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■2002/01/21 めじ君の涙 |
「何回言ったら分かるんだよ!おまえ人間かよ!」と、
めじ君の怒鳴り声が響いたのは夕べのこと。
「こち亀」を見ていためじ君は、立ち上がって
プリシンの胸ぐらを掴み、左右に揺すっている。
その怒り方は、真剣そのもの。
床を見ると、蓋が取れて電池が出てしまったラジコンカーが。
そう、プリシンに投げられたのです。
「人間かよ」という言葉に、瞬間かっと頭に血が昇ってしまい
「当たり前だろ!何言ってるんだ!」と、一度はめじ君を怒鳴りつけたけど、
みんな何かに耐えているんだと、すぐに大声を張り上げた自分を反省。
あーちゃんも呼んできて、静かにゆっくりと2人に話しました。
「プリシンは頭の病気なんだよ。神様はきっと、めじ君とあーちゃんに
こう言っているよ。こんな弟(兄)だけど宜しく頼むよってね」
咄嗟に口から出た作り話に、話しながら涙が出てきました。
めじ君も歯を食いしばりながら、涙をポロポロ流してます。
あーちゃんだけが「うん、分かった」と、けろっとしてます。
7歳と3歳の子供に、なんで我慢をさせなきゃいけないのかなと考えたら
また泣けてきました。
2人には人の痛みが分かる、いい子に育って欲しいと願うだけです。
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■2002/01/15 夜想 |
深夜1時、家族が寝静まった寝室のドアをそっと開け、自分の寝床に潜りこむ。
左隣には、うつ伏せでこちらに顔を向けて寝ているプリシン。
その目が、うっすらと開かれた。
俺の姿を確認したプリシンは、口元を微かにほころばせ、
もぞもぞと布団の中から手を出してきた。
「ET」のように、ゆっくりと宙を漂う人差し指が、俺の顔に近づいてくる。
まぶたとまつ毛にそっと触れた途端、
満足したように、にっこりと笑みを称えた。
「プリシン!」
「ダメー!」
「投げない!」
物投げに、怒鳴ってばかりいた日中を思い起こす。
分からないんだよな、プリシンは。
何故自分が怒られているのかが、理解できないんだよな・・。
うつぶせのまま、反対側に向いたプリシンの後頭部を見ている。
やがて、規則正しい寝息が静かに聞こえてきた。
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■2002/01/09 物を投げる行為 |
プリシンは、今までで1番大変な時期にきている。
今までも「1番大変」と言っていたような気もするが、今度こそは本当に大変だ。
それは物投げ。
1、2年前から、物を上から下に落とすことに異常なこだわりをみせ
今でも3階の外階段から物を落としたりしているのだけど
先月くらいから、今度は逆に下から上に投げることに
プリシンは、無常の喜びを感じている(らしい?)。
ピョンピョン飛び跳ねながら、「うぉう!」と一声上げて
おもちゃ、ブロック、本や洋服、何でも天井に向けて投げる。
特に、電気の傘に向けて投げるので、蛍光灯を防止するために
かみさんはカーテンのレースを張ってガードした。
それでも投げる。
投げた瞬間にきつく叱り、投げた物を取り上げるのだけど
ものの数十秒後には、また別の物を投げている。
ガンガンと天井に物がぶつかる音がするたびに、
俺とかみさんの我慢の風船はどんどん膨らんで、ついにはどちらかが破裂する。
家の中では2人ともかなり険しい顔をして、
何度も「プリシン!」と怒声が家中響き渡っている。
最近かみさんを見ていると、段々破裂するまでの時間が
短くなっているような気がするが・・多分俺もそうなのだろう。
今までの経験から、何か別のことに興味を持つまで
この物投げを繰り返すと予測はつくけど、
それまで、我慢の限界で踏みとどまっていられるのかどうか。
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■2002/01/03 電球を割るプリシン |
今、物を天井に向かって投げることにはまっています。
「うぉぅ!」と一声発しながら、何でも投げるんです。
我が家では投げる瞬間「こら!」と注意するのですが、
階下に住む両親のところは、なにも注意をしないので
その結果電球を3個ほど割り、とうとう母は取付けるのをあきらめて
現在は、外したままの状態です。
