出産編…当日のことを思い出して書いてます。長いけどおつきあいください。

<再び入院>

 なんだかんだいいつつ、 紅白もしっかり見て、お節を食べて、
 静かなお正月を満喫してしまった。
 初詣では、細い神社の参道にお腹がつかえて歩けなかった(笑)。
 
  元日から おしるしらしきものは出続けていたけど、
 フーもクーも 相変わらずの元気ぶり。胎動も収まる気配なし。

 ここで一つの心配事が浮上。 
 このままでは、1月6日にはU一郎の年末年始休みが終わってしまう。
 さすがにもうこの頃は一人で立ったり座ったりするのがかなり難しくなってきていて、
 お腹の重みに耐え切れず、家事もままならない。
 どーしよう。 また入院させてもらう? と夫婦で話しあって出かけた1月4日(金)の定期検診。
 
 エコーの検査を終えても 診察台から起き上がれなくなっていた私を見て 先生が一言。
 「とうとう動けなくなっちゃったね。 急にお産になってもそれじゃあ大変だから
  入院しておく?」
 その先生の声すがりつかんばかりに お願いして、
 そのまま入院することになった。
 今度の入院では、住み慣れた長期入院患者用の部屋ではなくて、産婦さん用の部屋に入ることになった。
 ここでうれしかったのは、ベッドが電動でリクライニングすることと、部屋の中にトイレがあること。
 動く度に
股の骨に激痛がはしって、寝起きもトイレも苦痛だった私には、
 この2つがあるだけで とてもありがたかった。

 38週4日目。 ふたごの出産予定日は 単胎でいう38週目にあたると聞いていたけれど、
 ワタシはもう4日過ぎていることになる。
 ふたごのいる子宮の筋肉が伸びきっているから、陣痛がつきにくい、ということもあるらしい。
 
 お産がはじまるきっかけづくりをしていきましょうか、ということで
 軽めの陣痛誘発剤を飲むことになった。 
 1日3回の服用。
 ドキドキしながら飲んでみた。
 飲んでしばらくは定期的な張りがやってくるけれど、時間とともに遠ざかってしまう。
 フーもクーも ドコドコドコ動きまくっている。
 どうやらあんまり効かないみたいだねー なんていいながら、
 部屋の中にPS2を持ち込んで、U一郎と一緒に 桃鉄をやったりしていた 不届き妊婦だった。

 <その日がきた>

 あけて5日。5時ごろトイレに起きると、窓の外にはきれいな朝焼けと真っ白な霜。
 冬の朝らしいすがすがしい景色にいい気分になりながら、 
 「今日生まれたら 15年の1月5日(イチゴーイチゴー)でゴロがいいなあ」 なんてのんきに考えていた。

 そして朝食後、入院してから3錠目の誘発剤を飲んでから、先生の診察を受けた。 
 昨日と変わらず あいかわらず子宮口は2cm開きのまま。
 「昨日と同じだね。まあ もうちょっと様子みようか」 「はーい」 と笑顔で先生と別れて部屋に戻った。

 何時にU一郎は来るかなぁ などと ぼーっとしながら、
 「呼吸法の練習でもしとくか」 と テキストに書いてある通り 
 子宮口が開くイメージで大きく深呼吸すること2回。
 ぶつっ ぶつっ。

 お腹に奇妙な感覚がはしった。
 んっ? なに!?
 そう思った瞬間、お腹がどーんと痛くなった。
 「うをー なんじゃこりゃー」 と思うぐらい、強い痛みが唐突に始まった。
 
 ちょうど朝の薬を飲んでから30分後のことだったので、
 薬が劇的に効いてきたのだと思っていた。
 でもあんまりに痛いので 痛みの間隔を測ってみたら 5分ごと。
 陣痛ってはじめは10分間隔なんじゃないのー!?
 だからコレは違うかもしれない、などと思っていた。


 ちょうど朝のモニター検査の時間だったので、
 お腹が痛い旨を告げたけど、いつもどおりの検査になった。
 自由に動けると痛みもまぎらわせやすいけど、
 ただ上向きになって 装置をつけているのが かなりツライ。
 痛みが来るたび、声が出てしまう。
 「薬ってすごいなー」 なんてまだノンキに考えていたら
 お股のあたりに しめった感覚。 何かが出てる?
 それでも横になったまま動けないから よくわからない。

 尿漏れだったら恥ずかしいけど、もしも違ったらマズイ! と思い
 モニター検査が終わってすぐ、助産婦さん(Y田さん)に その旨を告げた。
  「じゃあ念のためね」 
 Y田さんが リトマス試験紙みたいなものを ナプキンにあててみたら 
 ピンクの紙が青色に変わった。 アルカリ性?
  「あら、破水してるわ」 
 
 げっ! じゃあ あの ぶつぶつっ てのは破れた感覚だったんだ。
 「じゃあ ちょっと様子を見てみましょうか」と声をかけられたので、
 分娩室へ歩いていった。(注:内診がしやすいから 空いてるときは けっこう使われているのです)

 このときは まさかこのまま お産になってしまうとは、
 夢にも思っていなかった。
 午前10時、分娩室に入った。
  
 <いざ分娩室>
 分娩台に上がろうとしたら、とたんに じゃじゃ〜っ とお股から温かいものが足をつたった。
 やっぱり ほんとに破水していたんだ。 それにしても まるでおしっこをもらしちゃったみたい。
 何十年ぶりの感覚に、つい笑ってしまった。
 
