変身!



  いつの頃からか、私は僻みっぽくて自分の不幸を数え上げる人間になっていました。
う〜ん、富士フィルムに入社し、定時制高校に入学して二束のわらじを履くようになってからなのかな・・・

  私って不幸なのよ〜
だってね、小さい頃おばあちゃんに可愛がられたけど、そのせいで母親に疎まれて、姉や弟にも嫌われて・・・
姉は学習塾、弟は英語塾、妹は珠算塾に行かせてもらえたのに、私はどこにも行かせてもらえなかったのよ・・・
結婚してからだって、他所のうちに上がるな、長電話をするな、人の車には乗るな なんて、うるさく言われて・・・
信じられないでしょ! 我ながら、よくこんな生活を我慢していると思うのよね〜


  友人たちにそうぼやいては同情を買い、ひとり悦に入っていたのです。

その頃は、いろんな意味で不幸でした。
そして不幸のど真ん中にいることが、自分を認めてもらう一番の方法だと信じていたと思います。

  そんなある日、徳島新聞の読者のメッセージの中に、まるで私が書いたかのような文章を見つけたのです。

  初恋の男の子に夢で会い、とっても幸せな気分でいるときに限って目覚ましがけたたましく鳴る。
でも、目覚める瞬間のあのとってもほんわかとしたしあわせな気分を思うと、一日がとても楽しい・・・

  思い切って彼女に手紙を出しました。
私と同い年で、ご主人と一緒にブティックを経営していました。
何度か会い、食事もし、かなり親しくなりました。
彼女は、ある時期から耳の聞こえが悪くなっているので、、大きな声で話してね、と私に言いました。

 一緒にいるときは、かなり大きな周りの人が振り返るほどの声で私は話をしました。
けれど、彼女は私の話を聞くよりも、話すことの方が好きだったようです。
実際、ご主人や息子さんに対しても、会話ではなく彼女からの一方通行の話で生活が成り立っていたようです。

  どうして、彼女はちゃんと私の話を聞かないのだろう?
そう考え、はたと思い当たったのが次のようなことでした。
これは本当に傲慢な私の一部分です。

  彼女は人の話を聞こうとしないから、だから聞かなくても良いようになったんだ!

そこまで考えたとき、背筋に冷たいものが走りました。

私はどうなんだろう・・・?
ちゃんと話を聞いているんだろうか?
不幸な話ばかりをみんなに聞かせて、それで満足しているけど、それで本当に良いのだろうか?

  不幸なのよ、と嘆いているけど、不幸だというから周りのみんなが大変ね、とかがんばるのよ と声 をかけてくれる。
それを認めてもらったと勘違いして喜んでいるのが私・・・
みんなは、本当に私を可哀想と思っているの? 大変だと思っているの?
ひょっとしたら、私と自分を比べてああ、竹田さんのような人生でなくて良かった と胸を撫で下ろし ているのではないのかな?

  他人の不幸は蜜の味 という言葉があるけれど、本当にその通りだと思います。
彼女に比べると、私なんか幸せなほうよ、そんなことで満足したこと ありませんか?


  それがなんだか 悲しくなりました。
そしてその時から、不幸を数えることを止めよう! とこころに誓ったのです。

  すごかったですよ〜
不幸を数えているときは、次から次から不幸がやってきていたのに、しあわせを数えるようになったら しあわせしかやってこないのです。


  例えばこんなことがありました。
団地の近くにスーパーがありました。そのスーパーへ行くには、いわゆる車道のほかに、農作業をする人 用に細い道があったのです。
自転車でも徒歩でも、私たちは近道にもなるその農道(?)をいつも利用していました。

  帰りが遅くなり、あわてて買い物をして農道に自転車を進めたらなんと軽トラックが道を塞いでいました。
ちょっと! こっちは急いでいるのに! 参ったな〜 と思いつつも、本来ならここは私たちが通る道では ないのだし、仕方ないか・・・ と待つ姿勢になって間もなく、軽トラックのおばちゃんが
「すまんな、ねえさん。これでもあがってつか・・・」
と立派な白菜を渡してくれました。

ありゃりゃ・・・ 申し訳ないな、と思い、私もきちんとお詫びとお礼を言いました。

  そのことで私はとってもしあわせな気分になり、おばちゃんを恨みがましい目つきで見てなくてよかった と ほっとしました。 


  同じような、こころの持ち方でいくらでもしあわせを感じることができるんだな、という経験をたくさんしました。
子供のことでも、仕事のことでも、ちょっとした考え方の違いで、気持ちはまるっきり反対になってしまうのです。

  つい先日は、10時のお茶の後、沸騰ポットに水を入れようとして左太ももにやけどをしました。
いつも薬は持ち歩いているので事なきを得たのですが、作業ズボンはびしょ濡れだったので通勤にはいているジー ンズに替えました。
その日の作業は鋼材を切断する仕事だったので、オイルのついた丸パイプやL型鋼でかなりジーンズが汚れてしまいました。

  参ったな〜 今日はついてないや! と正直思いました。
でも次の瞬間、
「このジーンズはもう、長いことはいているよね。そろそろ 次のジーンズを用意してもいいんじゃないかな?」
そう思い当たったのです。まだ 充分にはけるけど、白っぽくなってすそもほつれてきている・・・

よし、今日はジーンズを買いに行こう! 
ちょうど夕方からの仕事がおやすみで、しかもダイエーの優勝セールなら2割引とお買い得になっていました。
  ポットの水が新しいジーンズにつながりました。



『災い転じて福となす』 という言葉がありますが、いつのときも、失敗を不運をどうすれば成功に、幸運につなぐことが できるかな と考えるようになりました。
だって、せっかくのチャンスですもの! 上手に乗り切らないともったいないですよね〜

ぜひ一度 試してくださいね。



2003.10.28