何度注意しても、ダメですね。本人は、まったく分かってないようです。
家の中で、プリシンは暇を持て余しています。
やることなすことやってはいけないことだらけで、怒られてばかりです。
言葉が話せたならば、きっと「早く保育園に行きたい」と言うのかもしれません。
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■2001/12/31 年の瀬の想い |
我勝手な吐き出し日記だと書き始めたのが、遡ること7ヶ月前。
自分のためだけに書いていると思っていても、
こうして、毎日たくさんの人に読まれていることは素直に嬉しいです。
「日記を読んだよ」と掲示板に書き込んでくれる方々、
どこからかリンクして、サイトまで訪れてくれた方々、
そんなネットで知り合えた方の多さに、今さらながら驚いています。
出会えて良かったなと思うと同時に、いつまで繋がっていられるのかなと
冷静に考えている自分がいるのも事実です。
プリシンのサイトに訪れた方で、
「大変なのは私たちだけじゃない、これから歩いていく勇気になった」と
おっしゃった方がいました。
その言葉は7ヶ月前、さまざまな障害児を持つ親御さんサイトを
渡り歩いていた時の、俺と同じ気持ちでした。
そんな役目をこのサイトが果たしているとは・・・感無量です。
いつ切れてもおかしくないネットの細い糸、
そうした同じ境遇の方々とは、いつまでも繋がっていけると信じています。
本当に、本当に、今年1年どうもありがとう!
2001年という年は、忘れられない特別な年になりました。
皆々様、良い年をお迎えくださいませ。
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■2001/12/20 ツリーにため息 |
クリスマスツリーは、倒れている。
みんなで一緒に付けた、金や銀のボールは消えている。
ツリーの頭に、ちょこんと乗っかっていた大きな銀の星は床に転がり、
引き千切られたモールも、部屋のあちこちに散乱している。
電飾の線はコンセントから外され、倒れたツリーに巻かれたまま。
サンタの人形やおもちゃの果物を、ツリーからもぎ取って放り投げてしまうプリシン。
最初こそ、プリシンの服を破れそうなくらいにつかんで
怒りを露に「やめろよー」と、半べそになりながら怒鳴っていためじ君も
今ではあきらめてしまったのか、何も言わなくなった。
同様にあーちゃんも、プリシンが何をやろうと今は完全に無視して
絵本を見たり、テレビを見たりと自分の世界に入ってしまう。
「うちは、クリスマスツリーをきれいに飾っても意味がないね」
かみさんが、寂しげに呟いた。
叱っても叩いても、モールを引き千切り、口にくわえ続けるプリシン。
持って行き場のない苛立ち、腹立たしさ、
やるせないし、情けないし、やっぱり悲しい。
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■2001/12/21 反省
昨日の日記に「なんて、後ろ向きなおっさんなんだ!」と反省。
いかん、これじゃいかーんと、また書いています。
プリシンの手の届かないところに、もう一度ツリーを飾るとするかな。
テレビラックの上に乗っていた物をどかし、
そこに、クリスマスツリーを移動させることを試みた。
すぐにめじ君は、俺が何をやろうとしているのか気がつき、
にこにこと笑いながら、白いビニール袋を持ってくる。
中を見ると、プリシンが投げてしまったリンゴやベルの飾り物に
雪もどきの綿や千切れたモール、ツリーに飾るものがまとめてあった。
このラックは2段になっていて、かなりでかい。
ここならプリシンの手が届く事はないだろうと、
イスを出してきて、せっせとデコレーションしていった。
電飾をきれいに飾り付け、コンセントを探すとめじ君は張り切って
「ここにあるよ!」と、自分の机の上の教科書類をどかして、コンセントに差し込む。
楽しげに手伝ってくれるめじ君と対象的だったのが、あーちゃんだった。
拗ねたような無関心な表情をしている。
「ほら、あーちゃん、これでサンタさんがクリスマスに来てくれるね」
そう俺が問うと、予想もしない答えをポツリ呟いた。
「・・・さんたさんなんかこないよ」
ゆっくりとクリスマスの話をしてあげると、気持ちは徐々に盛り上げがり
最後はにこにこと笑顔がこぼれたが「さんたさんなんか・・」と
言われた時は言葉を失った。返す言葉がなかった。
壊されたクリスマスツリーが子供達に与えた影響は、思いのほか大きい。
