出生前診断


ここでは私が聞いたり調べたりしたことや考えをまとめてみます。
私見が入っていますし、すべての情報が正しいという保証もないことを
ご理解いただいた上で、鵜呑みにせずに1つの参考までにお読みください。
これはとても難しい問題ですから…

まず出生前診断とは…

子宮内の胎児の状態に異常がないかどうかを把握するものです。

主なものに…
母体血清マーカーテスト(クアトロ検査) おおよそ15週〜19週頃
羊水検査 おおよそ16週〜20週頃
絨毛検査 おおよそ9週〜11週頃
などがあります。


病院での先生の話

私の通院している病院の先生が話してくれたことは…

1.通常の超音波検査
これも胎児の状態を把握するという意味では出生前診断になり、
10週から14週くらいの間に頭の後ろから首のあたりにかけての皮が
厚いときは異常が考えられるとのことでした。

2.血液検査
私の病院ではクアトロ検査を使用している、ということでした。
ただ、病院の医師はあまり薦めないということでした。
この検査は染色体異常の確率を数字でだすもので、今までに1/200で正常な子が生まれ、
1/2000でもダウン症の子が生まれたことがあり、判断が難しいということでした。
*トリプルマーカー検査については問題があるようですのでよく調べてください。

3.羊水検査
そこで本当に知りたいのなら、羊水検査をうけるべきだと言われました。
精度はかなり高いそうです。ただし、この検査でわかることは障害のうちの
一部分であること。(障害のうちの10%程度とデータを示されました。)
検査は超音波の画像を見ながら、お腹に針を刺して子宮内の羊水を採取するもので、
0.3%〜0.5%流産になるリスクがあること。検査の結果がでるのには
2〜3週間かかるということでした。

データだけをみると、羊水検査で流産するリスクは1/300程度。
ダウン症がでる確率は39歳で1/177、40歳で1/93。
(自分に関係あるところだけでごめんなさい!)
この数字の交差点が35歳で1/350位(不確か)なので、
一般的には35歳以上の人に薦めることになる、という話でした。
この病院では高齢出産者の10人に2人程度しか
この検査は受けていないということでした。

また体外受精で授かったことに不安もあったのですが
20年近い体外受精の実績の中で、流産は自然妊娠よりも多いと言われてますが、
障害児が生まれやすいというデータはまったくない、とはっきり言われました。


知り合いの体験談

<35歳初産>
すごく悩んだけれども、夫婦で話し合って
どちらにしても産むことには変わらないのでやめた。

<35歳初産>
35歳過ぎて妊娠したら検査は受けなければいけないと思って受けた。

<37歳初産>
病院から高齢出産ということで血液検査を薦められた。
その結果がよくなければ、羊水検査を考えて、といわれていたが
結果が悪くなかったので羊水検査は受けないですんだ。

<39歳初産>
血液検査をしたら、それでは結論が出ず、結局大学病院を紹介されて
羊水検査をした。それで異常無しということと性別がはっきりしたが、
これらの検査はしなければよかったと思った。
なぜなら、この年になってやっと授かった子供で、次の
機会はないかもしれない。妊娠4−5ヶ月で異常を見つけてどうする?
それに対する答えがないまま検査を受けても悩むだけだと思ったから。

<45歳初産(シンガポール在住)>
悩んだ末、羊水検査を受け、結果は 99% ダウン症の子どもを出産する、
と宣告され、シンガポールの医者からはあきらめるように勧められた。
しかし夫婦で相談して、1%の望みにかける、というのではなく、
生まれてくる障害を持った子を大切に育てよう!という決心の上で出産。
ところが生まれたのは正常な子供だった。
あの時点であきらめていたら、と考えると怖くなる。

私の周りにはこういった体験談しかなかったのですが、
インターネットなどで調べると、
受けて何の異常もなく、安心して出産を迎えられた方の話や
羊水検査で流産してしまった方の話なども載っていました。


私が考えたこと

出生前診断については、5週目で胎のうが、6週目で心拍が、確認できてから
羊水検査の申し込み期限である15週目まで唯一・最大の悩みごとでした。
これがストレスになるのでは?と思ったほどです。
この検査を受ける・受けないについては、正解や正論などなく、
夫婦(シングルの場合は本人?)が決めることで、それぞれの考え方があると思います。
これはあくまでも1つの考え方として私が悩み・考えた過程です。

私の通っていた病院はこの検査は積極的に薦めないというのは
最初の診察時から感じていたので、自分から毎回の診察時に
検査のことを問いかけていました。13週の診察の時、「次回は4週間後に…」と
言われたとき、ここでこちらから問いかけなければこのまま検査のことには
触れないのだなっと思いました。

