なんか思いついたことを書き綴ってみました。
お暇でしたら読んでみて下さい。
大きな羽根
もしも、
ボクに、大きな羽根があったら、ボクは、迷うことなく
君に会いに行くだろう。
そして、キミをボクの背中に乗せて大空高く、どこまでも飛び続けるだろう。
だが、今のボクは、大きな羽根などはもちろんなく、君に会いに行く術も知らない。
だからボクは、その大きな羽根を持った風車をじっと眺めることでキミへの思いを募らせる。
いつまでも、いつまでも・・・・
手紙T
今朝、やっとキミへの思いを込めた手紙を書き終えた。
彼女とは、メールもやるし、携帯でも話はするけど、何となく冗談混じりの言葉では、
ボクの気持ちがうまく伝わらない。
だから、昨日の夜、バイトの帰りにコンビニ寄って、レターセットを買ってきた。
書きたいことは、次々と浮かぶが、なんて書いたらよいのだろうか。
うまく書くことができず、書いては破り、書いてはまるめ、最後の1枚になってしまった。
東の窓のカーテンの隙間から外の光が漏れてベッドまで届いていた。
とにかくこの1枚に、自分の気持ちを書くことができた。
でも、今の時代、メールもできるし、携帯を掛ければ、キミの顔を見ながらだってできる時代、
しかも週末は、君と会う予定をしているのに・・・・
手紙を出すというのは何となく、かっこが悪いかもしれない。
宛名を書いて封はしたもの、バックにしまい、そのままバイトに出かけた。
夕方、家に帰ると、ポストの中に1通の手紙が入っていた。
きれいな細い文字でボクの名前が書いてあった。
裏をひっくり返すと、実家の母親からだった。
実家を離れ1年半が過ぎるが、月に1回は電話をくれる母。
ボクは、とくに話すこともないので、煩わしいと思いながら
「うん、元気でやっているよ」
「大丈夫だから、心配しないで」
といい加減に応え、すぐにを切ってしまう。
部屋に入り、灯りを付けベットに寝そべりながら
母親から届いた手紙を読み始めた。
手紙の内容は、いつもの電話と同じように、
ボクの健康を気遣ってくれるもであった。
でも、このとき、ボクは、手紙を読みながら涙を流していた。
母親のボクを気遣う気持ちがひしひしと伝わってきたからだ。
ボクはベットから跳ね起き、
バックを抱えながら、近くのコンビニに走った。
そして、80円の切手を1枚買った。
鍵(KAGI)
今日は、彼女の誕生日。
いつもの場所で待ち合わせをして、いつもより、ちょっとおしゃれなお店で食事をしようと思っている。
彼女との待ち合わせの時間まで一寸あるので、ボクの小さい頃の思い出話をすこし・・・
ボクが小さかった頃、
「ただいま〜ぁ」
学校から帰って玄関を開けると、
「けんちゃん、お帰りなさ〜ぃ、おやつあるわよ」
と、母さんの優しい声と、美味しそうなおやつ香りが・・・
ボクは、このときほどうれしいって感じたことはなかった。
ただ一つを除いては・・・
「あっ、すすむくんもかぃ?」
学校に行くとクラスの子が
思い思いのリボンや紐をクビからかけて、得意そうな顔で、
それを見せる。
そう、家の“鍵”である。
ぼくは、友達がその鍵を付けて学校へ来ることが
とてもかっこよく見えて、うらやましかった。
“ボクも鍵が欲しいなぁ”
と、いつも思っていた。
そんなある日のこと、母さんが
「たいせつなものだから、ぜったいになくさないでね。」
と言って、ブルーの紐を付けた鍵をボクの首に掛けてくれた。
ボクは嬉しくて有頂天になりながら、
「うん、ぜったいになくさないよ」
と母さんに言った。
それから、学校から帰ってくると、
優しい母さんの声と美味しそうなお菓子の香りはしなくなったが、
鍵を持っていると言うことそれだけで、ボクは幸せだった。
「暗くなる前には、帰ってくるのよ」
母さんの言いつけ通り、ボクは、暗くなる前に家に帰った。
夕方のテレビアニメを見ていると、
「ただいまぁ、ご飯の用意するねぇ」
と、母さんさんが帰ってきた。
ある日のこと、いつものように、遊びに出かけ家へ帰る途中、
ボクはクビに掛けていた“鍵”が無くなっていることに気がついた。
“ジャングルジムをやった時かなぁ?”