もっと早く、めじ君とあーちゃんの気持ちを汲み取ってあげることが出来れば。
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■2001/12/01 誰もいないところへ |
保育園が休みの土曜日は、時間を持て余してしまうプリシン。
俺は休みではないので、いつもかみさんが面倒を見ている。
午後納品の予定があったので、一緒に連れて行くことにした。
車で20分程のその納品先。
品物だけを置いてすぐ帰るつもりだったが、話が発展してしまい
「子供が車に乗っているので」と、切り出すことができずに
車中に置き去りのプリシンのことを気にしながら、ヒヤヒヤ打ち合わせをしていた。
泣いていないだろうか?脱走していないだろうか?と
時間にしたら15分くらいだったと思うのが、永遠のようにそりゃあ長く感じたよ。
急いで車に戻ると、MDやら書類やらばら撒かれ
プリシンは泣いてはいなかったが、ダッシュボードの上によじ登り、
フロントガラスにへばりつき、悲しげな捨て犬のような目でこっちを見てる。
エンジンをかけるとハザードが点いて、ワイパーは高速で動き出す。
(ごめんなー、放ったらかしで)という懺悔の気持ちで
その会社の近くに車を止めて、少し散歩をすることにした。
見渡す限り畑の、のどかな場所なのに、数台の車が止まっている。
どの車にも人が乗っており、雑誌を読むサラリーマン
シートを倒して口開けて寝ている作業服のおっさん、どうやらここは
格好のさぼりスポットらしかった。
プリシンはあっという間に走り出し、
止める間もなく「うぉ〜い!!」と、その車を叩き出す。
笑いを堪えてプリシンを連れ戻したが、寝てた人なんか驚いて飛び起きただろう。
恐縮して、目を合わせることができなかった。
奇声を上げながら、跳ねるように走り回り
立ち止まっては枯葉を掴んで、宙に投げる。
そんな楽しげなプリシンを見ていたら、いつもの思いが頭をよぎる。
「誰もいない、どこか遠くで暮らしたい」
早期療育が一番大切なのは、重々分かっている。
親は、いつか老いる。
いつまでも子供の面倒を見ることができない。
その将来のために、身辺のことぐらいは自分でできるようにと
かみさんも含めて、多くのママさん達は一生懸命
訓練会や、民間の指導教室に通い頑張っている。
まだ小さい今だからこそ、やらなければならない。
だけど思ってしまう。
プリシンの好きなことを、好きなようにやらせてあげたい。
海外じゃなくてもいい、どこでもいい。
山でも、海でも、どこでもいい。
言葉が話せなくても、字が書けなくても、
何にもできなくてもいいじゃねーか。
誰にも迷惑がかからなければいいじゃねーか。
障害児を授かった親の考えとしては、多分間違っている。
何もしなければ、あとで苦労するのはプリシンなのかもしれない。
「逃げ」か。現状から逃げている。でも考えてしまう。
誰もいないところで、人目を気にせず自由に暮らしたい。
どこか遠くの空の下で、
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■2001/11/11 七五三参り |
近所の神社へ、プリシンとあーちゃんの七五三参りに行く。
本道に通されて、ドンドンと太鼓を鳴らされ、盛大に祝ってもらった。
昼から、義父母がお祝いに駆けつけ、
お寿司をとって、ちょっとしたパーティーになる。
その時に、昔撮ったビデオをテレビで流していた。
やっぱり盛り上がるね〜、こういう記録は。
だけど出てくるシーン、どれもケーキばかりが映っている。
3人分の誕生日、子供の日、ひな祭り等々、
結局、そんな時しかビデオを回していなかった事に気がついて、みんな爆笑。
「あ、またろうそくの火を吹き消している!」ってね。
あと、笑ったのが洋服。
「あの洋服、懐かしい〜」とかね。
ビデオに写っているめじ君の服が、見覚えあるなーと思っていたら
まったく同じ服を着ているプリシンが横にいる。やっぱりおかしい。
3人いるから、お下がりになるのも当然だな。
1歳半くらいのプリシンを見ていたら、みんなの会話止まる。
片言の言葉を話して、めじ君ともおもちゃの取り合いをしていたりと
まるで普通だったのだ。
義母はポツリと呟く。「あんなことできたのにねぇ・・」
トイレを行けるようになったり、着替えをできるようになったりと
生活行動の成長はしているけど、言葉も含めて、情緒面(パニック等)は、
確実に悪い方に転がり落ちている。
