新米おばあちゃん




 私は母を45歳でおばあちゃんにした。
21歳で産んだ娘は、私ほどには早熟でなくほどほどの年齢で結婚し、ほどほどの年齢で母親になった。

  もともと私は、適齢期を制限しているわけではない。
私の結婚適齢期は、娘のそれよりかなり早かったけれどそれが良かったか、それとも悪かったのか という事は、 私が人生を終えてもわかることではない。
その人一人ひとりの人生だから、本人が今だ! と思ったときが適齢期。

  ということで、私が三人目を産んだ年齢のいまが、娘にとっては子育ての適齢期になっている。

  母よりも3歳老いて (?) おばあちゃんになった私だが、このみが産まれるまでは、決しておばあちゃんを 喜んでいたわけではない。戸惑いながら、これも仕方のないことだよね と自分に言い聞かせ、おばあちゃんになる 心算をしてきた。
それは、だんだんとお腹の大きくなる娘を間近に見ていなかったことも原因していると思う。

  二月中旬、大きくせり出したお腹の娘を見て、ああ、この子は母親になるんだなぁ と実感した。
自分の妊娠期間を思い出し、娘の行動と重ねた時とんでもなく時代の移り変わりを感じた。
これはむやみに口を出さない方が良いな、そう思った瞬間だ。

  本人は実家に帰って (母の元に来て) もっと気楽に家事労働や妊娠中の不安から逃れられる、と思っていたらしい。
しかし、朝早くから夜遅くまで帰ってこない母親の元では、気持ちが安らぐどころか母親の働き過ぎを心配すること のほうが多かったようだ。しかし、そこは親子と言えどもお互いにおとなの関係だから、口に出すこともなく私がひとり 暮らしのときよりも楽しく過ごせるように気配りしていたように思える。


  さて、新米おばあちゃんは産まれてくる初孫のためにおくるみを編もうと決心した。
毛糸では洗濯が大変だし、4月末の出産なら綿糸のほうが夏も気楽に毛布代わりになるだろう とペールグリーンと ホワイトの綿糸を買ったのが年末。娘は男の子を産むもんだ と勝手に決めていた。
昼休み、通勤途中に編み始めたのだが、どうにも睡魔に負けてしまう。
加えて、私には根気というものがほんの少ししかないようで、小さなモチーフを編みためて大きなおくるみを作る、と いう計画は身の程知らずだったらしい。
  娘が到着したときには完成しているはずだったおくるみが、モチーフ十数枚しかできておらず失笑を買った。

そういう娘だって、キルティングでおくるみを作るんだと年末に言ってきたのに、未だ30%も完成していないそのセット を持参していた。
しばらくは、娘の作品には手を出すまい と思っていた私だが、どうにも自分の予定しているおくるみが完成の陽の目を 見ないのではないか と思えるようになると、こそっと、キルティングのセットを広げてみた。

  娘の許可を得て、ハートと四葉のクローバーの柄のベビーキルトに手をつけたが、どうにも気に入らない。
キルティングに初めて挑戦した娘の下準備では、物足りないものがあったのだ。
もう一度許可を得て、中心以外の模様をすべてほどき、放射線状に、そして縦横にしつけをし、再度挑戦することになった。

  それでも、なかなか進まない。
お気楽な私は、娘が入院したらそのときに仕上げればいいさ、と簡単に考えていた。
結局我が家で一夜、病院で一泊二日かかった出産で、妊婦共々疲労困憊してしまった私は 赤ん坊が生まれても仕上げることが出来なかった。

  母と、 私の姉妹を集めてのお七夜が済み、お宮参りの前夜、徹夜をしてやっとこさ仕上げたのが、娘と共同作業の しあわせのベビーキルト。こちらは、私の手元にはお宮参りの時の画像しかない。

  次に作ったのが、外出用の帽子。
だんだんと外に出る機会が多くなり、もともと色黒のこのみをこれ以上黒くしては、というばばの優しさ (?)。
編み上げることをあきらめた綿糸で、娘の希望も聞きながら帽子を編みあげたがこちらは二日かからなかった。

東京ディズニーランドに行ったときには、この帽子を被っているがはっきりとその形状はわからない。。。


  百日の記念にはスタジオに行って仮装大賞並写真を撮り、たくさんの思い出を残して八月下旬、 娘とこのみは中国にまた旅立った。

  六ヵ月を過ぎ、間もなく七ヶ月になるこのみは、お座りをするようになり下の歯も生えたらしい。
少しの間は、たっちもできるようになったと今日のチャットで教えてくれた。
電話をかけると、受話器を渡すまではあ〜あ〜と一生懸命お話をしている。
受話器を耳にあてがわれ、私の声が聞こえ始めるとじっと黙って聞いている。どこの家庭でも一緒だろうが、映像 で見るととてもほほえましい光景だろう。

  来年一月には、あちらの正月休みということで家族三人で私のところに遊びに来るそうだ。
久しぶりのこのみは、大きくなって重たいだろうな〜 
今度はお菓子も買って食べさせることができる。あんまり甘やかさないように、気をつけなければいけないな と いまから思う、おばあちゃんでした。



2003.11.13