my pregnancy

Jan. 1999

生理が遅れて2週間。まさかと思いながらも妊娠判定検査をしてみる。説明書には1分間と書いてあるのに、すぐ2本目の線が見え始めた。 思えば、色々妊娠の兆候と思われる症状があった。胸が張って、いつも何とも言えないムカムカが続いた。左下腹部にチクチクと感じたり、疲れやすくなった。でも、どれも妊娠に限った症状ではなかったから、明日は生理が来るかも、と一日延ばしにしてきたらあっという間に2週間が経っていた。日本でだったら、ここですぐ産婦人科にかかるんだけど、実は貧乏な留学生の私は、保険を買ってなかった。アメリカは一部の低所得者を除いて、州が保険に関わっていない。自分の収入、健康、欲しいサービスによって保険会社や保険内容を選ぶのが普通だ。学校でも保険を買えるが安い代わりに本当に緊急の時まで病院にかかれないようになっている。お金を払って保険を買っても病院にかかれないなら、買わなくってもいいや、とお金を少しでもセーブしたい私は保険を買ってなかった。妊娠をしてから保険を買おうとしても、この妊娠はカバーしてくれない。手段としては、韓国に行くか、日本に帰るか、又はアメリカで実費で出産するしかないと思われた。もう一つの問題は、私たちはまだ結婚してないという事。そして韓国の両親は私の事もほとんど知らない状態だった。日本ではできちゃった結婚なんてよくある話になってしまったけど、韓国ではまだまだ信じられない話。特に息子を信じて育ててきた両親にこんなニュースを伝えるのは、息子として最大の親不孝だと言っていた。挙げ句の果てには、今回はあきらめようか、という話にまでなっていた。でも、どうしてもあきらめたくなかった。なぜか、どうしてもこの子は生まれてこなくちゃいけないような気がしてならなかった。

Feb. 1999

はっきり、答えが出ないままさらに1週間が過ぎた。私たちの間にはいつも重い空気が流れてた。新しい生命が芽生えるという嬉しい出来事なのに、こんな悲しい気持ちにならなければいけない事がとっても悲しかった。考えても、考えても何も知らない韓国の両親に、日本人である私とのこと、そして妊娠の事を伝えるのはほとんど無理なような気がした。どうやって切り出し、両親に理解してもらえるか、検討がつかなかった。

そんな時、アメリカ人の友人から、保険がない人のための無料で受けられるサービスがあると聞いた。それに申し込めば、妊娠から出産まで無料、又は少額で病院にかかれるというのだ。「留学生の私でも?」と聞いたら、「あら、あなたのStatusは関係ないのよ。生まれてくるCitizen の赤ちゃんの健康を守るためのサービスなんだから。」と教えてくれた。電話番号もすぐ調べて教えてくれた。

この事をPoohに言うと、「電話してみて。」と・・・。すぐに電話してみた。Social Workerの人が出て、私に色々質問した。住所、電話番号、SSNなどなど。そして、まず妊娠の確認をするために指定の機関で妊娠検査を受けてきて、その後インタビューがあるからそちらに電話して予約を取って、と電話番号とその人の名前を教えてくれた。本当にこの妊娠・出産が何とかなりそうな兆しが見えたようで、Poohも私も気持ちが少し明るくなった。「産もうか。(両親には)時間がかかるだろうけど、話せば分かってくれるよ。もう30才になる息子だよ。子どもの一人も居たっておかしくないよ。」と言ってくれた。「この子は神様に守られてるんだよ。」

教えられた機関に妊娠検査を受けに行った。中には何人か待っている人がいた。その半数はTeenager。問診表を書きながら、これで何回目だ、とか持ってきたスナックを食べながら友達と一緒にふざけてる。かなり待たされた後、尿の検査に呼ばれた。尿を取って、また待たされる。その後、ワーカーに呼ばれて、個室に入った。私が妊娠している事を告げた後、どうしたいか聞かれた。どういう意味か、ときいたら「中絶したいのか、養子に出したいのか。それともKeepしたいの?」と言った。「もちろんです。産んで自分で育てるつもりです。」と言ったら、用紙に妊娠である事と、予定日を記入して渡してくれた。予定日は925日。これはあくまでもおおざっぱな予定日だから病院でまた聞いてね、と言われた。25日だったらいいな。Poohと同じ誕生日だ。

Mar. 1999

インタビューの日がきた。パスポート、ビザ、I-20Bank  statementそれから家の公共料金の領収書などを持ってくるように言われていた。その建物の中には、いろんな人がたくさん何かを待っていた。教えられたように、中にある電話でワーカーの人に到着した事を伝える。数分して、中から私の名前が呼ばれて、そのオートロックされるドアの中に入った。中には、それぞれの個室で、インタビューらしきものをしている人が何人か見えた。私も個室に案内され、まず、長いPaperに必要事項を記入するように言われた。基本的情報から、住居内の人数構成、所有する財産・車に関してなど。様は、私の所得が一定ラインより下である事を証明するためである。その後、ワーカーの人と一緒に書類を確認し、コピーを取ったりした。そして10日以内に、講習を受けてサインをもらい、それをワーカーに送り返したら私のApplicationは受領されて2週間後位にはBenefitが受けられるとの事。