プリシンは、自閉症児特有の折れ線型タイプそのものなのだ。
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■2001/11/06 Tomorrow never knows |
♪果てしない闇の向こうに 手を伸ばそう
癒えることない痛みなら いっそ引き連れて
曲を聴いただけで、ある時期の自分の気持ちや、当時の自分がいた場所に
フラッシュバックしてしまうことがある。
5年前の今日、産婦人科医で、かみさんの出産をじっと待っていた。
ビデオカメラを忘れたことに気がつき、急いで家へ取りに戻り、
再び病院に向かう車のラジオから流れてきたのが
このミスチルの「Tomorrow never knows」だった。
今でも時々、不意にラジオから流れると、あの時の自分に気持ちがシンクロする。
全身紫色で元気な産声を上げた、生まれたばかりのプリシンの姿は
多分、一生忘れる事はないだろう。
誕生日の今日、おばあちゃん、おじさん(弟)、俺とかみさん、
めじ君、あーちゃん、みんなに誕生日の歌を歌ってもらって
プリシンは、5つのろうそくを勢いよく吹き消した。
吹き消す、という些細な動作も1年前はできなかったこと。
火が消えた薄暗い台所で「おめでとう!」と、みんなで拍手をしたら
周りをキョロキョロと見回したプリシンは、つられて自分も拍手をし始めた。
どっとみんなが笑いだす、そんな賑やかな誕生パーティでした。
いろんな人から、掲示板にお祝いの書き込みがありました。
様々な年代、様々な障害児、様々な気持ちを抱える、ママさんパパさんたち。
これからのプリシンの未来は、夫婦2人だけで模索する
「果てしない闇の向こう」では、なくなりました。
皆さん本当にありがとう。プリシンは幸せものです。
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■2001/11/04 プリシンの穴 |
プリシンの興味は、次から次から移り変わる。
最近は、鼻とか耳の穴に何かを詰める行為をよくしている。
1番多いのが食事中、食べ物を鼻に入れようとする。
あと耳にも、箸やスプーンの柄を入れようとしたりと・・・困ったもんです。
そしてついに、最悪の事態が起きた。
「フン、フン、クシュ」と、犬のくしゃみのような変な声がするので見てみると
「うわーん!」と、プリシンは悲鳴をあげながら、しきりに鼻をほじっている。
直感で「やったな」と察し、鼻の上から触ってみると、たしかに固い何かが詰まっている。
仰向けにさせて、覗き込んでみると、それは黄色いビーズだった。
普通なら「フン、フン」と鼻息を荒くすれば、
WAHAHAの梅ちゃんが豆を飛ばすように、簡単にビーズは吹っ飛ぶんだろうけど
この特大ビーズの場合は、ドーナツ状に穴が開いているから
鼻息が、スカーと抜けてしまって全然落ちない。
プリシンは必死に指を入れて、泣きながら取ろうとしてるけどそれも逆効果で
さらにビーズを、奥に押し込んでしまっている。
どうやって取ろうか考え、ピンセットを思いついた。
最終的には、ピンセットを探している間に、いつの間にか取れて無くなっていたんだけど、
これに懲りてやらないだろう、なんて一般論はプリシンには通用しない。
その晩、夕食の味噌汁の具のわかめを、懲りずに鼻に入れているプリシン。
途中まで入れたところで大声で注意すると、プリシンはビクッと慌てて手を離した。
鼻からダラ〜ンと、情けなくぶら下がったわかめを見たら怒るよりも呆れて
おかしくておかしくて、めじ君とあーちゃんと一緒になって笑ってしまった
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■2001/10/06 1年って・・ |
今日は、プリシンと末娘のあーちゃんが通う、保育園の運動会。
去年は「走れるはずはないだろう」と思っていたプリシンだったが
思いもがけぬ奮闘ぶりを見せつけ、ビデオを撮りながら感動に号泣してしまった。
今年は、大した根拠ではないが、毎朝の軽いランニングで
きっと立派に走れるだろうと思っていたので、あまり気構えずに見ていた。
先生の帆走もあり、しっかりと走って見事にゴール。
うん、上出来上出来。
プリシンよりも、今回の運動会で新たな発見をしたのは、あーちゃんの方だった。
予行練習ではいつも1番で走る、と本人から聞いていて
本当かなぁと、半信半疑でレースを見守っていた。
よーいどん!
