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さて、今夜ご紹介するのは、ファニーワールド最大にして、最も美しく、かつ機能的な都市であり、そして今世紀最大の事件が起きてしまった悲運の都市、クリスタルシティ です。この都市は、その名の示すとおりクリスタルのように輝いているマイヤー帝国の首都で、都市の人口はおよそ百万人程度です。しかし、地下のスラムに住んでいる人たち も含めると、潜在的な人口は200〜300万人程度であろうと言われています。また、都市が輝いているのは、高層建築に貼り付けられたクリスタルが、都市上空を覆うエネ ルギーフィールドの光を反射しているからで、夜になってもぼんやりと明るいことから「不夜城」とか文字通り「眠らずの都市」という別名で呼ばれる事もあります。ロマンチ ックでいいのですが、僕は明るくて夜眠れなくなるんじゃないかなと思います。都市の周囲には、高さ数十メートルにも及ぶ防御壁がぐるりと建設されていて、その中にも街が あり、人が住んでいます。防御壁は12ブロックに分割されており、それはすなわちサジタリウス、カプリコーン、アクエリアス、フィシズ、アリエス、タウロス、ジェミニ、 キャンサー、レオ、ヴァルゴ、ライブラ、スコルピオです。また、都市自体も同様のブロック分けがなされていて、上空から都市を見下ろすと、輪切りにしたレモンかグレープ フルーツのように街がブロック分けされているのが分かると思います。もっとも、都市のエネルギーフィールドが上空を覆っているので、街区を見分けるのには苦労するかもし れません。 これだけの巨大都市ですから、ご紹介すべき街区(ブロック)、通り(ストリート)、建築物、お店、人物等がたくさんあるのですが、私マルク・マンハイムが、独断と偏見 で選んだ最もお気に入りの場所をご紹介いたします。それは、超高層ビルの上に建設された(実際には、建設されたと言うより、設置されたの方が正しいようですが。)屋上遊 園地です。この遊園地、ファニーワールド中にチェーン店というか、チェーン遊園地を持つ大企業です。社長で城主のファーレン氏は謎の多い人物で、彼が何者でどこからやっ てきたのかを知る者はいないそうです。彼が、メビウス回廊の向こう側の世界からやってきた人間である、というまことしやかな噂も囁かれております。それどころか、世界中 に散らばったチェーン遊園地は、実は一つの空飛ぶ島から降りてきたものであり、ファーレン氏はその島ごとメビウス回廊を通ってきたのだとも言われております。しかし、現 在王立魔道院がブラックホールを観測した結果によると、メビウス回廊の幅は予想以上に小さく不安定なため、列車程度の断面を持つ物体しか通過することはできないだろうと 言われています。また、先程の話と重複するのですが、この遊園地はこの世の終焉が近づいた世界に現れて、人々に最後の楽しみを与えた後、また別の世界へと旅立ってしまう のだとも言われております。不思議なお話ですね。ちなみに、この遊園地で、私マルク・マンハイムは、シュバイゲンにある魔道の学園のヒロイン、カレン・アイゼナッハ嬢と 遊びに来たことがあります。そのときの様子は、ファニワ第4話「Cloud(下)」をご覧ください。 それでは、早速遊園地に行ってみましょう。…おっと、残念ながらお時間のほうが残り少なくなってまいりました。ということで、今夜はここまで。次回をご期待ください。 では、良い夢を。
2002/5/26(日)
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今夜の夢列車プロキオンの旅はここまでです。では、良い夢を。
2002/5/25(土)
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第2夜「シュティル・シュバイゲン(その2)−魔道学園−」
こんばんは。夢先案内人のマルク・マンハイムです。プロキオンで行こうよ!第2夜の旅の始まりです。今夜は先日の続き、シュティル・シュバイゲンをご紹介いたします。