渡されたスケジュールに沿って、数日後に講習を受けに行った。朝の7時!でも仕方ない。Poohに送ってもらって講習の場所へ行った。講習と言っても、ビデオを見るだけ。それも30分もかからない短いものだった。とにかくサインをもらって、その日のうちにワーカーに送った。

単純計算しても、今の私は13週位になってる。今の今まで、判定薬で確認しただけ。正常妊娠なのか、赤ちゃんは育ってるのか、何も確信がないのは本当に心細かった。一日も早く病院に行って、先生に「問題無いですよ」と一言言ってもらいたかった。

もうすぐ2週間が経つという頃、留守電にワーカーからメッセージが残っていた。カードは後日届くと思うけど、Benefitはもう有効だから、病院に行ってもいいですよ、との事。飛び上がるほど嬉しかった。以前、教えてもらっていた何人かの先生の中で、中国系の名前の先生がいたので、その先生のクリニックで予約を取った。予約は1週間後。

初めての受診の時、私はもう15週に入っていた。Poohと一緒に、ちょっと緊張しながら待合室で待つ。すぐに診察室に呼ばれた。アメリカの病院は診察室も個室。付き添いも一緒に入っていい。Poohと一緒に部屋に入ると、看護婦さんが私をトイレに連れて行き、中で体重をチェック。尿の取り方を説明して、終わったら部屋に戻って待っててね、と言った。しばらく待ってると、小柄な男の先生が入ってきた。やさしそうな先生。最初に内診をして、感染症の検査をした。それから、「じゃ、赤ちゃんの心臓の音、聞いてみようか。」とドプラーを持ち出した。私の下腹部にマイクを当て、すぐに規則的な音が聞こえた。看護婦をしていた私には良く聞き覚えのある音。でも自分のお腹から聞こえてくるのは、ものすごく変で、感動的だった。びっくりしてたのはPooh。最初はそれが心音だとは分からなかったそうだ。まだ外から赤ちゃんがいるようには見えないお腹から、心音が聞こえてくる事で、Poohはショックでその後ご飯も喉を通らなかった。先生は「Very Strong」と言ってくれた。

Apr. 1999

その後、Medi-Calで義務づけられてるという事で、看護婦さんとAppointmentを取った。私の嗜好、生活習慣などについて聞かれた後、何枚かのプリントを渡されて、栄養指導や健康管理についての説明を受けた。様は、簡単な個人の母親学級みたいなもの。ほとんどは知ってる事だったが、アメリカならではの、日本では聞かれないような注意やその逆もあったりで、興味深かった。そして、最後にスクリーニング検査の説明書と申込書を渡された。これは35才以下と以上に分かれていて、妊娠18週頃までに行う先天性疾患の有無を調べる血液検査だ。「これは任意だから、受けるかどうか決めて今度の妊健の時に持ってきてね。受けるのなら次の妊健で血液を採るから。」と言われた。説明書には調べられる疾患の名前と説明が並んでいた。もちろん、これで全ての先天性疾患が調べられる訳ではない。血液検査で異常が認められた場合は、超音波検査など次のレベルが待っている。私はもちろん、受ける事にした。何でもできる事はしておいた方がいいと思った。

4月に入ってまもなくのある夜、ベッドに横になったとたん、下腹の方で泡がポコッとはじけるような感触を感じた。え・・・?!これって、まさか胎動!!??とベッドから起き上がった。もう何も感じない。気のせいだったのか、腸が動いたのか、でも胎動だと信じた。Poohにおそるおそる言ってみる。「えーまさか、まだ動かないだろう!きっとお腹がグルグル言ってるだけだよ。」と信じてくれなかった。そう言われるとそうなのかなぁ、と自分でも自信がなくなる。

でもその1週間後に、またポコッと感じるようになった。今度はもっとはっきり、しかも頻繁に。それはくすぐったくって、なんとも変な気分だった。Tiggerは朝の10時ごろきまって動くので、授業中くすぐったくって独りでにやけてしまっていた。

19週の妊健。私のお腹もだいぶ膨らんできた。体重も驚くほど増えていた。つわりはあったけど、吐く事はなかったので、食べたらその分増えるという感じだった。スクリーニング検査の血液検査を受けて、尿・体重のチェックをした後、先生がドプラーで心音を確認した。また力強い音が聞こえて来た。先生は優しく何か心配事はないか、ときいた。私は体重増加のことが心配で聞いたら、「No problem at all You’re just fine」と言われた。日本の病院と違い、体重についてはあまり厳しくないようだ。来週超音波検査をやるから予約を取って帰って、と言われた。日本では当たり前のように毎回やる超音波をわざわざ予約を取ってやるんだ、と不思議な気分だった。妊娠中に何回位やるのかと思ってたら、後にも先にもこれっきりだった。

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