あっ、あれ、あーちゃん、やっぱり早いぞ。
後続が、ばたばたと転んだこともあってか、トップでゴールインだ、と思いきや
ゴールテープ1m前で急に立ち止まり、後ろをぼんやり振り返っている。
先生が慌てて飛び出し「ほら、あーちゃん行きな!」と肩を押すものの
「シンチャンと行くの!」と、どうやら友達を待っているらしい。
ようやくお目当ての男の子が追いつき、一緒にゴールイン。
そんな、普段は気が付かなかった優しい一面を見て感動した。
「競争」というと、すぐに「1番を」と短絡的に考えてしまう
凝り固まった大人の考えを、ガツンと打ち砕いてくれた。
去年は泣いてしまって、何も出来なかったあーちゃんなのに。
今年も、走れるだけでいいと思っていたのに。
たった1年で、この成長ぶりはなんなのだろう。
体に伴い、この感受性の成長ぶり。
ふと気がついた。
何故、どの親御さんもビデオやカメラを撮りまくるのか。
それはきっと、子供の成長を再確認するためなのだ。
「たかが1年」だけど、子供にとっては違う。
「されど1年」、その言葉通り、想像をはるかに越える成長を遂げている。
1年に1回、去年の競技と見比べて、そうした子供の成長を再確認するために
みんなビデオをまわしているのだ。
それに感動できることは、やっぱり素晴らしいことなんじゃないのかな。
口に出しては、気恥ずかしくてなかなか言えないが。
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■2001/09/10 荒療治 |
プリシンは、シャツを噛む。
首周りの部分を噛む。噛む。(Everybody、なんてな)
もう、まともなTシャツがなくなってきた。
かみさんは、プリシンにTシャツを着せた後、
手をひいて、冷蔵庫の前に連れて行き、何やらシャツに細工ををしている。
「だめだからね!」と、念も押している。
「これでもう、シャツを噛まなくなったわよ〜♪」と、
晴れ晴れとした表情でおっしゃるので、理由を尋ねると。
「首周りに、タバスコを付けたら、噛まなくなったのよ〜♪」
おいおい!そりゃ、かわいそうだ。
かみさんは、これ心外といった表情で、
「えっ、でも、からしよりはいいと思うけど・・」
って、そういう問題か。
よく、指しゃぶりをやめない子供にも
似たようなことをすると、聞いたことがあるが。
まぁ、荒療治だけど、噛まなくなったことは良かった。
しかし、やはり何かのストレスから、シャツを噛んでいたと思うから
今度は、その噛めなくなってしまったストレスがどこかに向かうのではないか。
実はすでに、ストレスのはけ口ができている。
食器を投げるのだ。投げる投げる投げる、もう何枚割れたことか。
次から次へと、日記ネタには困らない子供である。
余談だが、かみさんは「本当に辛いのかな〜?」とタバスコを舐めてみて
「グヘッ!」と一言、潰された蛙のような声を出していた。
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■2001/08/28 日増しに・・ |
もう、プリシンを連れて、どんな店にも入れない。
昨日の夕方、めじ君とアーちゃんを皮膚科に連れて行った。
診察には、かみさんが立会い、俺とプリシンは車の中で待っていたのだが、
隣にパソコンショップがあることに気が付き、プリシンと2人で店の中に入る。
