設計

ついに建築家との打ち合わせの開始である。
実際その人の作品は非常にセンスの良い物ばかりで当然デザインに関しては文句はなかった。
だが気になっていたのはやはり仕様である。
自分が求めているような仕様で尚且つセンスも住み心地も良い物でなければ
建築家に頼んだ意味がない。
そこでこちらが頼んだ要望を紹介しよう

1、全て無垢の木の構造材の家(桧の柱、杉の梁)
2、断熱材は硬質ウレタン系を使用
3、浴室はユニットでなく造り付け
4、明るいキッチン
5、屋根つき濡れ縁がほしい
6、ゲストルーム兼PCルームがほしい
7、翌年2月までに引渡し

等である。
他にも細かい事は沢山言ったがとりあえず大まかな事はこのくらいだった。
そしてK先生はそれらを承諾し早速設計に取り掛かるという事になった。
というのも年回りの関係でかなり時間が限られており普通なら
設計に半年はかかるところを異例の3ヶ月くらいでやらなければならなかったからだ。
K先生は元々じっくり時間をかけてやるタイプだったらしく(後で工務店の人に聞いた)
かなり急がせてやってもらう形となった。
我が家の為に急がない依頼主のところはしばらく待ってもらうという形までとっていたようだ・・・。

そして工務店はというと話は早かった。
というのもA工務店の紹介で行った家がK先生の作った家だったわけだから面識もあるA工務店ならば
話も早いし仕事も丁寧。しかも一度捕まえた客を逃がすわけにもいかないだろうという考えで

「A工務店がいいんですが・・・」

と、言ってみるとK先生がよく使う工務店がA工務店だったらしくちょうど良い話となった。
実際その後A工務店としては自分のとこだけでやってもらった方が良いだろうから当然電話があった。

「K先生通すのなら設計料もかかるし安くはならないよ。」

と言われたが

「安くするというより本当にK先生の家が気に入ったからやるんです。予算に関してはA工務店さんの頑張り次第ですよね?」

と少々意地悪に言ってみた。が、それは同時によろしくお願いしますよという念押しでもあった。

そうして待ちに待って一ヶ月程した時、K先生からプランができたという連絡があった!
ついに!ついにかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
どれだけその日を待ち望んだ事か知れない。変だったらいくつでも作ってもらおう。
喜び勇んで打ち合わせに赴きできあがった3つのプランを見せてもらった。
すると・・・・

良い・・・・
どのプランもシンプルながら非常に細かいところまで考えられており
窓の位置や通風等も良くできたプランであった。
これが本物の設計士の作る家なのかと感心してしまった。
3つプランがあってとりあえずどれかに絞ってほしいと言うことだったので
その間取り図面をいただきとりあえずその日は帰った。

1、正方形プラン
2、横長プラン
3、超横長二階LDKプラン

の三つであった。
どれを見ても魅力的なのだがその中でも気に入ったのが超横長二階LDKプランだった。
昔の長屋のようなそのプランは土地の形状にも合っており非常に好みであった。
だが二階LDKはちょっと抵抗があり、夏場の暑さや便利性でやはり一階LDKの方がいいと思い
次の打ち合わせ時にK先生に超横長で一階LDKのプランを作ってもらうよう頼んだ。

そうして一階LDKのプランもができた。
ほぼ文句無しである。その時に簡単な模型も作ってくれていた。


↑模型 コレが欲しかった・・・・

軒高を抑えることによって全体的にどっしりとした形になり横の広がりを強調している。
同時にコストも抑えられるとK先生は言っていた。
実に自分好みのフォルムである。
ただの総二階の家なのになぜかっこよく見えるのだろう・・・・

その間取りの中には要望にいれていた濡れ縁もゲストルームも明るいキッチンもあった。
間取りもいくらか修正し(高くなるような事ばかり言った)本設計に入る事になった。








待ちに待った本設計の図面。ついに打ち合わせの日も決まり、事務所に赴いた。
机の上にバサッっと広げられた図面。
今までのラフな間取り図とは違い事細かく記載されてある。
しかもこのk先生。このPC全盛の時代でありながら手書きの図面なのである。
それがまた味があっていい。というか手書きでここまで綺麗に書けるのが流石というべきか。

