"○月×日、よく晴れた昼下がりの住宅地。
ゆうゆうと歩道を歩く一人の男、くわえ煙草に、黒スーツでサングラス姿、短い足におおきな頭。
この男こそが、チマタで知る人ぞ知る、さすらいのボディーガード、「ジャイ・ブルロック」である。
そして、もう一人、そんなさすらいのボディーガードに憧れをいだき、追っかけるようについて歩いて
る一人のヤサ男、僕である。
ジャイ・ブルロックに憧れ、追いかけ始めて半年、彼の行くところには、不思議な事に、当たり前のように必ず犯罪がおこる。そして、彼はその鋭い嗅覚を使って、犯罪の臭いをかぎつけ、罪なき人を救い、
何も言わず、何事もなかったかのように、静かに立ち去るのだ。
今日も何かおこるんだろうなぁと半分心に覚悟を持ちつつも、まさか、こんな穏やかな日にと疑う心を持ち合わせつつ、彼の丸い背中を見つめながら歩いていた。
と、その時だった。僕は後ろに人の気配を感じ振り向いた。そこには、青いスーツ姿のセールスマンがい
た。結構歩き回ったあろう、額ににじむ大粒の汗をハンカチでぬぐいながら、忙しそうに、次に回る家を探している様子だった。
「あーセールスマンもノルマがあったりしてなかなか大変な仕事だよなー。口下手の僕にはむいてない
なぁ〜」
と僕が、小声でつぶやいたの時だった。ジャイブルが突然足を止め、そのセールスマンをじっと見つめ出した。
「なんだよ、ジャイブル!あの人はただのセールスマンだよ。あっ!それともジャイブルも昔セールスマンやってて懐かしく思えたとか?ジャイブルも口下手な方だから営業成績は悪かったんじゃない?えへへ〜冗談だよ!それよりも僕たちも僕たちの仕事があるんだから、早くいこうよ!」
僕がそう言ってジャイブルの大きな背中を押そうとしたその時、静かにジャイブルが口を開いた。
「さぁ、俺たちの仕事だよ。」
ん!?・・・僕は目を疑った。さっきのセールスマンが裏庭に回り始め、勝手口のカギをこじ開けようとしている!
セールスマンだと思ったさっきの男は、セールスマンに変装していた立派な泥棒であった。
僕が自分の感覚のおろかさに打たれたその次の瞬間、ジャイブルはあのセールスマン風の男を抑えつけ
その家のは事なきを得た。
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その後、彼はいつものとうり、何もなかったかの様に穏やかな町並みの中にゆうゆうと歩き去ったのであっ
た。 つづく・・・
★今回の僕の手記
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