入った途端にプリシンの奇声、絶叫、けたたましい笑い声で
店内の視線を、一斉に浴びる。
奇異の目には慣れているのだけど、
昨日は、プリシンのあまりの声のでかさにかなり慌てた。
今思えば、さっさと店を出ればよかったと思うけど、
ADSL無料体験や、書籍コーナーのHPに関する雑誌などを、目にしてしまうと
欲の塊のような男なので、なかなか立ち去ることができなかった。
「うるさい!静かに!」と時折声を低くして怒鳴っていたのだけど、
怒られる事がことが、何故か嬉しいらしく、
「ババババ〜、ギャヒ〜、アワワ〜」とプリシンは、ますますヒートアップ。
歩きながら、手に触れるもの全てを掴んで投げてしまうので、
俺は、片手でプリシンの両手を握り、囚人を護送するように歩いた。
手が使えないとなると、今度は足で積まれている書籍を蹴りだす始末。
ついに切れてしまった。
ドスを聞かせて「いいかげんにしろ!」と、プリシンの腕を爪でつねると
笑い絶叫から、今度は泣き絶叫に変わってしまった。
もう、ダメだ。視線に耐えられず、そそくさと店を後にした。
泣かせてしまった自分に腹が立ち、人間とは思えない行動を取るプリシンにも
腹が立ち、夜寝る時まで、ずっと苛立ちは収まらなかった。
日に日に大変になっていくプリシンに、育てていけるのだろうかと不安がよぎる。
育てていかなければならないのは、分かっているのだけど。
気が短くて、プリシンにすぐ手を上げるかみさんに対しても、
そんなに叩くなよ、と思いながらも、
それもしょうがないなと、気持ちが分かるだけにやりきれなくなる。
もう、なんだか分からんわ。
寝て、起きたら、気分も晴れているでしょう。
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■2001/08/24 深夜の絶叫 |
プリシン、深夜の絶叫が2日間続いている。
悪い夢を見たのか、寝ぼけているのか、まったく理由が分からない。
汗をびっしょりかいて、枕にしがみついて、身をよじりながら、
「ウワー」と、涙を流して絶叫している。
何事かと、みんな起き出して(というか眠れない)、
プリシンをなだめすかせようとするが、まったく泣き止まない。
1時間ほどそうして、泣き疲れて眠ってしまう。
昼間でも、時々こうなることがある。
今日の夕方も、突然Tシャツを両手でぎゅっと掴んで、地団太を踏むように泣き出した。
おしっこかと思って、トイレに連れていってもそうじゃないらしい。
抱きしめようにも、身をよじって逃げ出してしまう。
言葉が話せれば、理由を聞くこともできるのだが、
プリシンは、顔を真っ赤にさせて、大きな二重の目から涙をぼろぼろ流している。
今はただただ、傍観していることしかできない。
ただ、嵐が去るのを待つように。
こんな時、どうしたらいいのだろう。
歯痒い思いで、憂鬱になる。
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■2001/08/16 夢 |
夢を見た。
食卓に座る、俺とプリシン。
突然、プリシンが「むにゃむにゃ」と、何かをしゃべりだす。
よく聞き取れずに、プリシンの顔を正面から見て、
「えっ、何、麦茶飲むのか?」と、俺が問い掛ける。
すると、今度ははっきりとした声で「うん」と答えた!