 
 内診してもらったら、子宮口は4センチ開いているそうだ。
  「大丈夫。 子宮が薄くのびきってるから、あっという間に開きそうね」 と助産婦さんは言った。
 どうするのかなーと思っていたら、このまま分娩台の上にいなきゃいけないらしい。
 その頃にはお腹の痛みは3分間隔になっていて、
 痛みが来ると冷や汗が出てくるようになってきた。 
 さすがに陣痛だろうということがわかった。 そこに看護婦さんが一言。
 
  「ダンナさん、立会いですよね。連絡しておきますから。
  そろそろ会陰おさえ してもらわなくちゃね」

 えーーーっ!? もうそんな状況なんですか??
 初めてのお産は1日以上かかるもんだと思っていたのに

 どうしよう。
 コンタクトレンズ入れてない。
 お産のときは、眼鏡じゃなく コンタクトで臨みたかった。
 ビデオに残っちゃうじゃない。 眼鏡じゃ かっこ悪いよ。
 朝起きたまま 髪もぼさぼさだし、どうしよう。 どうしよう。

 痛いながらも どうでもいいような (でも大事な)ことを考えていた。

 でも 痛かったんです。ほんとに。
 
 この産院では、出産立会いが原則で、
 お産が進んでくると、陣痛の痛みをやわらげるのに、
 立ち会う人と一緒に呼吸法と 会陰(えいん)押さえ(マッサージみたいなもの)をする。
 でも肝心のU一郎は まだ来ない。
 10時には来ると言って前の日帰ったのに。
 30分以上遅刻じゃん。 
 
ばーろーばーろー役立たず。
 
 それからどのぐらいかわからないけれど、
 白衣を着たU一郎が分娩室に入ってきた頃には
 私はすっかり 陣痛に耐える妊婦 だったんだと思う。
 U一郎の慌てた表情を見て そう思った。
 あまり会話を交わす間もなく、
 U一郎は 看護婦さんからテニスボールを持たされて、会陰押さえを実行。

 呼吸に合わせて、お股(まさに 会陰) にボールを押し付ける。
 そうすると あら あら あら。
 不思議と陣痛が少しまぎれるんですね。
  妊娠中、講習会に出た頃はは 「ほんとかよ」 と半信半疑だったけど 
 本当だった。 先生、疑ってごめんなさい。

 どのぐらい 会陰押さえをしたか。 
 この頃のことは けっこう時間の感覚があいまい。
 そのうち スタッフたちが 口々に 「 エピ、 エピ 」 と言い出した。
 なんだろう? エピ?  
 エピレディって脱毛器具があったよな。脱毛すんのかな。 ちょっとはずかしいな。
 
  なんてもーろーと考えていたら、どうやら いよいよ麻酔をするらしい。
 ほどなく、まん丸顔の院長が現れて、U一郎は分娩室から出された。
 
 硬膜外麻酔という 文字を見るからに痛そうなこの麻酔は、
 背骨に管を通して入れる麻酔。

 だから 麻酔をするには 背中をまるーくしなければならない。
 そんなこと言われたって、このデカ腹じゃ むりーっ! と思いつつ
 できるだけ体を小さくする。 
 その姿勢だけでも苦しいのに、その間も 痛みはやってくる。 
 会陰おさえしてないから 今度はまともに痛みがくる。
 針を入れるから 動かないでね と 背後から声がする。
 そんなん無理じゃーっ!

 それから麻酔が効いてくるまでの間 声も出なかった。
 麻酔の注射自体は 陣痛の前にはそんなに痛くなかった気がする。

  しばらくすると 足がぽかぽかしてきて、あら不思議。
 あれだけ感じてた陣痛が やわらいできた。
 あら あら あら。
 U一郎が 室内に戻ってくる頃には 
 さっきまでとは打って変わって けろりとした私。

 それからはしばらく2人で のんきにおしゃべりなどしていた。
  「ビデオのバッテリー大丈夫?」
  「うん、ばっちり 。いつごろ生まれるんだろうね」
  「夕方かな。夜ぐらいかな?」
  
「そろそろ (実家の)お母さんたちに連絡入れようか」 
  「まだ早いかもしれないけど、そうしてくれる?」
  
 本当にノンキな会話。 
 12時30分。
麻酔ってすごい。 

 助産婦さんが再び現れて 子宮の様子を確認。
 「あらっ まあ !」 びっくりした声が聞こえた。
 何事かと思って尋ねたら、どうやら 子宮口が全開大に近いらしい。
 ………
 ……
 …
  全開ということは もう生まれるということなのでしょうか。
 
 え、そんな。心の準備が。
 U一郎は あわてて病室に戻って この日のために買ったデジタルビデオを取ってきた。
 看護婦さんたちも
 「え、もう!?やっぱ 双子だからかなー」 
 「もう開いちゃったんだ、すごいねー」などと言いながら ちゃかちゃかと何か用意しだした。
 そうこうするうちに、助産婦さんが 手術着のような緑色の服に着替えてきた。
 
 わ、本当にいよいよなんだ。
 もうすぐ会えるんだね。苦しいだろうけどがんばろうね。
 もうこうなってくると、無事に生まれてくれることだけを考えていた。
  

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