13週の診察時、モニターに写った元気に動く胎児を見たとき、
とてもいとおしくて『この子がどんな子でも育てよう』と心から思え、
『検査は受けなくていい』とそのとき初めて思いました。
その夜、主人と話をした時、私はそう話しました。
その時、主人は「安心のためにも受けてみたら…」と。
私の体を考えると高齢な上に、虚弱体質傾向なので心配だということも
言っていました。その夜はお互いに決めることができず、そこまで。

14週中にもつわりで気持ち悪い中、愚痴のような形で主人に自分の意見をぶつけてみました。
「お腹に針を刺すなど自分の体を痛めることは怖くないけど、
自分の中にある別の命を失うかもしれない、この決断は怖くてとてもできない」と。
そして今までの不妊治療の中でも体外受精当日の同伴以外、つきそいを
頼んだことのない私がはじめて、「その日は一緒に病院にきてほしい」と頼んだのでした。
ところが、運悪く、主人は足を怪我していて松葉杖生活だったため、
「ギプスが取れるまでは行けない」と言われてしまい、その日も話はそこで止まってしまいました。

そして15週に入る時、つわりもだいぶよくなっていたので
朝からインターネットで羊水検査について調べまわった私は、主人に
「やっぱり障害の一部分でもその安心のために受ける。万一、陽性だった場合も、
今の時点ではおろすつもりはないので、心の準備にする。でも正直怖い。」と。
するとあれからいろいろ考えたであろう主人からは「受けてなくてもいいんじゃないの?」
「この検査ですべてがわかるわけじゃないんだから、生んでみてあるいは育てていくうえで
障害がわかったときに考えながら育てよう」と。元来楽天的な主人は最初から
障害をもった子が生まれるという考え方をするのが嫌な様子でした。
その意見に賛同しながらも、それでいい!とすぱっと割り切ることができない私がいました。

結局、もう一度病院で相談した上で決めよう、ということになりました。
病院への電車の中では『受けよう。今日は検査の予約をしてこよう!』と
思っていたのですが、医師と話をしているうちに「受けません」に…。
もともと検査に消極的な病院だとは思っていましたが、
医師もこちらの痛いところをついて「迷っているなら受けないほうがいい。」
「体外受精などでやっと授かった方は受けない方のほうが多いですよ。」
「どちらにしても産むつもりなら、受ける必要がないとも思います。」
「ご主人の意見も大切に。あなただけの子供ではありませんから…」と言われてしまいました。
最初から結果が陽性だったら育てられない、中絶する、という確固たる意思を
もっているカップルしかこの病院では検査は受けないだろうなと思いました。
そうはっきりとは言えない者には、それでも「受けます」とは言えませんでした。
結局、帰りの電車の中でも気分すっきりとはいかず、家に帰ってからも、
『本当にこれでいいのか?』と自問自答が続いて『狂いそうだ!』と思い、
これ以上考えても、気分すっきり解決とはいかない問題だとあきらめました。

ここで「受ける」という決断をしていたら、この日はすっきりしたかもしれません。
でも検査当日、そして結果がでるまでの時間は苦悩するだろうことは想像でき、
結局、私は今「受ける」という決断をすることができず、
出産以降の苦悩へと先延ばしにしてしまったような気もしています。


各国の考え方

病院によって出生前検査に対する考え方・姿勢は違うと思いましたが、
国によってもずいぶん違うということを今回知りました。

諸外国(欧米など)では羊水検査は一般的なところが多く、
一連の検査の中に含まれていて、費用も保険でカバーされているそうです。
リスクは同じようにあるでしょうが、アメリカのある州などは8割近い
妊婦が受けていたりするので、羊水検査に熟練している医師も多いようです。
流産のリスクよりも受けるほうを薦められるようです。
国民性や宗教などの違いもあるのでしょうが、
アメリカでは結果が陽性で堕胎する率は6割。日本は9割だそうです。
(まぁ、そもそも検査を受ける分母が全然違うと思いますが…日本での年間出生数が
約120万人として、血液検査を受けるのが2万人弱、羊水検査は1万人ほどです。)
またアメリカなどでは結果がわかった後のフォロー体制が整っていて、障害の治療
あるいは生まれた子供をどう育てていくのかについて専門機関を紹介してくれるそうです。

ところが日本では中絶という倫理面に重きをおくからなのか、
この検査を保険適用外(費用は10万位)にして、リスクを強調して
できるだけ受けさせないようにしているように私には思えてなりませんでした。
アメリカのように積極的に受けさせてその後のフォローもどんどんしていく体制、
というのが私としては賛成です。(これはあくまでも私の考えです。)
私は中絶はダメという気はありません。
とても育てられないからあきらめる、あるいは別の可能性に
挑戦したいという決断もあると思います。

最後にアメリカ人が書いた書籍も読み、アメリカでは当然のように行われている
出生前検査や妊婦を悩ませるこの検査の存在そのものに疑問を呈している
考え方があることも付け加えておきます。