俺は驚いて、流しに立っているかみさんの背中越しに
「おい!プリシンがしゃべったぞー!」と教えるが「うそ〜」と取り合わない。
そこでもう一度「プリシン、お茶を飲む?」と問い掛けると
「うん、ちょうだい」と、はっきりとした声で、平然と答える。
夢の中で俺とかみさんが「話せるようになったんだ!治ったんだ、!」と
喜んでいるところでハッと目が覚め、すぐに夢だと気がついた。
普段は、そんなこと思っていないけど
どこか潜在意識の中に、そうなればいいとの願望があるのかなぁ・・
夢の中、言葉を話すプリシンの声は、とてもかわいらしく
頭の良さそうな、どこから見ても健常な子供だった。
驚きと嬉しさで、飛び上がらんばかり俺ら夫婦の姿が、まだありありと頭に残っている。
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■2001/08/04 丹沢キャンプ |
「遅れて行く」と、あらかじめ幹事さんには
メールで伝えておいたので、直接現地に向かった。
東名高速に乗り、2時間半で目的地である「西丹沢キャンプ場」に到着する。
メールの内容には他に、1泊の予定のこのキャンプに
何故泊まらないで日帰りで帰るのか、プリシンの現在の事情も説明しておいた。
BBQコンロを囲み、ワイワイと団らんしている親御さん達から離れ、
俺は、冷たく流れの速い川の水に足首まで浸けて、
当然の如く付きっきりのプリシンと、ついでに他の子供達の見張り番をしていた。
澄んだ空気と、夏の色濃い山々の景色、冷たい水に浸けた足がとても気持ちよく、
次第に日々の嫌な事も忘れ、心が晴れ晴れとしてくるのが分かる。
ここで、Mさんというママがいる。
このママさんとは、プリシンを保育園の送り迎えの時、いつも顔を合わせるが
あいさつを交わす程度で、話したことはほとんどなかった。
そのMさんが「プリシン、見ていてあげるよ」と話し掛けてきた。
いや、ちょっと、うちの子は大変だから、俺じゃないと・・と口ごもっていると
「大丈夫、大丈夫!」と、やけに自信たっぷりな口ぶり。
それでも社交辞令で言ってくれているのだろうと、俺はやんわり断ろうとした。
でも、Mさんは引き下がらない。
「こういう時でもないと、お父さん達と飲めないでしょう?
プリシンは、大丈夫。分かっているから」と、何もかも知っているようだった。
俺より年下のママさんに、諭されるように言われた言葉に胸に詰まる。
毎日、朝と夕方、保育園で手をひかれて、
引きずられるように歩く、プリシンと俺の後姿を見ていたんだなぁ・・
見ている人は見ていて、知っている人は知っているんだということか。
ありがとう、Mさん。
やさしさ溢れる言葉に、本当に涙が出そうになった。
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■2001/07/26 旅行前夜 |
明日の北海道旅行の支度をするために、早々と仕事を切り上げた。
とはいっても、自分の支度なんてたかが知れている。
Tシャツとパンツとズボンを2日分、
それと、デジカメとビデオと1冊の本を鞄に入れたら、簡単に終わってしまった。
さて、PCに向かおうと部屋を移動したら、かみさんに先を越されていた。
どっかりとイスに腰掛けて、カチ、カチ、とスローモーションのように
キーを打つ姿を見ると「早くしろよ」とは、怖くて言えない。
しょうがないので、末娘のアーちゃんを寝かしつけようと、一緒に布団に横になる。
(もうこの時点でプリシン、めじ君は夢の中)
そうだ、明日の旅行をイメージングをさせてやろう、と
乗り物の絵本を出してきて、飛行機の説明をしてやる。
案の定、目をきらきらさせて「コレニ、ミンナデノルノ!?」と
ジャンボジェット機の写真を見て喜んでいる。
「そうだよ。パパもプリシンもめじ君も、みんなこれに乗るんだよ。
それじゃあ、ママはどれに乗るんだろうね?」とネタを振ってやると、
少し考えて「コレ?」と指差した写真は、ハングライダーで空を舞う男の写真だった。(笑)
さすがはアーちゃん。ママにはこれで北海道に行ってもらうことにしよう。
期待を裏切らないボケに、おとーちゃんは大満足だよ。
間もなくして、アーちゃんの静かな寝息が聞こえてきたので
俺は、電気スタンドの明かりで本を読み出す。
PCを終え、エアコンの効いた部屋にやってきたかみさんが
プリシンにタオルケットをかけながら、寝顔を見ている。
「シンチャン・・・かわいい顔しているのにねぇ・・・
・・・あんたとおしゃべりがしたいよ・・・」
読書に没頭するふりをして、聞こえないふりをした。
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■2001/05/29 物投げ |