“あっ、鉄棒をやったときかもしれない”
そう思いながら公園へ走っていったが見つからない。
”あっ、あのとき、3塁に滑り込んだとき、クビからはずれたのかなぁ”
と、空き地に行って捜した。
でも、どこにも見つからない。
外はどんどん、薄暗くなってくる。
足もとも暗くてみえなくなってきた。
ボクは、諦めて、重い足取りのまま家へ向かった。
家の前に付くと母さんが立っていた。
「けんちゃん、こんな遅くまでどうしたの?」
母さんがゆっくうりボクの方へ近づいてきた。
ボクは怒られると思い、首を潜めながら
「カギをなくして、それをさがしていたの」
と、蚊の鳴くような声で応えた。
「けんちゃん」
と、母さんはボクをぎゅっと抱きしめ、
「そんなことで、・・・」
「母さん、心配していたんだよ」
と、優しく言った。
ぼくの目から大粒の涙が一気にあふれ出て
「だって、かあさんが、
“たいせつなものだから、ぜったいになくさないでね。”
って言ったから・・・」
すると、母さんは、
「ごめんね」
と言いながら、またボクを強く抱きしめてくれた。
今日は、彼女の誕生日。
ぼくが彼女と会ってからの2回目の誕生日。
食事の途中、彼女にプレゼントを渡した。
「開けてもいい?」
と彼女が包みを開け、
「わっ、かわいい!」
「付けてぇ!」
と彼女の首に、鍵をかたどった銀のネックレスを着けてあげた。
「それともうひとつ!」
ボクはおもむろにズボンのポケットから、
「たいせつなものだから、ぜったいになくさないでね。」
と言って、ターコイズのキーホルダーの付いた、
ボクアパートのカギを彼女にそっと渡した。
手紙U
ボクは、毎年この時期になると、手帳を買うことにしている。
一番品数が豊富でいろいろなものを目にすることができるからだ。
1週間ごとの予定を細かく書き入れることができるものや
2年続けて書き込むことができるもの、デパートのステーショナリーグッズ
売り場に行くと、つい長居をしてしまう。
でも、ここ数年買うのは決まって“システム手帳”の中身だけ。
黒い皮カバーのシステム手帳使っているからだ。
だが今年は、薄手のシンプルな手帳を買った。
アドレスも新しくその中に書き入れた。
1人ひとり、丁寧に書き入れた。
1人減ったアドレス帳を身ながら
ふ〜っと、大きくため息をついた。
私、来月からアメリカへ留学するの」
彼女から突然その話を聞かされた。
「どっ、どれぐらい行っているの?」
ボクは、やっとの声で彼女に聞いた。
「期間は、1年もしくは2年になるかも」
「大学の方は?」
「一応、休学届け出すけど、
もしかしたらそのまま辞めちゃうかも」
彼女は3年になってから、旅行雑誌の編集社で、アルバイトを始めた。
最初は、事務で入っていたが、取材に駆り出されることが増え、次第に、編集の仕事が楽しくなっていき、
写真の勉強をしたいと話してくれたことがあった。
「残り、1年じゃない、卒業してからでもいいんじゃない?」
ボクは、父親が言うような情けない台詞をはいた。
「それも考えたのだけど、今、やりたいんだよね、
1年たっちゃったら、今の熱が冷めてしまうかもしれないもの」
ボクが彼女とつきあい始めた頃から
いつも彼女はそうだった。
「ねえ、今から横浜に行こうよ」って、
午後からの授業をさぼって出かけたり、
「今、怖い夢を見たの、これない?」
って、夜中に電話をかけてきたり・・・
今回の留学にしても、ボクにとっては、“寝耳に水”
この間、
「来月の私の誕生日は、どこか行こうね」
って言っていたばかりなのに・・・・
彼女は、自分の誕生日の日に飛び立って行ってしまった。
あれから、そろそろ2年になるだろうか、
ボクの方からは何度となく手紙を書いてはいたが、
彼女からは、“盆暮れ正月”のごとく、
たまに、絵はがきを1枚
「今、ここにいます。」
程度の短い手紙が届くだけ。
それが先週、突然、彼女から手紙が届いた。
10月24日、そちらへ帰ります。
そしたら、会おうよ。
たった2行の短い手紙。
絵はがきの中の彼女は、青空の下で満面の笑みで。
10月24日の今日、
彼女が空港から電話をかけてきた。
「今、空港に着いたんだ」
「これから会おうよ」
