KIDS

しましま

 いまではずいぶん沢山の、しかも大体間違えずに、色の名前を言えるようになったのだが「色」という概念を覚えたての頃はあれこれ指差して「これは?」と色を聞く遊びがブームだった。初めは娘が聞いてくる側だったのが、私たちの方から「これは何色?」と聞いては答える遊びに変わり、やがて正解率が上がってくるとちょっと飽きてきて、色以外のものも教えようと思い立った。
 お気に入りのタオルを指差して色を当てたりしていたので、そのタオルを例にとり「これはしましま」「ピンクのしましま」と教えてみた。いきなり属性が2倍となりどうかとも思ったが、しかもこれまで覚えていた「(この)タオル=ピンク」という記憶を否定するのも混乱させるかと思ったのだ。
 同様に「しましま」なものを次々と指差していった。色違いのしましまのタオル。しましまの靴下。しましまのTシャツ。しましまのカーペット。部屋の中には意外と沢山のしましま状のものがあり、思いのほか沢山の例を挙げることができた。
 最初こそ、ストライプだけでなくチェック模様も「しましま」と言ってしまったりしたものだが、だんだんと正答率は上がり、やがて「***のクツシタ、しましま。ママのもしましま」「パパ、しましま(のシャツ)だね」などと使えるようになった。

 しましまを現物なく、言葉で説明しようと思ったらどう言えばいいだろう?しましまの概念は?実際に考えてみるとちょっとすぐには答えられない問題である。色の名前は更なり。子供は与えられた情報を記憶し、自ら分析して、これとこれがしましまであるならこれもしましまでは?と推測していくのだ。色の名前、動物の名前、乗り物の名前…まわりにあふれるものの名前についてはみんなそうなのだろう。小さな頭の中でも結構高度な思考が働いているものだ。

 夜寝かしつける時、バタンキューとなるのはまれで、大抵は歌を歌ったり最近では「ぐるぐるキッチンゴッコ」をしたり、布団の中でしばらく遊ぶのが常である。あまり寝るのが遅くなるのもいけないので、適当な所で寝たふりをしたりもするのだが、先日突然「パパ、おでこしましま」と言われてしまった。寝たふりをしながら考え事をしていたら額にしわがよっていたようだ。それを何と「しましま」とは。
 それから「しましま、なくなって」「しましま、なって」と繰り返し遊ばれる。自分でもよろうとして「しましま、できないよ」とおでこを触っているのがおかしい。そんなのまだまだできないよ。私に似ているとよく言われる丸いおでこを見ながら、父親のしわの刻まれた額を思い出した。父はいくつぐらいからしわがあったろうか。

(2003年12月17日)