入院1〜7日目
今まで何のトラブルもなく、順調にすくすく大きくなっていた卵。ところが妊娠後期ある日とんでもない事が起きてしまいました。時は1999年、春。
1日目 午前中、近所の公園でピクニックを終えて帰宅する途中、くしゃみと同時に水が流れる感触。
破水かと心配になったので直ぐに病院へ連絡した。
「来院まではタクシー等を使い出来るだけ身体は横の体勢にし、
病院入口で車椅子を借り職員に押してもらって下さい」と看護婦さんに脅かされる。
別に脅している訳じゃないけど今までそんなに安静する事態に遭遇した事がなかったから、
怪獣母、少々びびり気味。心配する怪獣父を家に残し病院へ向かう。
「破水ではないですね」の先生の一言でホッとしたのもつかの間、
何やら先生同士ヒソヒソと密談しているではないか。
そして先生から出たセリフは「破水ではありませんが緊急入院していただきます」。
人生初めての入院は手術を伴なった、しかも「緊急」のおまけつきだった。
入院の理由として、
1 子宮口が開き気味 ←絞まりが悪かったんだな
2 頚管長(子宮口付近)の不足 ←日本女性の平均は5〜7cm、怪獣母3cm
3 子宮内の胎児が下がり気味 ←しかも逆子、キックされたらもう未熟児
これらが重なったためとか。実はこの事がおこる前週に怪獣母は病院を転院していた。
前の病院からの経過書にはこのことは記載されていなかったようで、
この病院では怪獣母の詳細な経過は伝わっていなかったのだ。
早産にならない為に子宮口をしばる手術(シロッカー)を受けたほうがいいと説明された。
通常、このような手術は妊娠中期までに施すが、引継ぎに問題があったので今になってしまったそうな。
何はともあれこのことを怪獣父に知らせねば。でもなんて言うかなぁ。
「入院するの?」と不安がってたのを「大丈夫!大丈夫!」と言いくるめてきたのになぁ。

病院の公衆電話で家にかけてみた。事情話した。口論となった。話し合った。
数十分後、怪獣父は怪獣母から言われた必要なものを持って病院にやって来た。

それから直ぐに点滴が開始される。これはお腹(子宮ね)が張って、
陣痛と同じ状態にならない為の「張り止め」の点滴。これを退院する数日前まで24時間し続ける。
トイレに行くのもコイツといっしょだ。この点滴の針をさすのが研修医。
お供につれているのは新人の看護婦さん。何度も何度もヒトの手首に針をさすが一向に上手く入らない。
あまりにも時間が掛かっているので副婦長さんが様子を見に来る。それを見て不安になる怪獣母。
大丈夫かねぇ。ちなみに緊急入院のあとはトイレと歯磨き以外は安静という退屈が待っていたのでした。
2日目 午後1時から8時(だったような)までが面接時間。
今日は怪獣父が怪獣母の好物であるプッチンプリンを持って来てくれるはず。
今か今かと病室のドアが開くのを待っている。夕べは不安と寂しさと点滴の為の動悸で眠れなかった。
そう、慣れていない人が(慣れてもイヤだけどさ)この「張り止め」の点滴をすると動悸がするのだ。
なので夕べは点滴の落ちるスピードを遅くしてもらったのに動悸は増すばかり。
「苦しいようならナースコールしてね」と言われてもどうもコレを押すには勇気がいるのよね。
同じ病室に入院している妊婦さんのほとんどが怪獣母と同じ原因。
参考までに怪獣母の病名(?)は切迫早産です。中には切迫流産と切迫早産を体験している人がいて
妊娠中、家に帰ったのは1週間だけであとは全て病院のベットの上だって。
機械付きの点滴もしてるし、どうりでエラソーな訳だ。やたら先生や看護婦さんに詳しいし、
患者さんの症状にも詳しい。
「あなたの手術、私もしたけど手術後のほうが大変なのよねぇ」、
へぇへぇ。これからお前さんを”元締め”と呼ばせてもらうよ。
はやくプッチンプリンこないかなぁ・・・じゃなくて早く帰りたいなぁ
(あれ、怪獣父は?)