「なんで、キミはいつも、そう、急なんだい?」
ボクは、ちょっと怒り気味で返事をした。
少しの間、無言が続き、ボクは何となくばつが悪くなって、
「ゴメン、今のは少し言い過ぎたよ」
と、ボクは、電話向こうの彼女におじぎをしながら謝った。
すると、彼女がぽつり、
「今日、私の誕生日なんだ。
誕生日の日に会おうよって約束していたから・・」
電話先の彼女は、なんか、涙声になっていた。
「うん、わかった、今から迎えに行くよ」
ボクの中の止まっていた時計が、ゆっくり動き出した。
絵本
「お母さん、このご本読んでぇ」
私は、小さい頃、母さんの隣に自分の枕を持っていき、よく絵本を読んでもらった。
母さんは、
「またぁ〜」
といいながらも、にこにこ顔で布団を開いて私を招き入れてくれた。
私は、青い帽子のネズミと赤い帽子のネズミの出てくるこの絵本が大好きで、
毎晩、この本と枕を持って母さんの枕元に行った。
絵本を読んでもらうことも好きだったが、
本当は、母さんといっしょに眠ることが大好きだった。
「あおいぼうしのねずみとあかいぼうしのねずみは・・」
母さんが本を読み出し、しばらくすると、私はもう夢の中にいた。
“あらっ、もう寝ちゃったのね”
っと母さんが読むのを止めると、
「まだ読んでェ〜」
と私は、寝ぼけながらつぶやいていたそう。
あれから、二十数年、私も母親になった。
今日、娘を保育園に迎えに行くと、
「ママぁ、きょうこれ読んでェ〜」
と、娘が保育園で頂いてきた本を差し出して言った。
それは、あの青い帽子のネズミと赤い帽子のネズミの絵本だった。
冷たい雨
日中、あんなに天気が良かったのに・・・
夕方から雨に変わっていた。
会社を出たときには降っていなかったのに・・・・
車窓を流れる雨を私は、少し恨めしく見つめていた。
と同時に会社に傘を忘れた自分を責めた。
駅に着くと、濡れるのを覚悟して家路へ向かった。
冬の雨は、とても冷たい。
体がどんどん冷たくなってくるのがわかる。
いつもの道程が今日はとても長く感じる。
少し足早で、家路を急いだ。
頬をつたう雨は、なぜか少ししょっぱい味がした。
家は暖かい
ボクの家は、
両親とも共働きで、学校から帰ってきても家に灯りがついていることがなく、
冬の雪の日、寒い中を帰ってきてもストーブが付いていることはなかった。
学校から帰ってすぐにやることは、ストーブに火を付けることだった。
当時のストーブは、今のストーブのように、スイッチ1発で点火ではなく、
マッチで火を付けるものが一般的だった。
そして、ストーブに火が付いてもひんやりとしていた部屋が暖かくなるまで
ずいぶんと時間がかかっていた。
だから、ボクは自分の部屋から毛布とマンガを持ってきて、
ストーブの前に丸くなっていることが多かった。
部屋が暖かくなってくる頃、
「ただいまぁ、今ご飯の仕度をするからねっ」
と言いながら、母さんが仕事から帰ってくる。
そしてすぐに夕ご飯の仕度をするため、休むヒマものなく、台所に立っていく。
しばらくすると、食卓に何種類ものおかずと真っ白なご飯、みそ汁のよい香りが
ぼくの鼻をくすぐる。
「父さんは?」
「父さん、今日も残業で遅くなるそうよ」
「だから二人で先に食べていましょう」
「いただきま〜す」
母さんと二人だけの食事。
母さんの料理は、何でも美味しい。
その中でも、“肉じゃが”がボクの大好物だった。
でも、いつも何かが足りないような気がしていた。
一つだけ空いたイス・・・
あれから、ボクも家族を持つようになった。
世の中、長引く不況でぼくも残業が続く日が多い。
それでも今日みたいに、たまには定時に会社を
出ることが出来るときがあるだけ、ぼくは幸せな方だろう。
“今日は早く帰れそうだよ”
先ほど、携帯で家に電話を入れた。
今日も雪。傘をさしていてもコートの袖口には雪が積もり、鞄を持つ手が冷たい。
あの角を曲がると我が家が見えてくる。
ほんのりと灯りが光っているのが見えた。
「ただいまぁ〜」
と言いながら玄関を開けると、
「おかえりなさ〜い」
と、5歳になる息子と
3歳になる娘が向かい出てきてくれた。
そして、台所からも
「おかえりなさい」
と優しい、妻の声が聞こえてきた。
袖口の雪がす〜っと床に落ちた。