(詳しくはファニーワールド・マップをご覧ください。)ケヤキの並木道をずっと上っていくと、その建造物はあります。入り口の大きな門には、バラの花が這わせられていて、職人さんがすごいのか魔道の力か分かりませんが、ほ とんど一年中バラの花を見ることができます。赤いの、いや真紅といいましょうか、サーモンピンク、黄色、白、それらの色が混じったのと、訪れる人の目を楽しませてくれま す。もっとも、こんな山奥の怪しい建造物群にやってくる人は、ここの関係者以外いないと思うのですが。そう、ここはマイヤー帝国で最も有名な魔道の学園なのです。王立魔 道院に入りたかったら、ここの学園を卒業しなければならない、とまで言わた有名な学園なのです。僕も、銀色三日月の見える不思議な頭痛の治療のため、この学園のスタイン 先生のもとに滞在していたことがありまして、カレン・アイゼナッハさんとはここで知り合ったのですが、それは余談です。この学園は、もともと山頂にあった古代遺跡を利用 していて、中央の広場から東西南北に道が伸びていて、南に向かうと駅の方向ですが、その道の両脇には石造りの建造物群がずっと並んでいます。また、恐らく当時の見張り塔 か、連絡塔だと思うのですが、尖塔が立っていて、今では先生方の研究室になっています。 「マルク君、ちょっと来て。いえ、すぐに来てほしいの。」尖塔内部に配置されているくだ、声を伝える管なのですが、そこからアイゼナッハ嬢の切羽詰った声が聞こえてき ました。よいしょっと。尖塔のてっぺんで星を見ていた僕は、リクライニングのついた椅子から飛び降りると、螺旋階段をぐるぐると下って、彼女のいる研究室にやってきまし た。こつこつ、カレンさん、マルクです。どうしたんですか?「あ、マルク君、早く、これどうにかして。」がちゃりと研究室の扉を開けた時、僕の目の中に飛び込んできたの は、部屋いっぱいに広がるうねうね動く植物と、その植物にからまっているカレンさんでした。な、んですか?これは?「研究していた植物なのよ。ちょっと成長促進剤の調合 を間違えたみたいなの。いえ、ひょっとすると、触媒か、ベースが悪かったのかも。」と、言っているカレンさんの体には、どんどん植物のつるが巻きついていました。僕は、 すばやく室内に入ると、彼女の体にまとわりついている植物を引っ張りました。「ちょっと待って、マルク君。大事な研究材料なのよ。なるべく傷つけずに、ビンの中に保管し ておきたいわ。」と言った彼女が指差した先にあったのは、直径15センチ、長さ50センチくらいのサンプル保存用ガラス瓶でした。………どう見ても入らないでしょ!これ 全部は!!「お願いね。」それから僕は、朝までかかって彼女の体に巻きついた植物を慎重に引き剥がしました。運良く異常な成長の加速がストップしてくれたので。えぇ、瓶 の中にはなんとか詰め込みました。でも、瓶を開けたときにプシュっという音がしたのが気になります。それと、さっきから聞こえてくるザザザという音が………。いつの間 にか、のんきに眠ってしまっているカレンさんを起こすと僕は言いました。カレンさん、植物を保存瓶にいれたんですけど、もともとあの瓶に何かが入っていたんじゃないんで すか?「んー」寝起きでちょっと機嫌の悪そうな彼女は言いました。「スタイン先生が調合した新しい製品の失敗作が入っていたみたいよ。人体には影響が無いそうだから使お うと思って…、スタイン先生の言葉が信じられないの?」彼女は、ちょっとむっとした表情で言いました。そうですか。僕が気になっているのは、人体への影響のあるなしじゃ なくて………。「ところで、さっきからガサガサとうるさいようだけど、何の音かしら?」僕達は、音のする天井のほうを見上げました。天井には、体長5センチくらいの、黒 くツヤツヤとした羽を持った、立派なアレの大群がうごめいていました。それから1週間、スタイン先生の尖塔、研究室では、男性職員及び研究生による、徹底的な大 掃除が行われたということです。 今夜の夢列車プロキオンの旅はここまでです。では、良い夢を。