3日目 段々コイツ(点滴)にも慣れてきてトイレに行くのもスムーズさ。
点滴を落とすスピードだって調節できちゃうんだぜい。
ここで怪獣母のコイツと”元締め”のアイツの違いを説明しよう。怪獣母のコイツには機械がついていない。
点滴を落とすスピードを調節するには管に付いているダイヤルを上や下に回す。
すると管が絞まったり緩んだりしてスピードを調節するのだ。
方や”元締め”のアイツには機械がついている。袋に付いているんじゃなくてぶら下げている器具に付いている。
これに何分間でどれだけの点滴を落とすかとか、何時間で落としきるとかの設定が出来る。
当然コイツよりランクは上だろう。しかしアイツにも弱点がある。
それは高度な技を使えるかわりに電気を必要とするのだ。
病室にいる間はベッド脇のコンセントに充電も兼ねてプラグを差しておく。
だから病棟端にあるトイレに行く時には延長コードを何本もつなげて行く・・・ことはなく、
プラグを抜いて点滴がぶら下がっている器具だけをお供にすればいいのだ。
でも充電が不十分だったり、他の病室なんかで喋りこんでいると「ピロピロッ!ピロピロッ!」と
警報が鳴ってしまう。便利なようで不便なアイツなのであった。
だがこんなアイツと組むとは知るよしもなかった。(大げさな…)
4日目 あ〜、さっぱり〜♪ 緊急入院でシャワーもあびれなかったから、さっき看護婦さんに洗髪してもらった。
入院後は安静だったのでもちろんダメ。背もたれが後ろに倒れる美容室みたいなイスに座り、
洗髪とタオルドライをしてもらう。貧血気味の怪獣母は仰向けではなく、
できれば前かがみがよかったがお腹を圧迫するので却下された。
気持ち悪くなったが、さっぱりできたから良しとしよう。
でも「退院まではシャワー浴びれませんよ」の一言で落ち込む怪獣母でした。
夕方、明日の手術で麻酔医を担当する先生と面談。
今までの病気やアレルギーについてとか、手術に使う麻酔についてとかを話す。
今回は下半身麻酔なんだって。
今ままで手術は執刀医がとても重要な仕事をするんもんだと思っていたが、麻酔医もとても重要らしい。
特に脊髄麻酔は経験浅い麻酔医だと難しいみたい。背骨と背骨の間にうつの? ちょっと不安になる。
5日目 本日11時から待ちに待った(?)手術です。
昨夜9時から断食し、怪獣父自署の「手術承諾書」も用意し、ムダ毛の処理も(ワキではありません)完了し、
太い針がついている手術用の点滴(そのままでは痛いので点滴の針をさす為の麻酔注射も受ける)も施され、
麻酔が良く効く薬を筋肉注射され、術着にも着替え、手首に血液型が書かれているベルトをはめられ、
準備万端、相整いました。
ストレッチャーに乗り手術室へ移動です。部分麻酔とは言え初めての手術で怪獣父も怪獣母も緊張気味。
手術棟の入口で怪獣父とはお別れ。彼はTVドラマのように廊下をウロウロして待つのだろうか。
ちょっと見てみたい♪
怪獣母の方はまず処置室で今まで乗ってきたストレッチャーから処置室のストレッチャーに乗り換える。
お腹が大きい為かこれが結構大変。
えっちらおっちらと移動が終わったら今度は術着を脱がされシーツをかけられる。
そしていよいよ手術室へ。はじめて見た手術室はまさにTVのセット。
真ん中には手術台、左右には色んな機器と器具、天井には丸いライトが十数個ついている大きなライト。
まさに手術室! なんか感動してしまった怪獣母、「へぇ〜」と思わず言ってみたり。
そしてまたストレッチャーから手術台に移動する。
えっちらおっちら、おっとシーツがずれてオッパイが見えちまったぜい。
移動し終わると腕や心臓に脈拍計と心拍計の吸盤を付けていく。
それが終わるとこの手術で一番イヤ〜な麻酔注射をされる。
「背中を丸めて」と言われてもお腹が邪魔でこれ以上は無理そう。
「もっと丸めてくれる?」、で…できまへん。「ちょっとチクっとするよ」、来るぞ来るぞっ、いだいー!!
麻酔が効いたかどうか確認した後、約15分で手術終了。しばらく様子をみるため処置室で休む。
今度は看護婦さんが2人がかりでストレッチャーに移してくれた。
手術自体はつらくなかったが麻酔が効いている下半身がだるくてだるくて仕方がない。つらいじょぉ。
さっき別れた場所で怪獣父とご対面、ほっとしてる様子がわかる。
廊下ウロウロしたのかな…下半身がだるくてもやっぱり気になる。
病室に戻り、まだ麻酔でだるい下半身と、尿管に入っている管と、いつもより多い種類の点滴とで、
手術したんだなぁって実感。麻酔で感覚のない下半身は体温調節も不十分なので電気毛布をかけられる。
でもやはり感覚がないためか一向に熱く感じない。怪獣父が足をさすってくれる。
これからガス(おならね)が出てたら重湯が飲めて、数日後に尿管が取れて、
まだ歩行禁止なのでトイレはベット脇のポータブルトイレで用をたして、
また数日後にトイレまでの歩行が許されて、
またまた数日後には張り止めの点滴から張り止めの錠剤になって、様子をみて退院かな。
ほんとうに退院できるのかな。早く帰りたいよぉ(涙)
6日目 一昨日の夜から何も食べてない。麻酔で腸の動きも鈍っている為ガスが出るまで食事はおあずけ。
なのに同室の人たちは美味しそうにご飯を食べている。う〜ん、いいにほい♪
でた!でた!ガスがでた!これで重湯が飲める!!ようやく夕食に重湯が飲める。
水分もとれなかったからたかが重湯でもとっても美味しい。あ〜しあわせ♪
7日目 本日の食事はお粥オンパレード。
朝食、3分粥
昼食、5分粥
夕食、全粥
お粥って飽きるよね…うぇっぷ。