アイ・アム・サム ’02米
監督:ジェシー・ネルソン 出演: ショーン・ペン / ミシェル・ファイファー 



 

7歳の知的年齢の父親サムは、スターバックスで
働きながらたった一人で娘のルーシーを育てて
いる。楽しく幸せな日々を送っていたが、ルーシ
ーが7歳になったとき、サムには子育ては無理だ
と判断されて、ソーシャル・ワーカーにルーシーを
奪われてしまう。かけがえのない愛娘ルーシーを
失ったサムは、裁判に出ることを決意、仲間の力
を借りて見つけ出した腕利き弁護士リタ(ミシェ
ル・ファイファー)の事務所のドアを叩く。

親子の絆をひたむきに、そして爽やかな感動とと
もに描いた感動作。ビートルズのナンバーに乗せ
て贈るヒューマン・ドラマ。

療育の観点から見ようと心構えていたが、そんな思いはすっかり吹き飛び一
気に引き込まれてしまった。
まず最初に気になったのが、何故ビートズに絡んだ話が多いのかということ。
名前からしてそう。娘ルーシーや弁護士リタ・ハリソンの名前。
名前だけではない。横断歩道を並んで横に歩くシーンは「アビィ・ロード」、
おまけに前編に流れる挿入歌は全てビートルズ。しかもカバー!?否定してい
るのかと思われたらその逆、これが意外なほどピタリとはまっていた。

監督であるジェシー・ネルソンは、この映画を綿密なリサーチのもと作り上げた
と語っている。施設の障害者に「好きな曲は?」とアンケートを募り、複数の人
が「ビートルズ」と答える姿がDVDメイキングの中残されている。
劇中にも実際の障害者の方が2人、サムの友人という重要な役柄を演じてい
る。いや演じているのではない。そのままの姿なのだ。彼らの動作やセリフが
アドリブだとあとで知り、その受け答えをするショーン・ペンがいかに順応性に
長けた役者かが分かる。サムの役柄そのままにアドリブで返答しているの
だ。彼なしではこの映画の成功はなかっただろう。

ショーン・ペンと娘ルーシー。
この2人が主人公には違いないのだけど、あともう1人別の主役がいる。
女性やり手弁護士、リタを演じたミシェル・ファイファーだ。
彼女は辣腕弁護士としての名声はあるが、陰では金にがめつく冷たい女と囁
かれている。本人もそのことを知っている。知っているからこそ自らのイメージ
アップを図るため、サムの弁護を無料奉仕で受けたという経緯が実はある。

その氷の心を持つリタが泣き崩れるシーンは圧巻。純粋無垢、少年のような
心を持つサムの前で、全ての殻を破って泣き崩れるのだ。

「夫には浮気され、息子にも汚い言葉で罵ってしまう。道行く大人が立派に見
える。うまくやらなきゃと毎日気を張って生きている。わたしはなんて駄目な人
間なの!」

リタは自分を保つことでギリギリの生活をしていたのだ。
完璧な人間などいないのに、彼女は完璧を演じていた。
内面に味わう苦い挫折感を、態度にはおくびにも出さず。

本題に入る。
「7歳児の知能しかない父親に、娘が育てられるのか?」
至極当然な疑問。果たしてサムは親権を獲得できるのだろうか。
結末はご自身の目で確かめて欲しい。
“愛こそすべて”、素晴らしい結末が待っている。
里親を演じたローラ・ダーンの慈悲深い表情も忘れられない。


I am Sam=@僕はサムだ=@僕は僕だ


そう。
君は君なんだよ、サム。
君の歩幅でゆっくり歩いていけばいい。


■2003/05/09  



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