2002/5/18(土)
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第1夜「シュティル・シュバイゲン(その1)−街の様子−」
今日のレコードが静かに終わって、明日のメロディが流れ出すとき、夢の特別急行プロキオンはメビウス回廊を抜けてあなたの銀河へやってきます。あなたは、しおりの挟ま
った分厚い本を抱えて、プラットホームに一人たたずんでいることに気がつくでしょう。さぁ、ページを開けてみてください。そこから昨日の旅の続きが始まるのですから。こんばんは。夢先案内人のマルク・マンハイムです。プロキオンで行こうよ!第1夜の旅の始まりです。どうぞ、お気に入りの音楽を聴きながらおくつろぎください。さて、 今夜は私の住むマイヤー帝国南の地方の駅、シュティル・シュバイゲンをご紹介いたします。ちなみに僕の出身地ノインツェンは、その地方の南東にあります。(詳しくは ファニーワールド・マップをご覧ください。) シュティル・シュバイゲンは、大陸横断鉄道のローカル線の駅です。帝都クリスタルシティから南のスルーザー合衆国へ向かう本線に比べると、列車の本数も少なくて利用客 もシュバイゲンの魔道学園の学生がほとんど。通学用列車と言ってもいいくらいです。でも、銀色のボディに赤い流星マークの特急マゼランも走っているんです。ノインツェン 方面から帝都クリスタルシティに向かう列車に乗っていくと、緑の大海原のような草原地帯を通過して、(風にたなびく草原が本当に海のように見えるのですが)その草原を越 えると、ぽつりぽつりと茶色い屋根と白い壁の家が現れ始めます。線路際に言葉をしゃべる不思議な看板が立ち並ぶ場所があって、もちろん魔道の看板なのですが、その看板を 過ぎるともう少しでシュバイゲンの駅に到着します。 さて、駅周辺には魔道学園の名にふさわしく、魔道具を売っているショップが、けやきの並木道をはさんで立ち並んでいます。切妻破風の店先には、独特の看板が掲げられて います。マイヤー帝国では、古くから店特有の看板を作る風習があるんです。そちらの銀河で言うところの、家紋みたいなものかもしれません。その看板、一目見て何を取り扱 っているか分かるものや、天使や虎や竜など、看板を見ただけでは何のお店なのか分からないものもあります。冒険者会館などは、猛禽と猛獣が合成されたキメラが看板となっ ていて、勇猛果敢な冒険者が集まってくる場所にふさわしい看板と言えるでしょう。それから、駅前にある数少ない喫茶店の一つは、学生たちの憩いの場であり、また恋人たち の集まるお店の一つになっています。広い店内の中央にカウンターがあって、そこでマスターが自慢のコーヒーを入れたり、フルーツジュースなどを作っています。また、通り に面してテーブルと椅子が並んでいて、季節に彩る街の様子を眺めることが出来ます。天井にすえつけられたスピーカーからは、マスター自慢の異国のレコードコレクションの 音楽が静かに流れています。また、カップとお皿が触れ合うかちゃかちゃという音や、友達同士で話し合う声を聞いているとぼんやりとして眠くなること請け合いです。不眠症 の方に最適かもしれませんね。それから、店の奥の区画、観葉植物によって仕切られた区画は、恋人たちのエリアとなっていて、別にそういう決まりはないのですが、恋人たち が寄り添いささやきあったり、見つめあったり・・・です。実は、僕も学園のヒロイン、カレン・アイゼナッハさんと、待ち合わせに利用した事があります。本当は、駅前の噴 水のある広場で待ち合わせしても良かったんですけど、一度入ってみたかったんです、ここ。ちなみに、アイゼナッハさんと僕が恋人同士かどうかは内緒です。 けやきの並木道をずっと登っていくと、有名な魔道の学園があるのですが、そこの紹介はまた今度。今夜の夢列車プロキオンの旅はここまでです。では、良い夢を。
2002/5/12(日)
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