そしてk先生は仕様について話をしてきた。まず、内壁。
内壁に至ってはリビングや玄関などは基本的には珪藻土を使用し子供部屋や納戸などはプラスターボードのままだった。
というのも依頼する時に、当然超ローコストにしなければならないのはわかっているので
子供部屋等はどうせ汚れるのだからプラスターボードのままで良いとこっちから言ったのだ。
なぜそういう発想が生まれたかと言うと当然自分で考えたわけではなく元はと言えばk先生の造った
「黒い家」 この家の寝室がプラスターボード(以下PB)だったのである。
ただ、PBと言ってもビスで打っていたのではさすがに見栄えが悪い。
そこでk先生は黒い家で真鋳釘を使用し、更に綺麗にフラットになるように施工するようにしていた。
そうすることにより予算を抑えられ、汚れても将来的に上に珪藻土等の仕上げをすることができ、
尚且つPBは調湿効果もあり、見栄えもそれなりに見えるという、一挙両得の物なのだ。
よって人目につかない納戸やこれから育ち盛りの子供達が必ず汚す子供部屋等はPBのままにしたのである。
当然これには全く依存はない。これで予算が抑えられるのだから万々歳だ。

次に断熱材。これについてもこちらの要望通り、スタイロフォームの50ミリを壁にも屋根にも使用していた。
この点については特に問題はない。

次に浴室。浴室を半分ユニット型にすれば上半分にタイルなり桧なり貼れるしコストもかなり抑えられるという
事で半ユニット型をすすめてきた。だがこれはやはり見た目が安っぽくなるので全タイル浴室でお願いした。
あと、洗面やキッチンも造りつけでお願いした。キッチンについては当初システムキッチンを提案していたが
建具とかは無くてもいいから(対面式のためリビング側からは見えない為)作り付けでお願いしたいと申し出た
ところ、それならばかえって安くなるかもと言う事でタイル貼りの造りつけキッチンとなった。

そして屋根は何がいいかと聞かれたので、以前より曲げる事は無い釉薬瓦でお願いした。
これには何の反応もなしに許可された。やはり瓦が良いと言う事だろう。

サッシに関してはやはりかなりローコストに抑える為、普通のシングルサッシとなる。
ペアガラスにしたかったが、k先生の家は大体シングルを使っている。造りつけの木製サッシを多用してるとこが
多いのだが他のアルミサッシもシングルが多い。基本的に木の家の為、結露の問題等は大体回避できるようだ。
これはローコストの為、妥協する部分であった。また、後から知った事だがペアガラスも6ミリと12ミリのものがあり
12ミリなら効果があるが6ミリのものだと効果は1割程度という話。下手にペアガラスでも6ミリならばあまり意味がなく
かえって無駄にハイコストになる可能性もあるというわけだ。

そして最後に問題の外壁・・・・・。
ここでk先生はとんでもない事を言い出したのである。
「波板にしたい」
波板!!??波板ってあのトタンの????
そう、まさにあの波板である。素材はガルバニウムかカラー鉄板ということで、k先生的には
カラー鉄板の方が安価なのでそちらでいきたいという意向ではあった。
だが素材よりも鉄板の波板を使って果たして格好の良いものができるのだろうか?
また色は黒系ということで夏場の暑さなどは防げるのだろうか?と数々の疑問があった。
夏の暑さに対してはk先生いわく波板の形状を利用し、通気層を設け熱い空気を軒裏から排出するという
方法を取ると言っていた。
にしても本当に暑くないのか?意匠的に問題はないのか?と思い、
ネット等でカラー鉄板からガルバニウムの事まで調べまくった。
そこで素材についてはほぼ把握した。
カラー鉄板は赤錆十年保証。アルミ合金を5%含んでおり10年は錆の心配は無いと言うものだ。
耐摩カラーGLというガルバニウムベースの鉄板についてはアルミを55%含んでおり塗膜10年保証という
優れもの。耐久性においては普通のモルタル吹き付けやサイディング等より高い事がわかった。
そこで最近ではガルバニウムの外壁を使っている家は人気がありこれからもかなり普及するであろうという
とこまではわかったのだが多いのはやはりシルバー色
黒系の鉄板外壁はあまり見つけられない。そしてやっと同じ鉄板外壁の黒(カラー鉄板)で家を建てたサイトを
発見した。ちょうどその家はその家を作った建築家自身の家で早速メールをし、夏の暑さは大丈夫かどうか聞いてみた。
するとその家は寒冷地にあり、寒さの厳しい地方では凍害に強い鉄板外壁はいいだろうが
暑い地方には向いてないのではないか?という答えだった。もしするのならばなんらかの工夫が必要だろうと
言うものだった。
そこで諦めずに更に調べ上げ、ついに気候的に同じくらいの地方の人が黒の鉄板外壁(耐摩カラーGL)を使用
しているHPを発見したので掲示板で質問することにした。
するとその人の家は ロックウール75ミリ+通気層で全く問題ないと言う。
それを聞いてやっと鉄板外壁でも安心することができた。
あと、意匠的な問題については写真やネット、もしくは仕事で走行中に同じような黒の鉄板波板外壁の建築物を
見たが渋いテクスチャでなかなか良いものだった。縦のラインが思ったより綺麗で使いようによっては
かなり格好の良いものになる予感がした。

