日本の家とは

日本の建築の職人の本を多く読んだ僕にとっての、大きな疑問は、そういうすばらしい技術を持った職人は、現在どこにいってしまったのか。ということです。そこでわかってきたことを書きます。

日本の家は、竪穴式住居からはじまり、順調に発展、改良されてきました。その大きな必然的な流れを大きく変えてしまったのが、明治以降だとおもいます。特に2次大戦後、大幅に住宅が不足し、どれだけ早く大量に、住宅を供給できるかが、最大の課題となってしまったとき、従来の当然とされた、家の作り方を大幅に変更せざるを得ませんでした。そのひとつは、“筋交い”という、合理的なものの、多用です。従来の貫にかわって、筋交いなら、大幅に工期を短縮でき、強度も得られることから、それほど柱を太くしなくても、よいという、非常に都合が良い、建て方です。それを補足すために、木を木で締める木組みでなく、金物で接合部分の強度を補足しました。

そして、コンクリート基礎の登場、地震の被害を極力少なくするため、土台をコンクリート基礎にボルトで固定することとなりました。それまでは、柱は礎石にただのっかっていただけでした。

そして、高度成長期の昭和40年代以降の新建材の登場。木製引き戸にかわって、アルミサッシが、土や漆喰に代わって、石膏ボード、化粧合板、ビニールクロス、などが、瞬く間に、取って代わりました。さらに、プレカットの普及により、墨付け、刻みといった大工の仕事も機械化され、合板、MDFなどが進化し工業化住宅が完成していきました。

これらは、おそらく、現場の職人にとっては、大きな戸惑いと、疑問があったとおもいます。しかし他の大多数のその時代に生きる人にとっては、歓迎されたに違いありません。工期は短縮され、安い外国産材が、大量に輸入され住宅は安くなり、工業製品による近代化が当たり前の世の中ですから。

以上の時代の流れは、よく理解できます。しかし、現在、家とは、なんなのか、日本の家とは、どうあるべきなのかが、見直される時代にあるのだと思います。まだまだ少数派ですが、貫構法を実践し、いわゆる新建材を使用しない家を作っているところも増えています。また、環境問題が優先課題にあがるようになったことも追い風です。

僕は、貫構法も、柱を礎石にのせる建て方も、木組みも、土壁も漆喰も、すべて少なくとも5,000年以上の歴史に支えられた、自然の理にかなった家の建て方なのだとおもっております。

それは、材料がなかったから、技術がなかったから、やむなくそそういうレベルだったのではなく、家を5000年以上にわたって考え続けてきた、先人の知恵の結晶なのだとおもっております。

ただ、都会に住む現代人が、突然、古民家にすめといわれても、もはや無理でしょう。ですので、現代のすまいに、いかに大切な遺産である、先人の知恵とか、精神とかいうものを、取り入れていくかを考えなければいけないと考えております。