1つ
の側面は、その親の立場にたった心理描写。無理解な義母、御近所の視線、福祉
センターでの出来事、等々、光ママが体験する出来事は、そっくりそのまま、我々
親の気持ちと重なり共感を覚える。「障害を持ちながら生きる」ということは、本当に
大変だと思う。

 奥平綾子さんという方が、こんなあとがきを添えていた。
「自閉症という障害は克服させるのではなく、その特性を理解して、上手に付き合っ
ていくもの」そうなんだよなぁと、頷くことしかり。そして、さらにこう続けている。「そ
れがその子を成長させ、私たちの暮らしも楽にしてくれる」と。
 障害児を持つ親御さんの間では、かなり読まれているコミックだと思うが、できる
だけ多く一般の親御さんにも、この本を手にとってほしいと願う。

【2001/10/02 】 





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