浅野の悲劇 戻る
ここでは私の身の上に起こった悲劇をひとつ。
我々が数学を習った頃は「x軸、y軸」を「矢印」で表記してたはずです。その証拠に、私と共に実習を行った学生はもちろんのこと、彼以外の数学教員もみんな座標を書くときに矢印を使っておりました。しかし最近の教科書ではそういう表現はしないらしいのです。ある日、教官からそのことを指摘されました。
教官「君たちはどうしてx軸とy軸の先に矢印をつけてるの?」
浅野「僕等は中学校でそういう様に習ったんですが・・・」
教官「そんなはずはない。じゃあその矢印にどんな意味があるの?」
浅野「『単位ベクトルの方向』を表しているんじゃないんですか?」
教官「?たんいべくとる・・・?」
浅野「だから、要するに、矢印の方向のほうが値が大きくなるって言う意味で・・・」
教官「だったら、反対側にも矢印つけるべきじゃないか。−1、−2、って、数字が大きくなってるんだから」
浅野「・・・。いや、反対側は値が小さくなるじゃないですか。値の大小関係を表すためのものなんですから」
教官「そんなの矢印なんかなくても解るじゃない」
浅野「・・・。いや、でも先生が質問した『矢印の意味』って言うのはそういうことです」
教官「・・・・・・・・」
浅野「・・・・・・・・(じっと教官を見つめる)」
教官「・・・大体、教科書はそんな表記は今まで一度もしたことないよ。調べてごらん」
浅野「え?今まで一度もないんですか?」
教官「ない」
浅野「でも僕等の時代は矢印でしたよ」
教官「そんなはずはない。よく調べてみなさい」
浅野「はあ・・・」
その後、かつて教科書は座標を矢印で表記していた事が判明。
しかし彼との会話を最小限に押さえたかった私はその事実を彼に報告することはありませんでした。
そのほかにも、この会話で彼のレベルの低さを幾つか見出せるのですが、少し数学的な知識を必要とするので省略します。
他にも色々とおんなじような悲劇が毎日起こっておりました。
しかしどれも説明するにはやはり数学の知識を多少なりとも必要とするので、またいつか、気だ向いた時にでもお話します。