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朝、たいてい決まった時間の電車に乗って会社へ出かける。
駅から会社までは徒歩12−13分だが、この時たどるルートはそう多くなく、社員はたいてい大通りかそれに並行する住宅地の間の細い道のどちらかを通ってやってくる。
さて、出勤途中、私の脳みそは半分まだ寝ている。
できれば誰にも会いたくないし、勿論しゃべりたくもない。できれば誰にも会わず駅でみかけた中学生の募金活動の是非や、いまだできていないイタリア旅行(5年ほど前)の写真のことや、今晩の献立のことなどを埒も無く考えて歩きたいのだ。
せめて誰かと道で一緒になってもそれが友達や、親しい同僚ならまだよいが、なんの共通項もないのに無視できない隣の部署の部長課長、フロアすら違う顔見知りなどはどうにも話題が続かず気を遣う。
なので、たいていは一言「おはようございまっス(にやり)」とだけ声をかけ会釈しつつ抜き去ることにしている。一緒に歩いたって気まずいのはお互い様なのだ。
ただ、その「抜き去る」には、ある程度双方の歩行速度に差がないとやりにくい。
あくまで私の感覚でだが、「抜き去り」をしたい時、その対象と横一線に並んでもいいのは挨拶しながらの約2秒だと思っている。それ以上モタつくとそのまま同行するハメに陥る危険性が高いのだ。2秒という数字、やや短いと思うフシもあるかもしれないが、どうせ次の一歩を踏んでもまだ対象者から50センチと離れていない(向こうも歩いているからして)。
そのあたりのタイミングで相手も「あーおはよう」と挨拶を返してくれるので、それによって一応の礼儀は果たしたとされ、次なる一歩でやっと完璧に対象者の引力圏内からはずれることができるのだ。
なので、ゆっくり歩いている相手にそれをするのは簡単である。その時だけ少し早足になれば事足りるのだ。ただ、抜いた直後にスピードをゆるめるのはいかにもあからさまで、コレはよろしくない。少なくとも相手から10mは離れてから元の速度に戻すのが礼儀かと思う。相手が突然競争心を燃やして追い上げてこない限りはそのまま気楽な通勤に戻れるだろう。
困るのが自分とあまりスピードの変わらない相手を抜き去りたい場合である。
毎週2?3回ほど、駅から会社までの朝の出勤が重なる同じ部署のオジサンがいるのだが、彼がまさにそのケースで、抜くに抜かれず実のところ困っている。
もともとこちらも冬場は少し早足なので、その状態で抜きにかかるにはずいぶんなスピードが必要なのだが、競歩のようなそのさまは非常に不自然で抜き去り道精神に反する。「抜き去り」はあくまで『一緒に行くのもやぶさかではないのですが歩くペースは人それぞれですので・・・』という残心の精神が肝心なのであって、『一緒に歩くのウザイねん』というところを見せるのはなんだかとっても許せないのだ。
というわけで最近はムダに悩むのをやめて、彼の姿を前方に見かけると可能な限り別の道をサッサと行くことにしている。それでかなり問題は回避されてきたのだが、ここ1ヶ月ほどで突然、そちらの道でも別の同僚と会うようになってしまった。
その同僚は年も若く、まだ話しやすいこともあって、最初に見かけた時抜き去らずそのまま会社までご一緒してしまったのだ。その後しょっちゅう会うことになるとその時わかっていれば、少なくともそんなことはしなかただろうが、今更挨拶だけでさっさと行くこともしにくい。どうしよう、途中までこちらの道を行って1人をやりすごし、四つ角であちらの細い道に行ってもう一方を?あーでもそういう事やると決まってタイミングはかったように両方にぶつかったりするんだよねー・・・・・・・・・。(悩)
などと考え事のネタもつきない通勤風景。目下解決策を模索しつつ彼らの後ろをコソコソ歩く日々であります。
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