目的地へ
進歩と言うものは何でもそうなのだが、子供の成長具合の進歩は本当に「ある日突然」と言う表現がぴったりくる。
昨日までできなかったことが、突然できるようになり、忙しい毎日の中やがてできなかった時の事など遠い昔の事となる。
しっかり目に刻み付けておかないと沢山のことを見逃してしまう。
今日、突然娘が「はいはい」ができるようになった。
それまではうつ伏せから体を後に伸ばし、そして体を起こしてお座りの状態になる、
つまりは「バック」での移動はできていたのだが、前進はまったくできなかった。
何か欲しい物があっても、体を前に倒し気持ちは前に行きたそうなのだが、
バタバタしているうちに体を起こすと後に移動してしまっている。
お座りは早くからできていたのだが、うつ伏せがあまり得意ではなく、寝返りもできる気配がない。
検診でうつ伏せも練習させるように言われてから意識はしていたのだが、それでも寝返りはしない。
お座りのほうは大分上手になり、どちらかと言うと立ちたい欲求の方が強そうで、座ったままピョンピョンはねて危なっかしい。
そのまま少し移動したりして(意識的にではないだろうが)このまま「はいはい」もできずに立ってしまうのではないかと思っていた。
近頃はそんな子も多い、という先輩方の声も聞く。
「バック」で部屋中を移動している間、何とか前に来させようと色々と前方に気に入るような物を置いたりしてもみたが、無駄。
そんな時はほんの一歩手を前に出しただけで「前に出た!」などと喜んだものだった。
それが何故か突然今日前進できるようになった。
初めは2〜3歩だったが、夜にはスピードも速くなり、ドンドン自分の好きな所へ向かって進めるようになった。
昨日までまったくできる様子もなかったのに、自分の力で移動している娘。
見ているとそれだけで、可愛くて、感激で目が潤んでくる。
偶然だけど今日が休みの日でよかった。世紀の一瞬に立ち会うことができたのだから。
ますます娘との時間が大切に思えてくる。仕事で単身赴任するようなことにはなりたくない。
そういう人はすごくもったいない事をしていると思う。是非断るべきだ。仕事より大事な事はいくらでもある。
子供の毎日はうっかりすると見逃しそうな進歩の連続だ。自分から手を伸ばして物をつかめるようになった日。
音の出るおもちゃを自分で振って喜んだ日。右手で持った物を左手に移し変える事ができた日。
段々小さな物も上手につかめるようになってきて、そばにいる我々のメガネを顔から取った日。
「こんなこともできるようになったか!」と思い、小さく産まれて来てピーピー泣いていた初めての対面の日を懐かしむ。
前進する力を手に入れた娘は、お気に入りの物へまっしぐらに進んでいく。実に楽しそうだ。
それまでは欲しい物があっても、態度で主張するしか方法がなかったのに、
今は自分でそれに向かって行けるのだ。これは面白いに違いない。
目的地へ向かう力。これからさらに色んな力を身につけて、どこへ行くつもりかは知らないが
やがて大人になって我々の元から離れていってしまうのだろう。
今日はそのスタートの日。
(2002年2月15日)