それは衝撃的な言葉だった。

地元の短大を卒業し就職したばかりの頃だった。
なれない会社生活。
会社に行って仕事しているはずなんだけど
「仕事してます」とまだまだ言ってはいけないような無力感。
使い物になってない自分。
「何やってるんだろ・・・。」
会社帰りのバスの中を毎日うつむいて過ごした。

ある日、女の人二人が話している声が聞こえてきた。
声の感じからだと、自分と同年代っぽい感じがしたのに
話の内容が幼稚に思われて
「なんだぁ?そんなことも知らないのぉ?」と
私は偉そうにも、少々バカにしたような気持ちを抱いて
顔を上げ、彼女達をみた。

彼女達の姿かたちは、やはり私と同年代の女性なのに
それにしては服装が幼稚な感じがした。
そのうち何故そう気づいたかはっきり思い出せないが
彼女達には少し知能の成長に遅れがあるらしいという事がわかった。

その時の会話はこんなものだった。
一人が「ねーねー。ルビーって宝石しってる?」
と聞くと
もう一人の女性が
「うん。しってる。赤い色のでしょ?」
「じゃあエメラルドっていう宝石知ってる?」
と聞き返すと
相手は「えー知らない。どんな色?」と問いかけたのだ。
わたしはこの時に
「こんな事もしらないのか」と思って顔を上げた次第。

私は頭の中で「エメラルドは緑色だよー」と勝手に答えていたが
次の言葉でハッとした。
エメラルドの色を尋ねられた彼女の答えは

「エメラルドの色は・・・海の色」

「そう、海の色なんだー。キレイな宝石だねー」
教えてもらった方の彼女はそう答えていた。

私はちょっと前に、自分がばかにしたような気持ちで
彼女たちを見た事をひどく恥じた。



答案用紙に答えを書くようにしか
物事を見ていない自分。
何にも知らないのは
私のほうだったのだ・・・。



























































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