何かをきっかけにして
過去の情景・・・空気の匂い 風の冷たさ 乾燥 湿り気
そういう類のものが
当時の感情を伴って甦る事がある
あ・・・この歌・・・
艶やかなこの男の人の声が好きで
よく聴いていた
車のラジオから聞こえてきたその曲が
オリジナルのものではなく
女性が歌っているカバー曲だった事で
あれからもう10年ほどたっている事に気づく
泣いていたこともあったし
笑っていたこともあったし
一人だったり
大勢だったり
二人だったり
平日の昼間であったり
日曜の夜であったり
夏の夕暮れであったり
冬の早朝であったり
吹雪の中でも
大雨の中でも
汗だくの日でも
楽しくて 嬉しくて
うららかな春の暖かさの中でも
快晴の青空の下でも
悲しくて 寂しくて
いろんな季節に
いろんな時間に
色んな思いで
この曲を聴きながら過ごした
とりわけ私が好きだったのは
夜
この曲には夜のドライブがとても似合う
道路を照らすオレンジ色のライトを見ながら
何度車を走らせたことだろう
そんな時間がわたしはとても好きだった
ある時
自分が抱えるたくさんの“モノ”がイヤになり
大半のものを捨ててしまった事がある
その“モノ”から導きだされるあらゆるもの
・・・感情
・・・想い
・・・記憶
そういうもの全てを排除したくなった
その時にこの曲のCDも捨ててしまった
時間というものは
即効性はないが確実に癒していくものなのだと
ぼんやりと思う
すこし遠回りしてあの曲を探しにいく
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