という事で鉄板外壁の不安もなくなり本設計は着々と進み、自分も気になる事は毎回いくつも質問していったが
全て納得のいく答えが返ってきていた。
この頃から「この先生に頼んで本当に良かった」と真に思えてきていた。
こちらもワガママも聞いてくれ、更に先生が良いと思った事はドンドン盛り込んでいってくれた。
濡れ縁に屋根も最初は無かったのだが、どうしても欲しいと言うと「お金がかかるけど・・・」
と言いながらも付けてくれることになった。
更に屋根も断熱材だけだったのだが通気層もつけることになった

そして最初から調べていた断熱材に一つの疑問が浮かんだ。
自分は最初からロックウール等を毛嫌いしていたが調べてみるとそんなに悪い物でもない。
有害物質もほとんど出ていないし断熱効果も厚みをもたせれば十分すぎるほどある。
湿気の問題も最近のロックウールは防湿層でカバーしている為、施工さえちゃんとすれば問題ない。
やはり一番の問題は湿気の為、施工の問題ではないかと考えはじめた。
セルロースファイバーや硬質ウレタンしか使っちゃ駄目だとまで思っていたがコスト的にも高いし
果たしてそこまで違うものなのか?と思い、施工の丁寧なA工務店ならば問題ないのではないかと
思い出した。実際不良が多かった時代もあるロックウールだがそういう時代があって尚且つ今の時代に
残っているのだから逆に経験を積んで品質事態は安定してきているのではと考えたのである。
そこでk先生にその旨を伝え壁断熱のみロックウールに変更することになった。

k先生も忙しい中、自分が急いでいるので打ち合わせも頻繁に行ってくれた。
そしてさまざまな問答を繰り返しながらついに設計がまとまった。
後はA工務店に見積もりをお願いするだけである。

k先生は「普通に考えてこれを予算内でというのはかなり無茶な話だから、いっつも高い家ばっかりやってるんだからたまには
安くしろって言うよ」

とかなり強引かつ計算的でない方法だが実際はそれが一番効くのかもしれない・・と思った。
そして見積もりを依頼し一週間がたった・・・・

k先生より電話があり見積もりが出たので打ち合わせをしましょうとのこと。
電話の時点でもう待ちきれず金額を聞いてみた。
すると・・・

「いい数字が出たと思います」

朗報である!その次の日に打ち合わせに行き細かい金額を教えてもらい見積もりをもらった。
金額的にはオーバーしているがわずか20万程であった!
しかも地盤改良はもうすこし値引きできるし削れるとこも数箇所あるということで予算内も十分射程距離内であった。
更に予算には入れてなかったエアコンも一台分含まれていた!

A工務店はかなりがんばってくれたようである。そして予算調整の打ち合わせを何度か行い、
わずか一万円オーバーというところでA工務店と工事請負契約を結ぶこととなった。
今でも信じられない!本当に予算内で納めたのである。オーバーした一万は最初に言ってなかった
こちらのワガママ分か数多く含まれた一万である。
テレビ等を見ていても大体、予算を大幅オーバーしているがこのk先生は見事に成し遂げたのである!!
まだ竣工までに色々変更点もあるだろうが大幅なオーバーにはならないだろう。

本当の設計のプロの実力を前に自分はただただ感謝するしかなかった・・・・。



そんな我が家の仕様(工事中)

屋根 和型釉薬瓦
軒裏 杉板(一等)
外壁 耐摩カラーGL(小波)
基礎 コンクリート打ち放し

構造材
土台 桧105角
柱 通し120角 間柱105角
梁 杉KD材

内壁
珪藻土塗り ジュラックス塗り PBのまま
床 
桧15_フローリング