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思いBOX
このページでは特にミュージアムエデュケーションに関することを中心に僕自身が考えていることをつづっていこうと
思います。ひどく直感的なこともふくまれます。僕自身はこんなことを考えている、僕自身はこんな風に考えた、僕は
こんなことをしたいと思っているということを きままにつづっていきます。
ご意見等いただければと 思っております。
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連携ということで思うこと

美術館や教育の場、地域で連携ということばが盛んに使われています。
僕自身も、現在の美術教育を進めていく中で 必須な観点でもありますが、
とはいうものの連携も ともすれば 安易なつながり 便利な関係ということになりがち
この文章は、2000年に1999年に茨城県近代美術館で行ったワークショップを茨城大学教育学部と連携して行ったことについて記したものです。
大学との連携について−美術館の側から−
今回のワークショップでは、茨城大学教育学部と茨城県近代美術館が連携して事業を企画実践した。同地域の教育機関と文化施設が互いの特質を活用し引き出し合って地域の子供たちや家族らに造形の楽しさを伝えていった。美術館のワークショップという場での大学の活躍は頼もしく、特に参加した子供たちや家族は、最前線のスタッフとなった学生たちに親しみをもち好感をもって受け入れていたことは印象的である。又今回の事業は、文化庁が主宰する美術体験事業として全国で実施する事業の一つだが、実施後各事業体が集まり行った発表では、この美術館と大学の連携の具体的事例に対して関係者から大いに興味をもたれ今後の地域文化活動の一つの脈路との指摘も受けた。地域で開催する事業を組織が連携して推進することは、結果として参加者等に充実した事業を提供する一つの方策ともなり、今回のワークショップはそのようなケーススタディの一つとなったと思う。
連携を相互にとっての良い経験とするためには、結局係わる者が愛情や熱意を持ち事業にあたり、相互のコミュニケーションを重視し進めることに尽きると思う。しかしこの経験を今後さらに展開していく上では、漠とした愛情や熱意だけでなく、連携者相互の位置づけや取り組み方等でいくつかの調整は必要である。そこには組織上の問題として解決すべき点もあろう。ここでは連携して事業を推進する上で、特に美術館側からの立場として、留意すべき点を述べたい。
まず連携という仕組みを、当事者の事業を成就させるための安直で便利な手だてとして直截に算段するべきではない。一般的な現況からみれば、美術館等の文化施設は慢性的に人手不足に悩み、事業予算の削減に喘いでいる。また大学等の教育機関も新たな教育法の活路を見いだそうとしている部分があろう。美術館側からすればの、教育機関で学ぶ学生は安心して労働してもらう対象として十分であり、また彼らの日常の教育において学習してきた基礎的な学力も当てにできる部分でもある。だがこのことを単純にスタッフの安定供給等の解決のために期待することは、ともすれば学生自身の溌剌とした学習を妨げたり、無賃のアルバイトの手配という奇妙な事にもなりかねない。
連携して行う事業や連なる授業や研究活動を、計画的なプロジェクトとして行うことも必要である。事業への相互の乗り入れが互いの中の意義を確かなものにするためには、たとえばその場しのぎで子供の世話をするというような対応をもたらしてはならず、参加する各自が、何故現状の労働をしたり討議を行っているかの意味を把握ができることは大事だろう。
さらに計画的なプロジェクトとしての位置づけに基づいた中で、参加する学生が、美術館の担当や大学の指導教官と同様に、独立した個を確立して活動する必要があるだろう。例えば企画案の提案や現場での参加者への指導法などを討議する場合に、それぞれが有する感性や経験から生み出す提案などについて、美術館の担当や指導教官は指導的な立場で捉えるべきではない。それは、学生達の潜在する能力をある枠の中に活かすのみになってしまい、ともすれば学生の受け身的な対応にも連なり、結果、連携の形骸化を生むことにもなるだろう。
そして連携的にプロジェクトを実施することにおいて、大学が連携に対する授業や研究の成果は、事業結果の正否と別の評価軸をもってあたるのは当然であるが、事業の主体者となる美術館側もまた事業そのものに対するマネージメントと同様に、事業を推進していく過程についてそのものも別体の事業観として捉える必要があり、過程に対する成果を求めることを忘れてはならないだろう。
紙面の都合で詳細に及ぶことはできぬが、地域の中で、文化や教育を担う組織や施設が連携しあい、その幅を広げていくことは、結果として地域の中での文化や教育の活躍に繋がっていける手段として有効と思う。しかしその為には上述したような留意すべき点を連携を企画する者がよく配慮していくことが必要と思われる。最後に、今回のワークショップでは、この連携に関係しながら大学4年生が卒業制作として今回のワークショップの広報宣伝物デザイン制作に取り組んだ。これは、学生にとって社会に密接した中でのデザイン学習を取り込んだ卒業制作であったとも言える。事例は連携の中では付帯的なことかもしれぬが、美術を志す学生が美術館との連携の関わりを通してこのような試みをしてくれたことは美術館側の担当者としてたいへん嬉しいことであった。学生が美術館の事業を自分なりに研究し、事業の魅力を対象となる子供や家族に自らのデザイン制作という視点で解き明かすことに努めてくれたからだ。ともすれば、もっとも美術館離れが顕著な世代である大学生が、このような連携を通じ、美術館という場を自らの学習の展開の場としてくれた事例の意義は大きい。
(茨城県近代美術館普及課主任学芸員 山本哲士)
美術館等の教育普及活動の連携についてお考えのある方はご連絡くださーい。
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