最近のシンゴは「物投げ」がひどくて困っている。
2才の頃も、よくゴミ箱や洗濯機の中におもちゃを投げ入れていた。
その頃は、可愛いもんだったけど
現在4歳になり、身長もかなり伸びてしまって
3階の窓やベランダから、なんでも投げてしまう。
今日も、道路に落ちているおもちゃやベニヤ板(!)を見て
すぐに、シンゴだとピンときた。人に当たったら大変な事だ。
解決策として考えているのは、ベランダの手すりに
板のようなものをも打ちつけて、高くしてしまおうかと思ったが
かみさんが「それでは布団が干せない」というので却下。
次なる案はネット(網の方です)みたいなものを
上から垂らすという方法を思いついた。
カラスからゴミを守るようなもんだけど、結構ナイスなアイデアだと思う。
布団を干す時は、上にあげておけばいい訳だし。
仕事中、目に付くネットを探してキョロキョロしながら、車を運転していた。
「このゴミ捨て場のは目が粗くてダメだな」とか
「この梨園のネットはいいな」なんて。
次の日曜でも、ホームセンターで買ってこようっと。
話は変わって。
帰宅時に、カスタネットの叩く音が聞こえた。
長男も娘も近くにいたから、もしやシンゴが叩いているのか?と思い
期待を込めて、後ろ向きに座っているシンゴを回り込んで顔を見た。
何の事はない、口にカスタネットをくわえて噛んでいた。
噛むたびに鳴っていたのね。(笑)
やっぱりシンゴだと思って、かなりおかしかった。
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■2001/05/14 睡眠障害 |
プリシンの朝は早い。
今は、5時半から6時ごろに起きる。
毎年のことなんだけど、夏が近づくにつれて、日に日に起床が早くなっていく。
4歳の子供が、どれくらいの睡眠を取るのか分からないが、
上の兄や妹に比べると、ずいぶんと寝ない子供なのである。
昼寝は、まったくしない。
夜は9時ごろに寝るから、平均すると8、9時間くらい。
大人とそんなに変わらないのだ。
一人で起きて、ドタドタと走り回っている分には安心する。
逆に、静かな時が1番怖い。
何しろ行動が読めないから、静かだと一気に眠気が吹っ飛び、
ガバッと起きあがって探しに行く。
今は、大体お腹を空かせて1人で冷蔵庫を開けて、
好物のマーガリンを食べていることが多い。(笑)
無事に家の中にいれば、床にぶちまけてある牛乳を見つけても、許してしまう。
こんな話がある。
工事現場の赤く点滅するポールが大好きな、自閉症の小学男子がいた。
深夜、家族が寝ている間に起きだして家を出た。
しかし、工事現場のポールにたどり着く前に、車に轢かれて亡くなってしまった。
4歳のシンゴは、まだ鍵を開けるという知恵はないが
いずれ、対策を練らなければならない。
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■2001/05/09 IQテスト |
4歳の次男プリシンは、周りの環境に恵まれている。
通っている保育園も通常、幼稚園などで受け入れられない障害を持つ子供を
積極的に入園させている。
ただでさえ保母の人手が足りないのに、シンゴにマンツーマンで
1日中ついてくれることは、本当にありがたく思っている。
シンゴを1日見るということは本当に大変だと思うが、
先生方は「かわいい、かわいい」と、マスコットのように可愛がってくれる。
自閉症の子供を今まで何人も見てきたが、みんな顔立ちがきれいで
とても愛らしい、天使みたいな子が多い。
シンゴも俺に全然似ず、二重まぶたの大きい目に長いまつげ、
まるでキューピーちゃんみたいな顔をしている。
汚れない無垢の心が、そのまま顔に現れるのかな。
そんなシンゴが先日、IQテストを行った。
よく暴れずにテストができたなぁ、とその時は不思議に思ったけど、とりあえず結果が出た。
IQは30。年齢で言うと1歳4ヶ月の知能らしい。
大体想像はしていたけど、こうしたデータを見せられると
「だから、どうした」という気持ちになる。
アルジャーノンのチャ−リィ−よりも低いのか・・・ぅぅむ・・・唸るしかない。
夕方保育園に行った時に、そのことを先生方に伝えた。
どんな反応をするのかなぁと思っていると・・・・
「ヤッダ〜、30なんですか〜、かっわいい〜♪」
ぷぷぷぷ〜。
しょぼんとするわけでもなく、同情でもなく、「かっわいい」だもんな。
でも1番うれしい返答だった。この明るさがうれしいのだ。
保育園に通うのが、当たり前に思うことがあるけど
シンゴの場合は「保育をして頂いている」という感謝の気持ちを忘れてはいけない。
先生方、いつも本当にありがとうございます。
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