薄曇り,星空の下で,
B(♂)とG(♀)が,公園のベンチに座っていた。
恋人になりきれない距離感が,二人をあまりにも凝視している。
そしてその二人,沈黙が続く。
Bはそれを超える事がどうしても出来ないでいた。それ以前に,この沈黙に自分は立ち向かうべきなのか,従うべきなのか,という問いにさえ決着はつかない。答えを探しているうち,沈黙はその重みを加速度的に増していく。
Bは,すぐ隣にいるGの顔さえ見れなくなってしまった。
ヌーッとした暗闇の中,風の揺れる音しか聞こえない。
「・・・そろそろ,かえろう?」
遂に沈黙を破ったのはGだった。
Gは足元のカバンを持ち直し,スッと立ち上がる。それにつられてBも立ち上がった。
―――イヤだ。イヤだ。イヤだ。イヤだ!―――
Bの中,叫び声が全ての細胞に響きわたる。Bには,聞き覚えのあるコエ。
今まで必死に耳をふさいで,眼を背けてきたモノ。
しかしそのスガタはあまりにも単純であり,それでいて,果てしなく蒼かった。
―――動け!動け!動けっ!!―――
ゆっくりと歩き始めたGの片腕を,Bは後ろから掴んだ。反射的にGが振り返る。
時間が,一瞬,消えた。
たまらなく愛しい。
Bは掴んだ腕を引き,近づいたGの身体を抱きしめた。
Gの全身に強い緊張が走る。Bは両腕に力をこめた。
「少し・・・このまま・・・」
渇ききった声。まともに文章にもならない。
Bの鼓動が,そのままGへと伝わっていく。それを感じ取るGの身体から,力が抜けていった。
二人に,再び沈黙が訪れる。
公園の暗闇が,おだやかに二人を包み込んだ。